2024年4月〜7月にトルコ、エジプト、モロッコ、アゼルバイジャンへ行ってきました。今回は第1回、【トルコの東へ①ーガジアンテップで食を楽しむ】です。実際に行かないとわからない現地のあれこれを、私目線で写真と共にお届けしています。
ニュージーランドからトルコへ
ニュージーランドでのワークビザが切れる前に出国し、トルコ・イスタンブールに到着したのは、4月15日。こんなに長いフライトは初めてで、くたびれました。ニュージーランド・クライストチャーチからオーストラリア・シドニー、そしてアブダビを経由して最終目的地イスタンブールへ。移動時間中、映画を見ても音楽を聞いても一向に到着する気配なし。いやあ、飛行機に乗るときは毎回わくわくしていたのに、もう今となってはロングフライトはキツいの一言。こういうことから年を重ねているのを実感します。
▲シドニー空港。荷物預け時「Long journey じゃないの、気をつけて」と係員のおじさん
▲アブダビ空港での乗り換え時に見つけたランプたち、ギラギラしてます。ギラギラ
イスタンブールに来るのは3度目。初めての時のような、異国の地!!!イスタンブール!!!ここがアジアとヨーロッパの交差点か!!!という感動はもうありませんが、この雰囲気はここにしかありませんし、やはりわくわくします。
▲路面電車はいまだに乗ったことありません。いつか観光客っぽく乗るだけ乗りたい
▲ガラタ塔へ続くこの道が好きなのですが、塔そのものは工事中で入れませんでした
ブルーモスクの付近にこのようなオベリスクもあり、過去2回ともこのあたりに来たはずなのに、こんなもの見たっけなあと一応写真にも取っておきます。どうやらエジプトのオベリスクだそうです。
日が暮れて夜、街中で迷子になりホテルのお兄さんに助けてもらったりしながら、イスタンブールには1泊し、フェリーでブルサへ渡って友人宅に数泊、荷物をまとめ直してイスタンブール空港から東へと飛びます。
トルコって結構大きな国で、東側はこれまで行ったことがありませんでした。簡単に周辺の地理を書いておくと、国は横長の楕円形のような形をしていますが、北は黒海に面しており、西はブルガリア、ギリシャが隣接の国です。西から南西はリゾート地として賑わっています。そして南から南東にかけてはシリア、イラクとの国境、東はイラン、アルメニア、ジョージアと国境があります。気球で有名なカッパドキアは、トルコの中央あたり。首都のアンカラは、カッパドキアとイスタンブールの中間地点と行ったところでしょうか。
今回はアンカラも、カッパドキアも超えてさらに南東の都市、ガジアンテップ、アディヤマン、シャンウルファ、マルディン、主にこの4都市を巡りました。マルディンは国境が近くシリアが目の前です。トルコ人たちはこの辺りの地域のことを、“東”と呼びます。日本でいう、関東・関西のような感じなのでしょうか。東、行ったことある?私は食べ物が美味しいし、東好きだったかな〜。東は私の好みじゃないや、やっぱ西がいいよ〜。なんて会話をよく聞きました。ここでいう西は、イスタンブール始めヨーロッパ側のトルコのこと。
空港ではこのように飛行機の間を歩かされます(楽しい!)。大抵コーンが置いてあったり、警備員の人がしっかり見張っていたり、写真を撮っていると怒られたりが他の国では“普通”でしたが、ここでは特に誰も気にしていないようなので、写真を取りながら階段を登って機内に乗り込みます。
▲ボスポラス海峡(だと思う)を行き交う船。絵にしたくなる景色、飛行機の窓からパシャリ
ガジアンテップに到着
4月22日〜5月1日までの10日間、トルコの東への旅。最初に到着したのはガジアンテップ。空港から宿まではバスで向かいます。空港の外に出ると・・・とても暑いです。まだ4月なのに・・・。
ガジアンテップは都市として勝手に小さいだろうと想像していたのですが車はたくさん走ってますし、路面電車にバスもあり、旧市街はたくさんの観光客で溢れていました。アジア人は殆ど見かけませんでしたし海外からの観光客よりもトルコ人観光客が多く、トルコ人が国内旅行としての旅行先に選ぶんだろうなといった雰囲気です。
歩いていると、トルコの西側では見かけないようなものが並んでいます。
▲下段、手前から3つ目ははちみつ
▲カンカンカンカンと鳴り響く街中。銅職人がたくさんいました
▲イェメニと呼ばれるガジアンテップでも有名な皮靴のお店があちこちにありました。私も1足購入!
▲スパイスやカラフルな乾燥野菜が並びます
ガジアンテップで食べる
ガジアンテップでは、街歩きに、美味しいものを求めてレストランやカフェをめぐり、モザイク画の博物館に行きました。今回は、食の話を思い出しながら書いてみます。
モリモリの前菜と、肉料理
トルコでレストランへ行くと、前菜やパンが無料で出てくるのですが、“東”では前菜の量が全体的に多かったような気がします。どんなものがあるかというと、これはガジアンテップの街から少し外れにあるレストランですが、どん!どん!どん!どん!どん!全部前菜です。
どこのレストランでも前菜セットはカウンターやキッチンに見上げるほど積み重ねられていて、お客さんが着席するなりこれらをテーブルにせっせとスタッフが運びます。
トマトときゅうりのサラダはざくろのシロップにレモン、オリーブオイルが絡めてあり、どこに行っても出てくるメジャーなサラダのひとつ。私はとても好きです。他は店によって様々ですが、ここにあるのは、玉ねぎとパセリのミックス、パセリオンリー、レモンとペッパー(時々ピリッと当たる時もありますが、大体は辛くありません)、パリッとしたチップスにヨーグルトがかかったもの。
どれもさっぱりしたもばかりです。そう、それはメイン料理が肉肉しいからです(と私は思っています)。こちらのメイン料理は肉とナスのケバブ。ケバブというのは、肉や魚、野菜をローストしたもの。こんな風に野菜に関してはしっかり焦げた状態で出てきて、皮の部分は剥きながら食べていきます。ナスのケバブは美味しいんですよね。外側は真っ黒に焼かれているので、写真では何が何だかわかりませんが、中はトロッとしていて香ばしいんです。
博物館近くのレストランでも、ケバブを食べました。手前には、やはりトマトときゅうりのサラダです。
▲右側に写り込んでいる白い飲み物は、トルコといえばのアイランです。ヨーグルトを水でといた飲み物。全く甘くなく、さっぱりしていて肉料理と相性良し
ケバブの肉は、主に羊肉が多いです。宗教的な理由で豚肉は食べませんので、羊が一番、二番に鶏、そして牛と言ったところでしょうか。今回のトルコへの旅では、一生分の羊肉を食べた気がしますが、美味しいお肉は臭みはなく柔らかくて食べやすいです。しかし(汚い話ですが笑)、体が慣れていないからか便秘気味になりやすく、食べるものが変わったからか体臭、主に汗の匂いが変わった気がしました。きっと、この辺りに生まれ育って羊ばかり食べていれば、豚に対して臭みを感じやすかったりするんだろうな、、、。
ラフマジュン
こちらは、私の好きなトルコ料理の一つでもあるラフマジュン。野菜と挽肉が薄ーい生地に薄ーくのっていてパリッと焼かれた、例えるならピザのようなものです。レモンを絞って、お好みで玉ねぎやペッパーなどの野菜類を包んで、くるくるっと筒状にして食べます。お店によってスパイスの配合が違うのか、スパイスが強めだったり肉の臭みを生かした味だったり、野菜多め、肉多めだったりで様々でした。
比べるのもなんですが、やはり食文化の違いは面白いなあとつくづく思います。特にケバブはシンプルに素材そのものがローストされた料理で、味付けも特別なソースがあったり、醤油があったり(笑)というのはなく、基本の塩胡椒にタイムを振りかけ、レモンを絞って食べます。
ニュージーランドだと肉料理は、こってりなソースがついていることが多いので、シンプルに楽しむトルコ料理は、素材そのものの味を楽しめて、本当に美味しいです。サラダにしてもそうですね。野菜をそのままで食べたり、塩にオリーブオイルにレモン、かかっていてもざくろのシロップ程度です。ドレッシングはほとんど見かけませんでした。
ピスタチオのデザート
バクラバ
美味しいのはご飯だけでなく、デザートも。ガジアンテップはデザート、特にピスタチオを使ったデザートが有名です。まずは、バクラバ。実は3度目のトルコで、人生初のバクラバです。とても楽しみにしていたが、期待を裏切りませんでした。
キラキラ輝いていますよね。アブダビ空港で見たランプのように・・・。バクラバはパイ生地にピスタチオなどのナッツ類が挟まれ、シロップがかかっているという、あまぁいデザート。そう、この輝きはシロップのせいです。バクラバの形は様々で、詳しくは覚えていませんが、それぞれに名前がついています。右下のバクラバはニンジンのような形なのでハヴチュ・ディリム・バクラバ。ハヴチュは人参という意味です。
余談ですが、トルコ語はおはよう、おやすみ、元気?ありがとうくらいしか知らない私ですが、今回の旅行で食べ物に関しては色々覚えました。NZの山小屋でのcookという仕事柄なのか、食べるのが好きですし、作り方や料理に何が使われているのか気になって仕方ないので調べているうちにスイスイ頭に入ってきました。仕舞いには「トルコで1人になってしまっても、飢えはしないだろうね」と言われてしまいました(笑)。数ヶ月経った今、ほとんど忘れていますが・・・。
バクラバは東、特にガジアンテップで食べるのが美味しいということで、何度も何度も食べました。ピスタチオはそんなに好みではなかったのですが、いやあ・・・・・。これは美味しいです!ピスタチオそのものの味がとっても濃くて、シロップひたひたのパイ生地と合います。写真はありませんが、アイスと一緒に食べたりもしました。もう止まりません。
▲飲み物はもちろん“チャイ”。トルコではチャイを息するように飲みます(笑)。
カトメル
ピスタチオを使ったデザートはそれだけではありません。次はこちら、カトメル。朝ごはんとして食べることもあるんだとか?薄い生地にピスタチオとカイマック(発酵クリーム)が包んでありパリッと焼いてあります。写真を遡ると2回食べていました。思い出しただけでもよだれ出ます。
▲レストランで食後のデザートとして食べたカトメル。小さめですがぎっしりピスタチオが詰まっています
▲カトメル屋さんで食べた大きな大きなカトメル。クリームたっぷり、お腹いっぱいに
キュネフェ
こちらはパリパリとした麺状の生地にピスタチオとチーズが挟まっている食べ物で、こちらもシロップがひったひたにかけられています。甘い。
トルコの西でもこれを食べましたが、美味しさが全然違いました。生地のパリッと感もシロップの甘さ加減も、そしてピスタチオの味が断然ガジアンテップの方が濃いです。
バクラバとカトメル、キュネフェ、どれが好きか聞かれたら、うーんと数日は考え込むことでしょう・・・。どれもガジアンテップで食べるにつきます。もう、本当に、next level なんです。
バクラバは食後のデザートには良いですね。お腹いっぱい食べた後でもサクッと一口で食べられますから、“甘いものは別腹”という別腹にぴったりなサイズ感です。カトメルは朝食というのも納得できるような美味しさ。甘すぎませんし、ご飯として食べてもしっかりお腹にたまります。そしてキュネフェは、ガツンとデザートを食べたい時。チーズが結構もったりするので(それが美味しいのですが)、食後のデザートとしては、キュネフェの大きさにもよりますが、少し厳しい気がします。実際厳しかったです(笑)。
もう一つ好きなサルマ・ピスタチオロールというのもあるのですが、それは後ほど・・・別の回で紹介することにします。
ガジアンテップでカフェへ
メネンギッチコーヒー
トルコといえばトルココーヒーで有名ですが、ガジアンテップやトルコの東で有名なのはメネンギッチコーヒー。
なんじゃそりゃ?!
コーヒーと言いながらも、コーヒー豆から淹れられた飲み物ではなく、野生のピスタチオの実が使われています。見た目がコーヒーのようなので、その名前がついたとのこと。飲んでみると・・・
ん?!ゴホっ、ゴホっ!勇気を出してもう一口・・・!ンン?!もう一口!!!
を繰り返すうちに、美味しいことに気づき始め、しっかり最後まで飲み干しました。ナッツのようなピスタチオの実の香ばしさが感じられて、苦味はなく、他にはないので例えようのない味でした。これを読んでくださってる方、みんなに飲んでほしい。もちろんカフェインレスです。この独特な味が忘れられず、西側に戻りブルサのカフェで飲みましたが、全然違う・・・。ガジアンテップまで足を運び、本場のメネンギッチコーヒーに出会えてよかったと今でも思います。また飲みたいです。
ちなみに、メネンギッチコーヒーを飲んだのはこちらのカフェでした。SNS始め、日本語、英語ともに検索すると上位に上がってくる、カフェです。
地下にあるカフェへ
街歩き中にたまたま見つけて、引き込まれるように入った洞窟カフェ、というのでしょうか。電波も届かない、スーッと涼しい石造りの地下にあるカフェです。4月の終わり、外は7月のような暑さだったので、この涼しさはありがたいです。検索しても出てこなかった場所なので偶然見つけて、ラッキーでした。おそらくこちらの建物は、ハンの一つではないのかなと思います。
ハンというのは、貿易キャラバンや旅人が休むための宿として建てられ、またバザールとしての機能もあったそうです。戦争の際には、食料や武器の倉庫としても利用されていたとのこと。ガジアンテップにはそのような14世紀、15世紀に建てられたハンが16軒残っているそうです。
・・・と、ガジアンテップの観光案内所で見つけた日本語パンフレットに書いてありました。
中では民族音楽を奏で続けるおじさんたちが、各テーブルにチップを集めに回っていました(笑)。
トルコの音楽って民族音楽はもちろん、TVのコマーシャルやモールで流れている最近の流行りの音楽でさえも、軍隊の行進のような“ずん、ずん”と迫ってくる一種の怖さを覚えるんですが、私だけでしょうか。表打ちに刻むリズム隊の迫力というか、圧が強いんですよ・・・。トルコにいる間はそれが怖いはずなのに何故かおかしくなっちゃって、時々笑いそうになりました。((またずんずんやってるな・・・。))
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さあ、さあ、第1回の旅行記はこの辺でおしまいにします。
何年か前にトルコ料理についての記事を書きましたが、その時の私ったらトルコ料理のトの字も分かってなかったなあってくらい、今回の旅ではたくさん食べさせてもらいました。次回以降にも、食の話は書いていくつもりです。
(恥ずかしくて昔の記事は開けません!)
それから、今回の記事にガジアンテップのモザイク画博物館のことも書きたかったのですが、さらに長くなりそうでしたのでそれは次回。このペースだと先が思いやられますが、なんとか続けたいと思っています。
次へ続く・・・。
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