Week off④ 6日目〜7日目 小屋を抜け出したエミリー

クイーンズタウン空港でお見送り

ウィークオフ6日目。今日は両親がクイーンズタウンからオークランドへと飛ぶ日です。朝ごはんをホテルで済ませた後はバスに乗って空港へ向かいます。曇り空のクイーンズタウン、もう完全に秋から冬の気候です。時刻表通りに来ないバスを待つ間、荷物を持つ手が寒さで冷えます。

バスは間引きでもされたのか、結局20分ほど待った挙句到着。日本に帰ったら時間通りの公共交通機関に感動するやろうねぇと、両親。予定より空港着が遅くなったので、空港でコーヒーでも、、、と思っていましたがそんな余裕はなく。それでもぎりぎりまでお土産を見る私と母。

2人は次の滞在地オークランドへ向かいます。見送る時のこの感覚は、神奈川に住んでいた時、年に数回帰省していましたが、福岡から羽田に向かう時に見送られていた感覚に似ています。何度経験しても心がモヤモヤっとします。

空港をあとにした私はクイーンズタウンで夕方まで時間を潰し、16:30発のバスでテアナウへと向かいます。バスの時間に合わせてバス停へいくと、丁度ガイドを終えた、たけさんとりなさんにばったり遭遇。少しおしゃべりして、また小屋で会いましょうと挨拶。

バスでテアナウへ向かう

今回のウィークオフは中、常に人と会っていたような気がして、今から乗るバスの中くらいだらけようと思っていたのですが、何事も思うようにいかないのが人生、、、。

バスに乗るとお客さんは私しかいません。酔いやすいので、後ろの方に座るのは避け、だからと1番前はあまり好きではないので2列目の席に座ります。よし、私は今から音楽を聴きながらこの席で寝る!そう自分に言い聞かせて腰を下ろそうとすると「1番前にどうぞ。1番前が1番高価な席なんだよ。お客さんは次のバス停まであなただけ。せっかくだから1番前にどうぞ。」

私がなんと言おうと、1番前にどうぞを何度も何度も繰り返すドライバー。私は自分の意思を曲げることなく2列目に座りますが、動き出すバスの中おしゃべりを始めるドライバーは、次から次に質問を投げかけてきます。

寝るつもりだったんだけどなあ、、、。

私がガイド付きのツアー客が泊まる山の中の小屋で働いているという話をすると、彼は私の働く会社に知っている人が何人かいるらしく(りなさんもその1人!)、彼らの話や彼自身の話をしてくれました。他にもニュージーランドの歴史や植物の話、ハイキングやサイクリングの話、淡々と話す彼は、話が止まりそうで止まりません。しっかりとオチもあります。

声は、ドライバーの彼から2列目に座る私の方でなく、前へと発せられ、話を半分ほどしか聞き取れない私は、適度に相槌を打ちながら、「テアナウまでの数時間この調子なのかな」と心配になりながら、窓の向こうを眺めます。雲が広がり雨が降っています。

途中、2人の女性がバスに乗り込み、相槌係はその女性へとバトンタッチ。その女性もおしゃべりに疲れてきて、1時間ほど経った頃でしょうか、幸いにも(?)、途中ドライバーは交代となり最初のドライバーよりも言葉数は少なく、私は無事バスの中で休むことができました。お客さんが私を含め3人と少なかったからかテアナウの宿の目の前で降ろしてもらえ、私はザックを背負ってチェックインのために受付へ向かいます。

いるはずのないエミリー

夜ご飯になるようなものは何も持っていなかったので、外食するのも贅沢ですしスーパーでカップ麺を買って簡単に済ませようと、荷物を軽くして、宿から町まで20分ほど歩くことにします。20分、、、遠いなぁ、と思いながらも1人でこうやってふらっと歩くのは息抜きになります。もちろん、音楽を聴きながら。

と、そこで目の前に現れたのは黒い車。宿の中に入って行くその車の運転手は、一瞬私の目に入っただけですが、あれはエミリーなような気かまします。数秒の出来事でしたが、車を運転するエミリーの表情は強張っており、後を追いかけて声をかけようかと思いましたが、そのような雰囲気ではありません。しかしなぜ、エミリーが今日街にいるのでしょうか?彼女の次の休みは数日後のはずで、今日は小屋にいるはずですから、変です。

小屋から出てきたエミリー

翌日は、チェックアウトの時間までゴロゴロして14:00に出発するボートの時間に間に合うようブランチでも、と思っていました。目は覚めたものの起き上がりたくない私はベッドの中で携帯をいじったりぼーっとしたり。そんなオフモードの私、「さやか!おはよーさーん!」といつものエミリーの大きな声で起こされます。やっぱり昨日見たのはエミリーだったようです。声をかけに行こうかなと散々迷っていた私ですが、朝、まさかエミリーに起こされることにるとは思ってもいませんでした。

「コーヒー淹れるから一緒にそこで飲まない?どう?そんな気分じゃない?淹れていい?そこで待ってるからゆっくり起きてきてちょうだい、ね」

コーヒーを飲みながらエミリーと話すも、一杯では足りず、その後はカフェでブランチを食べながら、エミリーがなぜ数日早く小屋を出てきたのか、小屋で何があったのか、エミリーが教えてくれました。kidsたちが夜遅くまでスタッフ棟で飲んでいたようで、話し声がエミリーやジェンの部屋まで響き渡り、言い争いはヒートアップし続け、止めに入ることもできず、エミリーはストレスが溜まり過ぎてまともに働ける状態ではないと小屋を出てきたそうです。

私からも、両親がニュージーランドに来て一緒に観光した話をしました。小屋の外に出て、私と話すことで少しは気が紛れているように見えましたが、それでもこんなに疲れ切ったエミリーは見たことありません。昨日車で私の前を通り過ぎた時の話もしました。「昨日は誰とも話す気分じゃなかったのよ。やっと元通りになりつつあるけどね。しばらくは外の世界でゆっくりするわ。今シーズンあと1ヶ月、小屋に戻れるかわからない、自分でも本当にわからないわね」

私は、マネージャーであるエミリーと一緒に働けるから、今シーズンも戻ってきたと言っても過言ではありません。そんな彼女がシーズン終わりまで働けるかわからないと。私は悲しくてたまりません。けれど、私からはひとまずゆっくり休んでくださいとしか言えず・・・。エミリーはkidsたちとはもう一緒に働くのは限界だ、kidsたちを他の小屋に回してくれるのなら戻ることを考えると街のオフィスのマネージャーには伝えているようです。

荷造りをするkidsたち

エミリーと午前中一緒に過ごし、14:00、ボート乗り場まで送ってもらった私は、いつものweek offと同じように湖の上でぷかぷかと揺れているボートに乗り込みます。これから1時間ボートに揺られて森の中に戻るのです。毎回、私がweek offから小屋に戻る時は何かしら問題が起きている気がします。今回は特に小屋に戻るのが気が重いです。エミリーの立場からの意見しか聞いていないので、他のスタッフの話を聞けば、エミリーの言うことは大げさだったなと思うかもしれませんが、それでも今回は特別なような気がします。

小屋に到着したのは15:30頃。スタッフディナーまでしばらく時間があります。1週間分の服を洗濯し、荷物を整頓し、皆と話したい気分ではないので部屋に篭ります。私と同じ棟に住むエリックとデイジー、アレックスはそれぞれの部屋のドアを開けておしゃべりしながら荷造りしています。3人とも別々の小屋に飛ばされることが決まったようで、明日にはここを出て行かねばならず、部屋を片付けています。おそらく3人とも悪態はつくだけついたのでしょう、開き直った様子で一緒に過ごす最後の日のおしゃべりを楽しみながら荷造りしています。

エミリーから話を全部聞いたよとか、何があったの?とか、そんなふうに話す気にもなれない私。スタッフディナーも結局みんなと一緒にご飯を食べることをせず時間をずらしてスタッフルームに行きます。

原因は皆とあまり会話をしたくない、だけではありません。今朝から喉の調子が悪く風邪をひきかけているというのもあります。この喉のイガイガは嫌な予感しかしません。

夕食を食べているとやってきたのはジェン、入れ替わりで、アレックス。アレックスとはしばらくウィークオフ中の自分の話、小屋の話をします。「今回のゴタゴタは本当に残念だよ。最初(小屋を出ていくように)言われた時はupsetしてたけど、今は仕方ないことだと思う。」そんな感じで言っていました。怒りはおさまり、小屋を離れることに対して寂しいと感じているようです。「自分たちはそんなに夜中騒いだとは思ってないんだけどね。他人からすれば相当酷かったみたい」ここでも、特別私が今回の事件に関してどう思うか伝えることもせず、うんうんと、一通りあったことを聞き出しました。

そのあとは、やはり皆とソーシャライズする気にもなれず、部屋に帰り、久しぶりに自分のベッドで早めに就寝しました。

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