ネムルト山へ
トルコの東へ行くと決めた4月の下旬、行く都市をピックアップし、それぞれの都市ごとに行きたい遺跡や博物館、レストランを書き出しました。その中の一つがこのネムルト山。山のてっぺんに大きな石像があるらしい、トルコでは有名な世界遺産らしい、東方面に行くのなら行っといたほうが良さそうだ・・・と言うことで、2泊したガジアンテップを後にし、次なる都市、アドゥヤマンへ。
ネットで調べてみたり、街中の旅行会社やレンタカー屋さんで聞いてみる限り、選択肢は2つ。レンタカーを使って自力で行く、または日帰りのツアーに参加。ツアーに関しては、朝日・夕日の時間に合わせて行程が組まれています。公共の交通機関では行くことができません。
宿はアドゥヤマンですが、そこから数十分のキャフタという小さな街発着・夕日をネムルト山の上で見るというツアーに申し込みをしてみました。ツアーではネムルト山のほかにカラクシュ古墳、ジェンデレ橋にも立ち寄り。ブログではネムルト山を中心に書いていきたいと思います。
ネムルト山とコンマゲネ王国
ネムルト山は、世界遺産に登録されています。トルコ語では、ネムルト・ダー。ただの山ではなく、山の上に人工の小石が積み上げられたピラミット上の墳墓で、中には玄室があるとかないとか。およそ2000年前にこの辺りを支配したコンマゲネ王国の国王アンティオコス1世の墓とされていますが、人の手によって積み上げられた石の中の発掘は難しく、確かなことはわかっていないそうです。
石像の後ろに見えている砂でできているような山が、その人工の山。高さは75mあったそうですが、以前ダイナマイトを使用し発掘が進められたこともあり高さは50mとなっています。
山の上にはテラスが3つあり、ぐるっと歩けるようになっています。東のテラスに並ぶこれらの石像は、守護神であるライオンにワシ、ギリシャ神話の神々に王自身。像の頭は今や地に並べられていますが、元々は玉座に腰掛けている像の肩に乗っていたそうです。頭だけでも2mほど、頭がない状態の肩から下の石像は8m以上となっており、実際に目の前に立つと山の上にこのような石像がどん、どん、どん、どん、どん!と並べられているのが信じられず当時の人たちはどのような思いでこの場所を作り上げたのだろうかと不思議になります。
もちろん山の上には人が住んでいた形跡はなく、この場所は王自身が建設した墓とも言われていますが、一方で宗教上の儀式が行われた場所ではないかとされています。時代も宗教的な背景も全く異なりますが、このような大きな頭を見ると、日本の仏像を思い出しました・・・。
トルコの南東部に位置していたコンマゲネ王国は紀元前1世紀、アンティオコス1世の時代に最も栄えたそうですが、西のギリシャに東のペルシャ、そしてアルメニアやシリアなど周辺国の緩衝地帯として機能していたそうです。山の上、東、西、北それぞれのテラスにある彫刻やレリーフにはギリシャ神話やゾロアスター教の神々を習合させたものになっており、石像も微かに開いた口はギリシャ風、頭部の飾りはペルシャ風、と東西の文化・宗教が融合した遺跡となっています。それは世界遺産に登録された理由の一つだとか。
駐車場からテラスまでの登山道
4月下旬、2000m級の山に行くのなら雪があってもおかしくない、夕日の時間帯ならさぞかし寒いだろうと思っていた私、びびっていましたが、大したことありませんでした・・・。
ツアーは小さなバンで各所を周り、このネムルト山が最終地点。ビジターセンター(下記写真)で参加者は下ろされて、有料のトイレを利用し(歩き始めるとトイレはありません)、お土産店をみて回って、ネムルト山の遺跡へと向かいます。
歩き始めは緩やかな階段から始まります。標高が高いと国は変わっても風の匂いや感覚は似ていますね、山の上に来たな〜〜!と少しワクワクしたのを覚えています。
しばらく歩いて後ろを振り向くとこんな感じです▼
最後の方は、登りが少し急になってきます。ゆっくり写真を撮りながら歩いても20分程度。歩きやすい格好で、特別足腰が悪いとかでなければ、問題ありません。
オンシーズンではないのか、ごった返すほどの観光客はおらず、約2時間自由時間ということで十二分に見て回る時間がありました。
こちらは西のテラス。
夕日が沈んでいくのをこのテラスから眺めます。
広告で使われるような写真のように真っ赤な太陽は拝めず、真っ白な太陽でした。視界は、土埃のせいでしょうか、太陽の方角でだけでなく360度とても霞んでいました。記事を書きながら知りましたが、視界が良ければ、後日訪れたアタテュルクダムを見ることもできたそうです。この標高であれば地平線まで見えるはずですが、全てがぼんやりとしていたのが印象的です。
ジェンデレ橋
ネムルト山のツアーで回った他2箇所も簡単に紹介したいと思います。
こちらは、ジェンデレ橋。200年頃に建設されたそうで、ユーフラテス川の支流であるジェンデレ川に架けられている石造のアーチ型の橋です。
2000年も前に人々がこの橋を作り、歩いていたんですね・・・。
東方面では、土埃の舞う農村地帯ばかりを車で走っていたので、この橋がかかる川や渓谷の眺めは新鮮でした。地元の人でしょうか、川のそばで水遊びしている人や、ピクニックしている人を見かけました。キャンピングカーも泊まっていました。
カラクシュ古墳
こちらもコンマゲネ王国時代の古墳。石柱の上にはワシがとまっています。ん〜ここも、やはり景色はパッとせずでしたが、標高が周辺では高いので澄んでいれば景色が見渡せただろうなあと思います・・・。
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さて、次回はアドゥヤマンを離れ、マルディンへ向かいます。さらに、まだまだ、もっと濃い(?!)トルコを紹介する予定です。
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