【休暇2・3日目】隣の山小屋へ

朝、6:00。今日も1日良い天気になりそうだ。太陽はすでに高い位置まで昇っている。明るい従部屋で荷物をまとめて、出発の準備をした。

支配人に、今日は隣の小屋に宿泊してきますと伝え、余計な荷物は持っていかず、身軽な格好で出発した。

昨日に続き、今日も眠い。隣の小屋まで3時間もあれば到着するので、昼寝(時間帯的には朝寝だろうか)を何度も何度も挟みながら前に進んだ。クロマメノキが至る所に実をつけていた。

今日泊まる小屋に近づくにつれ、なんだか甘い香りがするような気がした。マツの匂いだと思う。私がいる小屋周辺とは違い、樹林帯が少しある。木陰の下を歩くのは新鮮だった。

小屋に到着したが、まだ午前中だったので、そのまま目の前にある山頂を目指す。すれ違う人皆に抜かされながら、ゆっくり登った。このルートから山頂を目指すのは2回目だが、登り始めた途端、後悔するようなしんどさだ。

山頂に着くと、雲海が待っていた。東側、安曇野方面は雲の下だ。


右側に見えるのは上高地

山頂で写真を撮っていると1人の女性に写真を撮ってくださいと声をかけられた。しばらくおしゃべりに夢中になっていると、同じく日帰りで来ている男性も会話に混じり、山頂で1時間ほど3人で話し込んだ。山登りを始めた頃の話や、今までどんな山に行ったのか、今日はどこから来たのか・・・。


「私は向こうに小さく見える山小屋からきました」

男性は違うルートから下山し、私はその女性と一緒に小屋に向かって歩いた。同じく小屋に宿泊するそうだ。東北から来た方で、山小屋で働いているとここ最近は寒くて水道は凍結するし、手足の乾燥が激しいと話すと、東北の冬の話をしてくれた。九州の人間には知らないことばかりだった。

小屋について部屋に入ると、なんとその女性と同じ部屋だったので、改めてよろしくお願いしますと挨拶し、夕食の時間を待った。


夕食までの待ち時間、外には白い虹がかかっていた

小屋は2つのピークに挟まれた尾根上の1番低い部分、つまりコルに立っているので、周り山々が大きく見えるし、人間が本当に小さな動物のように思える。ちょうど森林限界の境目でもあるので、自分の働いている小屋では見ることのできない紅葉を見れて面白い。

夕食後外に出ると、静かな空が広がっていた。日が沈むにつれ寒くなる。今日泊まっているお客さんの数は少ないようだった。雪の降る前、静かな山小屋に来ることができてよかった。同室になったその女性とおしゃべりして、19時過ぎに寝た。

翌日、朝食時間の直前に目が覚めた。10時間以上深い眠りについていたことに気づく。朝食を済ませ、小屋の方に挨拶をして外に出ると、太陽はもうすでに雲から顔を出していた。

同室の女性は、私の働く小屋の方向に行くとのことだったが、1人でゆっくり歩きたかったので、お見送りをした。小屋で会えたら会いましょう、お気をつけて。とても明るく元気で、山歩きを心から楽しんでいる方だった。

帰り道は、絵を描きながら昼過ぎに小屋に戻ろう思っていたが、日が当たらない場所は、体を動かしていないと寒い。じっと岩に座って絵を描くのはやめよう、小屋に早く戻ろう。ペースを極端に速めるわけでもなく、息が上がらないよう一定のペースで歩いた。

小屋について荷物を整理し汗を流そうとしていると、その女性が視界に入る。すぐに声をかけてくれて、稜線歩き最高だったね〜とお話しした。もう1つ先の山小屋に泊まるようだったので、ここでお別れだ。この2日間で元気を分けてもらった。お気をつけて。

しばらくした後、昨日隣の山で私に会ったっていう人が、遊びに来てるよ、と他のスタッフが教えてくれた。山頂でお別れした男性は、一度下山して、今日は別の登山口から日帰りで私のいる小屋へ遊びに来てくれたようだ。途中あの女性ともすれ違ったらしい。2人の連絡先もお名前も何も聞かなかったが、こうやって山の上で再会できるのは、なんだか嬉しい。

今回3回目の休暇だったが、休暇中ずっと晴れたのは今回初めてだった。山歩きも、山での出会いも楽しめて、良い息抜きとなった。

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