フジロックで有名な苗場山。山登りの山として認識していませんでしたが、平標山からその姿を見たときにどんな山なんだろうと不思議で、その2ヶ月後に行ってきました。
東京からの新幹線の中でぐっすり寝てしまい越後湯沢で下車し損ね、スタート時間が遅れたことと、“お花畑“で夢中になり予想以上に時間を費やしてしまったこと、その頃には空模様がみるみる怪しくなってきたこと、以上の理由から山頂まで行くことなく手間のお花畑地点往復の山行となりました。ということで今回は8月の苗場山で見ることのできるお花を、ひとつひとつ解説していく記事です。
苗場山には【お花畑】がある
こちらが平標山からみた苗場山。登りきった後には平らな山頂があるように見えます。
その平らな山頂に行くことはなく、上り坂の途中で撤退となったものの、苗場山の道中には時々天国のような場所が現れます。
樹林帯を抜けると、木道が空にのびていくようで、雲が近く感じました。
さらにさらに登っていくと、お花畑の看板がぽつんと現れます。雑なネーミングだなと最初は思いましたが、それも納得できるような“お花畑“がその先には広がっていました。
お花畑の中で写真を撮ってもらうため、前を歩いていた方に頼みました。
その方が私が帰り道に落としたサングラスを拾ってくださいました。その後お会いできずだったのでここでお礼を…。感謝。
今までで一番といっても過言ではありません、お花畑周辺はカラフルで賑やかな場所でした。そこで見たお花たちを1つずつ解説してきます。
白色の高山植物
ゴゼンタチバナ
ミズキ科ミズキ属に属する花。大きさは違うもの形が似ているヤマボウシやハナミズキも同じ属に属します。花が咲いた後は赤い実がつきます。書きながら知りましたが、分布は北海道、本州、四国となり九州にはない花です。名前の由来は、この花が白山の最高峰である御前峰で発見され、赤い実がカラタチバナの赤い実に似ていることから来ています。(お前もハクサン関連の名前か!と突っ込みたくなる…)白く見えるのは総苞片(=花弁を包むために葉が変形した部分)で、花は中央に集まっている部分。ゴゼンタチバナの葉は4枚だと花は咲かず、成長して6枚になると花が咲きます。
イワイチョウ
葉がイチョウの葉に似ていることから、イワイチョウという名がついています。英語の属名は葉の形を腎臓に例えています。一属一種の花で、多雪地の亜高山〜高山の湿地に自生し、本州の中部以北に分布。話はそれますが、イチョウも生きた化石と言われるほどの一属一種の樹木だそうです。
エゾシオガマ
恐らく、こちらは・・・エゾシオガマです。特徴的な形です。開いた花は気づかずとってないか、見てないです。
紫色・桃色の高山植物
ミヤマシャジン
お花畑の周辺におそらく1番咲いていたのが、シャジンです。シャジンとひとくくりにしてしまうこともできますが、調べてみるとたっくさんの種類があるようです。こちらは色々調べてみた結果、ミヤマシャジン。ミヤマシャジンの特徴としては、雄しべが花弁から突き出ています。シャジンの基本種であるヒメシャジンは、雄しべの長さが花弁と同じまたは少し出ており、萼が鋸歯です。その他、ハクサンシャジンは見分けやすく葉が輪生し(輪っか状に葉が茎についている)、岩場に自生するイワシャジンは茎が細長く互生(互い違いに葉が茎についている)、ソバナは葉が卵形で茎は斜上、モイワシャジンは北海道に分布し広い釣鐘型の花をつけます。
まあ、それにしてもたくさんのシャジンが足元に咲いていました。濃い紫〜薄い紫〜白と株ごとに違う色をしていました。
アカバナシモツケソウ
お花畑を賑やかにしていた犯人はこちら、アカバナシモツケソウです。本州中部、関東に分布する花です。北海道でもこの仲間のオニシモツケを見ましたが、葉が鬼の手のように大きいということから名前がつくほど、葉が大きかったのを覚えています。
タカネナデシコ
ナデシコにも種類がいくつかありますが、北海道、本州中部以北の岩場に咲くのがタカネナデシコです。この下の写真にナデシコと一緒に咲いている花(?)の名前が気になります。
ありから見たらナデシコは巨大なピンクの物体に違いない・・
黄色の高山植物
ニッコウキスゲ
はっきりとした黄色と橙色の中間色が、私にはどうもマンゴーに見えて仕方ありません。ゼンテイカ、ニッコウキスゲとして知られるこの花は、日本各地に咲きますが、それぞれ特徴があり名前も異なります。一般的に知られる禅庭花は、日光で群生していることから地名が取られて日光黄菅として名前が広まりました。他にも霧ヶ峰や尾瀬などで群生している姿を見ることができます。佐渡でもこの花を見ましたが、飛島と佐渡だけの変種ということで、名前はトビシマカンゾウと言います。北海道ではエゾカンゾウと言います。
ハナニガナ
キク科ニガナ属のハナニガナ。別名オオバナニガナ。ニガナは花弁が4〜7枚に対し、ハナニガナは枚数が増えて7〜11枚。白い花だとそれぞれシロニガナ、シロバナニガナとなります。白いニガナみてみたいなあ。
メタカラコウ
ニガナと同じキク科、メタカラコウ属。山地や深山のやや湿った草地、林縁に自生します。姿形から乾燥した地にはなさそうな姿でした。メタカラコウは漢字で書くと雌宝香。雌ということは…、そう、雄もあるんです。雄宝香。雌宝香は花弁が1〜3枚と不揃いなのに対し、雄宝香は5〜9枚と多くの花弁がつきます。また葉の形も違って、雌宝香は葉が尖っているのに対し、雄宝香は葉が丸いそうです。花を見分けるときは葉っぱで見分けるようにと何度も教わりましたが、このときも景色と花を撮るのに夢中で、拡大した花や葉の写真を撮りませんでした。雌・雄で名前が分かれており、雌の方が小柄、なんて情報もありますが、この花は背が高く私より大きいのではと思ったほどです。雄宝香だったのかな・・・。
キンコウカ
こちらはキンコウカ科キンコウカ属のキンコウカ。メタカラコウと同じく湿った地に自生します。名前の由来は花弁の色が金色に光っているような様子から来ています。金光花と書きます。雄しべの先っちょは赤く、星形の花はちかちかと光っているようです。ぎゅっと花がついていていましたが、花は下から順にさくとのこと。綺麗な色、かわいらしい星型に赤のアクセント、すてきな名前を持つ反面、毒がある花のようです。
以上、苗場山で見た9つのお花の紹介でした。調べれば調べるほど面白い高山植物。お花の名前を知って一つずつ挨拶しながら山を歩くのも楽しいかもしれません。
お花畑の先は山頂へ伸びる登り坂
✏︎2020.1.1
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