【112日目】もう川は渡りたくない

今日はB/C。今日でキッチンに立つのは最後です。

今日は昼過ぎ終わるシフトであるLシフトのサンと一緒にR Lakeへ行く約束をしています。昨日急遽決まり、天気を見て行こうという話になりました。同じく、しっかり者のメグ、ブラジルのジェイニー、キウイのデイジーも3人で同じ場所へ中抜けの休憩時間を使って行くようです。

3人は12:00前には出発していました。彼らはディナーサービスの時間前には帰ってきて働かなければならないので、いつもより気合を入れて掃除を終わらせた様子です。

私たちは夜は働かなくて良いので、そこまで焦ってはいませんが、日が落ちるのが早くなっているので19:00には戻ってこられるよう、14:00前に小屋を出発。サン「飲み物なんか持っていく?レモネードはどう?奢るよ。洗濯シフト手伝ってくれてありがとう」いつも手伝った後には必ず奢ってくれるサン。断われません。

私「じゃあ行ってくる。みんな戻るの遅くなったら17:00からの従食、見習いcookロビンとみんなのお母さんエミリー2人だね、なんかごめん」見習いcookロビン「大丈夫!行ってらっしゃい〜」

いつもサンと2人で歩く時は、ゆっくり写真を撮りながら歩きますが、今日は時間が限られているので、たったか早足で目的地へ向かいます。

来週小屋を出た後は数日間サンの友人のお家に泊めてもらい、一緒に観光する予定です。「クイーンズタウン着いたら何したい?」「ハイキングかなぁ」「近くの街にドライブもできるよ」そんな話や、「そういえば鳥の声の録音した?」サンは、森の中で聞こえる鳥の鳴き声をレコーダーで録音したいという話をしていました。「まだやってない。次の休みが最後の休みだから、絶対録音しないと!SDカードの調子が悪くて、レコーダー使えないんだ。スマホで録音するしかないみたい」そんな話をしながら歩きます。

雲はありますが、筋のような雲が点々とあるだけで、気持ち良い気候です。森歩きにもってこいの日。川沿いを1時間弱歩き続けますが、川はいつにも増して透き通っており、川底の岩が11つ肉眼で確認できます。雨は数日降っていないので、水量も減っており流れも落ち着いているように見えます。2人で綺麗だねといいながら、渡渉ポイントに到着。

川を渡ったらその後は12時間歩いて湖に到着です。私はこの川を渡るのは3回目です。2月にキウイの物静かなアニー、優しいお姉さんブリッジとそれぞれ1回ずつ来ました。

川幅が広く深いところを歩いて、まずは私が川を渡ります。そのあとの出来事のショックが大きく、この時のことをはっきり覚えていないのですが、少し川に体を持っていかれそうになりながら、なんとか川を渡った気がします。次、サンの番です。両手に靴を抱えていたのがよくなかったようです。両手が塞がれ、バランスが取れず川に体を持っていかれてしまったサン。これはまずい!と思い声をかけ私も川に戻りますが、サンには届きません。彼女は手に持っていた靴を手放し、数メートル離れた場所まで流されながら泳ぎ、川から無事陸に上がることができました。私は私で流れの速いところに来てしまい、上半身まで浸かりながら、手をバタバタさせて必死で陸に上がろうとばたつきます。水をもう少しで飲み、あわあわと溺れるところでした。

水の流れは見かけによらず浅いところはとっても速く、2本の足で立っていられません。流されかけて、初めてわかった川の速さです。川の水は透き通って綺麗ですし、膝くらいな深さなので、流れもそんなに速そうには見えなかったのです。

無事陸に上がれたことにホッとしつつも、川の中でばたついた数秒間で水に対する恐怖を初めて感じ、その時の恐怖から抜け出せず、どきどきが止まりません。

私は森側で、水と恐怖に飲み込まれそうになったこの出来事を受け止めるのに時間がかかり、しばらくサンに「大丈夫?大丈夫?」と何度も向こう岸に叫びます。サンは湖側に着いて靴が流されたことに少し落ち込んでいますが、私のように水に対しての恐怖はあまり感じていないようで、にこにこしながら「私は大丈夫」と言っています。

サンの靴が流されてしまったので、湖にはもう行けませんし、サンは小屋まで帰るのは難しい状況。私「今から私、小屋に戻って靴とってくるね。そこで待ってて。川を渡るのは、しっかり者のメグたちと一緒がいいと思うよ。一緒に渡って。無線は何かあった時のためにここに置いておくね」サン「大丈夫。ありがとう。靴は私の部屋の中にある!ゆっくりで良いからね。持ってきたサンドイッチでも食べてゆっくりしてるから!」

私はその場を離れ小屋に向かってほぼ全身濡れた服で、早足で歩きます。来る時は50分かかりましたが25分ほどで小屋に戻りました。景色を見渡すことも、川を見ることもできず、とにかくさっきの出来事が頭から離れないのです。

小屋に着くと、小屋の影でベイピングしている賢そうなアニー。笑顔で、helloと声をかけてくれますが、私の表情と話を聞きながら、笑顔が消えていく賢そうなアニー。大丈夫?と心配してくれます。「みんなのお母さんエミリーには私から伝えておこうか?多分自分の部屋にいると思うよ」

サンの靴を部屋から取り、私は濡れた服から着替え、すぐに川へ戻ります。音楽を聴きながら気を紛らわせようとしますが、そう簡単にはいきません。渡渉ポイントのすぐ近くでしっかり者のメグとブラジルのジェイニー、キウイのデイジー3人組に会います。サンと一緒に無事川を渡ったよと教えてくれました。大丈夫?と気にかけてくれ、簡単に出来事を説明し、see you soonと私は川に向かって3人は小屋へ向かって歩き続けます。

渡渉ポイントへ出ると、川を眺めながらサンドイッチを食べているサン。まだ恐怖から抜け出せない私とは反対に、「ありがとう〜!湖行かなかったね、台無しにしちゃってごめんね。」と、テンションはいつも通りのサン。

お腹は空いていなかったので(何かを食べる気分ではなかったので)、その場を離れ、サンは靴を履いて、小屋へ戻ります。

サン「戻るとちょうどご飯の時間だね。見習いcookロビンとみんなのお母さんエミリー2人だけのご飯にはならなかったね」私「私も同じこと考えてた。皆でご飯だね」

▲帰り道、釣り人を見かける

今日のメニューはラザニア。湖で食べる予定だったサンドイッチも一緒に平らげ、一度部屋に戻りシャワーを浴びて、スタッフルームでダラダラ過ごします。

テーブルの上は片付けられ、代わりに愉快なchefケイシーが昨日作ったラズベリーチーズケーキが置いてあります。一切れ、ハーブティーと一緒にいただきました。

夜は昨日と同じく22:00前まで皆でおしゃべりしました。お陰で大分気が紛れた気がします。

今日は私にとって最後の遠出のハイキングチャンスで、目的地に辿り着けなかったことは残念ではありますが、何より2人とも怪我せず小屋に戻って来れただけで、本当にラッキーだったと思います。

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