トルコの東へ② ー モザイク画で古代ローマへタイムトラベル

2024年4月〜7月にトルコ、エジプト、モロッコ、アゼルバイジャンへ行ってきました。今回は第2回、【トルコの東へ②ーモザイク画で古代ローマにタイムトラベル】です。実際に行かないとわからない現地のあれこれを、私目線で写真と共にお届けしています。

さて、今回は第1回に続きトルコの東を旅した10日間の旅行についてです。トルコ東の旅行については1つの記事でサラッと済ませて、エジプト中心に旅行記を書こうと思っていたのですが、写真を見返し色々と調べながら書いていると、トルコから抜け出せない状態に入っています(笑)。

今回紹介するのは、トルコ南東・ガジアンテップにある世界最大級、モザイク画の博物館。言ってはなんですが、モザイク画についてそれほど興味があるわけでも、全く興味がないわけでもありませんでした。しかし、写真や画面を通してではなく数千年前に造られた実物の目の前に立つと、時代背景がはっきりとわかっていない私でも、惹きつけられるものがありました。

ゼウグマ・モザイク・ミュージアム

チケットと音声ガイド

モザイク画というものが存在するというのは、以前人から話を聞いたり写真を見せられて頭の片隅にありましたが、実際に見るのは初めてでした。博物館では想像していた以上に画に魅了され、丸っと1日モザイク画を眺めていたいくらい、日本からは遠いですが、もう少し知識を蓄えて何度も行きたい場所となりました。

博物館は2011年に開館し、ゼウグマから出土したものだけが展示されています。ダムの建設中に発掘されたそうで、発掘から保護、そしてこのように博物館に展示するのは大変だったと、音声ガイドで聞きました。ダム建設を進める中で3分の1の遺跡は今や水の中だとか。

(発掘時、それはそれは掘り出すの楽しかっただろうなぁ・・・。地中からこんな巨大な絵が出てきたら私ならそれは大興奮!)

この博物館は開館当時、規模としては世界一と言われていたそうですが、数年後同じくトルコに新たなハタイ考古学博物館がオープンし今は二番手となっているそうです。

(ハタイにも機会があればいつか行ってみたいです。イッソスの戦いの地です!)

博物館のチケットは、入り口付近にある窓口でパスポートを提示しニュージーランドで作ったデビットカードで購入。12ユーロ払い、チケット記載のQRバーコードを専用のアプリで読み込むといくつかの言語の解説を聞くことができました。作品に番号が振られているので、イヤホン越しの解説に集中しながら順路に従い1番から見ていきます。日本語に設定していても時々フランス語の解説が聞こえてくるのは、トルコクオリティ(涙)。それでも勉強してこなかった私にとっては日本語解説、有り難かったです。内容をほとんど忘れてしまったのが、今となっては残念。

ゼウグマと呼ばれた古代都市

博物館の名前でもあるゼウグマというのは、ローマ帝国時代の都市の名前。

ギリシャ、ペルシャ、エジプトと世界を征服したことで有名なアレクサンドロス大王の将軍の1人、セレウコス1世によって紀元前3世紀に建てられたセレヴガヤ・ユーフラテスという都市。コマンゲネ王国領となり、のちローマ帝国に占領され、その際にゼウグマという名前がついたそうです。ユーフラテス川沿いのこの場所は、かつて繁栄し裕福なローマ人たちの別荘にこれらのモザイク画が存在していたそうです。

モザイク画

幾何学的な模様から神話まで

「モザイク画は壁に飾る絵?」程度の知識だった私は、音声ガイドでえええ!とびっくり。モザイク画は彼らの家の居間や台所、風呂などの床を覆っていたものだったということ。そんな贅沢な!なんて金持ち!

というのもモザイク画一つ一つはとても大きく、幾何学的何学的な模様なものから神話が描かれたものとさまざま。この時代の人にとっては、床には色鮮やかな絨毯!ならぬ色鮮やかなモザイク画のだったのでしょうか。(((知らんけど!!!)))

▲例えばこのモザイク画、めちゃくちゃ好きです。見れば見るほど、目がぐるぐる回される感じがします。まずこの状態で今残っていること自体すごいのですが、絵を作っている一つ一つの石、パーツ(テッセラと言うそうです)は自然界の石であり不規則な形です。それらが組み合わさって規則的な、幾何学模様を作り出しているのが、面白い。

そして色。肉眼で見るとより鮮やかに見えました。きっと小石を個体で見ればなんてことない色なのでしょうが、組み合わさって絵となり、それが物語となっています。小さな点(テッセラ)が線となり面となっていますが、画から一歩二歩と下がれば下がるほど、石でできたものとは信じられず、絵の具で描いたような絵、もはや3Dの映像を見ているかのようでした。

神話の詳細は、音声解説でも聞きましたし過去に神話の授業を受けたことがあるのですが、何が何だか忘れてしまいました。ですが(笑)、描かれている生き物、人間、神様たちは今にも動き出しそうです。波や海の生き物、海の神様であるポセイドンは映像でも魅せられているかのようにリアル。

これらは、主に2〜3世紀のものらしいのですが、それ以前のモザイク画も多く展示されていました。

この動物が描かれたものも、好きです。周りの模様部分は後の時代のものに比べ自由で、型にはめられたような正確さはありませんが、そのせいもあるのか動物たちの動きが軽やかに見えます。

博物館の見どころ「ジプシーの少女」

そして・・・

こちらが、モザイク画界でとても有名な、「ジプシーの少女」と呼ばれるモザイク画です。これだけは、暗室に展示してあり警備もしっかりとされていました。もっと大きいものを想像していましたが、実際は小さく、暗室内にはスマホを構えて写真に収めようとする人たちで溢れていました。

「モザイク画界のモナリザ」、「ゼウグマのモナリザ」としても知られているこの“少女”。この壁画の一部であり、実はジプシーなのかどうか詳細はわかっていないそうです。口元の部分がかけている事も影響しているのか、“少女”の目力には不思議なものがあります。

「ジプシーの少女」は、街中でも宣伝として使われていたり、チケットの絵柄にもなっていたり、お土産屋にもグッズが多くありましたが、個人的にはこの作品が特別良かった!と言うよりも展示されているモザイク画全体的に引き込まれました。ここに載せたものはほんの一部。博物館は広く2棟からなり、ゆっくり見るのなら半日は必要でしょう。

そういえば、お土産屋さんには自分で石を砕いてモザイク画を作ろうという子どもから遊べるキットも販売されていました。

博物館に行ってみて

この博物館に行って、そしてこのブログを書きながら思うのは2つ。

興味が大してない、知識がない場合でも本物を見ることで心が動かされることがあるんだなぁと強く感じました。これって旅をする理由の一つでもあるかもしれません。足を運んでわかること、気づくこと、知れることはたくさんあります。百聞一見にしかずです。きっとスマホでモザイク画を見ても、ふ〜ん。で終わってました。

そしてもう一つは、トルコおもしろいな〜がさらに深まりました。世界史に疎い私、トルコなのにギリシャ神話?ローマ帝国?ペルシャ?とよくわかっていませんでした。そしてトルコ限らずエジプトに行っても共通して出てくる名前は、アレクサンドロス大王。モザイク画の時代背景に対してモヤモヤしていましたが、このブログを書くにあたり、彼が何者なのかと知るためにコテンラジオでアレクサンドロス大王の回を聴いて、あぁだから彼は英雄なのか、どこに行っても彼の名前が出てくるのかと納得しました(最近本当にコテンラジオ推しです)。

この時代、ヨーロッパから中東、西アジア、エジプトと文明が栄えた地では国や都市がいくつも存在し、争いが起きては敵国を占領し、占領されの連続で、人が絶えず動いていました。もちろん今もですが。トルコは今でもアジアとヨーロッパの交差点と言われますが、地図を見て、歴史を齧れば、当時から人の通り道であり文化や宗教が行き来していた場所だとよくわかります。モザイク画もその一つだったと思うと、トルコ南東にあるこの街の別荘にギリシャの神様が出てきても不思議ではないですね。

何かを見たときに、中国や朝鮮半島から島国である日本に文化が伝わってきたんだなぁという感覚とはなんとなく違う気がしていて、陸続きであるからこそ、人が創り出したもの、文化がグラデーションのようでもあり、一方でぐちゃぐちゃと混ざっているのが日本人の私には新鮮で面白いと感じました。

さ、今回も長くなりました。旅行記はまだまだ、まだまだ、続く予定です。

 

中東〜北アフリカ旅行記
0.中東〜北アフリカへ行ってきました ⚫︎
1.トルコの東へ① ー ガジアンテップで食を楽しむ ⚫︎
2.トルコの東へ② ー モザイク画で古代ローマへタイムトラベル⚫︎ 
3.トルコの東へ③ ー まだまだ続きます、構想中!

 

 

 

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