16:31、西陽がちょうどよく当たるボートのデッキベンチから、最後の日記を書いています。
朝は5:00台に起床。山に沈んでいく、白く明るい月が部屋の窓からちょうど見えます。今日は最終日。6:30には自分の部屋を空っぽにし、ザックや荷物は建物の隅にまとめて置きます。
昨日から泊まっているお客さんの朝食を出し、片付けをした後は皆で掃除。小屋閉め作業をして16:00発のボートに乗らなければなりません。私はキッチンで愉快なchefケイシーに確認をとりながら、食器類を全て袋に入れ、越冬に向けての準備をします。9:00頃には皆で集まって朝ごはんを食べ、昼食用のサンドイッチも作り、小屋閉め作業を再開。キッチンは、愉快なchefケイシーが何週間も前から計画的に閉め作業をやっていたので、とてもスムーズです。私はみんなのお母さんエミリーやみんなの姉貴キャサリンにも声をかけながら、終わってない客室の掃除を手伝ったり、洗濯室で布団の整理をしたりとあちこち動き回ります。
▲Visitor bookもビニールに入れて保管。1番古いものは1955年
全ての作業が終わったのは14:00過ぎ。ボートの時間まで小屋まわりを散歩し、小屋や、小屋から見える山々を目に焼き付けます。
▲いつにも増して青い空と川
天気はここ数日の雨や曇り空から一変、快晴で雲ひとつありません。朝は霧が小屋の周りを覆っていましたが、この小屋で過ごす最後の1時間にパーフェクトな天気です。
サンと2人で小屋から1番近い橋まで歩き、川と小屋を眺めながらしばらく過ごします。すると小屋からてくてく歩いてくるしっかり者のミア。3人で、これから何をするのか将来の話や、小屋での生活を振り返ったりしながら、きらきらと流れていく川の上でおしゃべり。
そして、15:00頃皆で小屋や小屋の前を流れる川、山々にお別れの挨拶をしながらボート乗り場へ向かいます。
▲今日も湖が美しい、、、
終わってみると、ここでの仕事、ここでの暮らしができるかどうか不安でしかなかった11月の自分が、ぼんやりとしか思い出せず、小屋にやってきた日が遠い昔のようです。自分が不安と緊張に包まれていたということは思い出せても、その感情までは思い起こすことができません。
山小屋での生活はこれで3度目になりますが、それぞれの山小屋での経験はそれぞれ異なり、ここでの経験はここだから得られたものです。そして、同じタイミングでここにやってきたスタッフがもし違う人たちだったら、その経験はまた違うものになったでしょう。ただひとつ、共通点をあげるとすれば、山小屋での生活、自然の中での生活はシンプルだということ。私はその単調で退屈とも言えるシンプルな生活が、やはり好きです。
明日からは、スタッフルームで皆とご飯を食べたり、”See you in the morning”と言葉を交わしたり、ベッドメイキングをしたりしなくて良いと思うと、仕事から解放される嬉しさと皆との時間が終わってしまうという寂しさが半々、でもそれは清々しい気分でもあります。
毎日家族のように過ごしていた皆が、今日の夜には散らばり、家族から言ってしまえば”他人”に戻ります。また時間と場所を合わせて同じメンバーで集まったとしても、小屋で感じていた家族のような繋がりはもうないでしょう、、、。私の、皆の、それぞれの心に記憶として残るだけです。人間関係や小屋での生活については、色々と日記に残してきましたが、確かなことは、ここに来てよかった、それにつきます。
まだまだ書きたいことはあるような気もしますが、この日の日記はここまでに。また別の記事に気が向いたら書くことにします。
最後に、ここまで読んでくださった読者のみなさん、ありがとうございました。1人、2人でも読んでくれる人がいればいいかな、いやいや、自分の記録として残ればいい。と思いながら書いている日記なのですが、コメントをいただいたり、感想をもらったりすることがあり、とても、とっても嬉しいです。感謝。
さぁ、次の山小屋日記は?いつ?どこで?私にもわかりません。お楽しみに(笑)。私も楽しみです。
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