今回は、名前も姿形も特徴的で面白い、ウツボグサについての話です。
ウツボグサの形
こちら、変わった形をしたウツボグサ。花は舌のような形をしており、花穂の上から下へと順に咲いていきます。下の方が咲く頃には、上の部分は枯れてしまうそうです。
真上から見ると、マツムシソウのようですが、横から見ると段々に花が積み重なっているようで、面白い形です。
これはマツムシソウ
名前の由来
この花穂、何かに似てますよね・・・。パイナップルの皮のように見えませんか?!
昔の人は、この形をウツボに例えたことから、ウツボグサという名前がついたようです。ウツボ・・・魚のウツボ・・・?!
ここで言うウツボとは、靫=弓矢を入れて背負う筒状のもの。花穂が靫の形に似ていることから、靫草という名前になったそうです。魚のウツボとは関係ありません。
昔は、靫が身近なもの、誰もが連想できるものだったからこそついた名前なのでしょうか。今の時代、靫を背負っている人を見かけることはないので、名前の音だけ聞いても覚えづらいですが、名前の由来を知ると、花ってやっぱり面白いです。
枯れた姿とウツボグサの別名
ウツボグサは8月頃になるとこのような姿に。花穂は暗褐色になるものの、しっかりと靫の形のままです。触ってみると、カラッカラに乾燥していました。
ウツボグサは、夏になると枯れることから、漢名で夏枯草(かごそう)という別名も。山で咲く花が全盛期を迎える頃、ウツボグサは枯れ始めていきます。
その他、カッコウが鳴く頃に咲く花という意味で郭公草、郭公花という名前もついています。
ウツボグサの効用と英名
ウツボグサは、漢方でも使われる花で、口内炎や扁桃炎の改善、腎炎や膀胱炎に対する利尿薬となります。ヨーロッパにはタイリンウツボグサが分布し、喉頭炎、扁桃腺炎などに利用されていたそうです。
英名は、self-heal(自然に治る)、heal-all(何でも治す)というそうです。花の名前とは思えないような単語の並びです。
ニュージーランドで見たウツボグサ
ニュージーランドの南島、フィヨルドランド国立公園でも見かけたウツボグサ。背は低いものが多いような気がしますが、花の色や形は日本のものとそっくりですぐにウツボグサだ!と認識できました。
▲2024年1月撮影
▲2024年1月撮影
▲2022年12月撮影
ウツボグサ
ウツボグサ・靫草/シソ科ウツボグサ属
多年草。原産は日本列島、アジア東部〜北東部。花の色は紫色のほか、ピンク、白がある。高山帯、亜高山帯にはタテヤマウツボグサ、ミヤマウツボグサなどが分布。
参考
▶︎日本薬学会
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