【88•89日目】静かな小屋の中(嬉しいお土産とお客さんのいない日の話)

2連泊してくれた友人は、10月8日の朝、雨の中出発した。2日前に来た時とは対照的で真っ白な稜線歩きになりそうだ。

小屋の中は、常連さん1人。毎年1シーズン中に数回連泊してくださるお客さんで、1日のほとんどを外で過ごしている。この辺りの動物を追ってはカメラに収めているようだ。

今日は天気が悪い。ここ数日、風は強く小屋は揺れる。少し揺れている方が心地よく感じるくらいだ。宿泊予定のお客さんはキャンセルになり、常連さんと従業員だけとなった。

常連さんは前回と同じクッキーのお土産を持ってきてくれた。わかしたお湯でインスタントコーヒーを作ってストーブの前で身体を内から、外から、温める。チョコレートチップクッキーが好きなのだが、このクッキーはちょうどいい甘さでバクバクと食べてしまう。他のスタッフの分がなくなってしまいそうだ。(笑)友人にもらったお土産(チョコレート菓子)も続けて食べた。寒いと身体が甘いものを欲してしまう。

というわけで、夏バテで体重が落ちるこの季節でさえ、正月太りのようにまるまると大きくなってしまった。「山小屋で働けば痩せるのではないか?」、これは、「登山を趣味として始めれば痩せるのではないか?」と同様の見込み違いだ。

お土産といえば・・・

このブログを読んでくださっている方から、喜ばれるようなお土産について質問をいただいたので(ありがとうございます!!)、ここで質問に答えたいと思う。

山小屋にいると、常連さんからお土産をいただく機会が多く、スーパーもコンビニもない山の上にいるはずなのに、全国各地のものが棚に並ぶ。

小屋では、スタッフ用のお菓子を箱買いしてあり、約5ヶ月間のお菓子に困ることはないのだが、同じ種類のお菓子を食べ続けることになるので、結構飽き飽きしてくる(なんていうと支配人にギロりと睨まれそうだ、支配人が毎年お菓子をチョイスしている)。

そんな時に珍しいご当地ものが入ってくると皆で飛びつくように食べる。賞味期限が短いものや地域限定!のようなお菓子は手に入りにくいので、やっぱり嬉しい。

果物などのナマモノ系も、夜の従食メニューにプラスとなると、皆で食いつく。スタッフの家族からぶどう、休暇から上がってきたスタッフがお土産でシュークリームを買って来てくれた時は一瞬でなくなった。

こんなことを書いていると、お土産待ってます!と言っているようなものだが・・・怪我なく小屋まで来ていただき、山の上で再会できれば、それだけで嬉しい。道中のお土産話しが何よりも、“つまみ“になるはずだ。

もう1つ、今日のようにお客さんが0に近い日は、スタッフは何をして過ごしているのか、について書きたい。

小屋によりけりとは思うが、通過・宿泊のお客さんがいない日でも、私がいる小屋では特別休み時間が長くなるわけでもなくせっせと働く。お客さんが少ないということは、仕込みの必要がないわけだが、例えば売店で販売している小物を製作したり、在庫チェックをしたり。ガスや電気はもったいないので、普段なら朝から消灯まで稼働させている給湯器は使わず、昼の数時間は厨房の電気を消す。いつもは外作業が多い男性陣は、こんな雨風強い日には、道標を作ったりしているようだ。

ラジオや好きな音楽を流しながらそれぞれ仕事をこなし、小屋を出入りするお客さんがいない日は、「営業している宿泊施設としての山小屋」というより、「山の上にある住処としての山小屋」のようだ。スタッフ同士、24時間常に生活を共にし、家族のような存在だ。テレビもなく、これと言って娯楽もない、下界から切り離された山の上にある静かな家でしかない。

常連さんも、この日は家族の一員のようだった。夜の食事も、従業員と一緒にテーブルを囲った。山小屋で働かなければ、1泊お客さんとして泊まっただけでは知ることのできなかった世界だ。

こういう日を積み重ねているからか、今では、他の山小屋に連泊してみたい、同じ山小屋に1度とは言わず、何度か泊まってみたい、と思うようになった。決して安くはない山小屋滞在ではあるが、これを読んでくださっている方がいれば、ぜひ、山小屋に足を運んでほしい。1泊とは言わず、2泊、3泊して小屋の生活を覗いてみるのも山の楽しみ方の1つだと思う。

 

 

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