こんな山登りがしたかった。5月の雌阿寒岳

大学時代の友達が北海道に越してから「遊びに行く行く詐欺」を何年も繰り返し、いくなら今だ!とGW休暇なるものを取って北海道へ行ってきました。5日間道東にいる間、見た景色、偶然の出会い、おしゃべり、食べたもの、山登りの後の温泉とご飯、全て綺麗な箱に入れて残しておきたい思い出です。

彼女とは大学の寮で知り合い、同じサークルに入り、半年弱同じ家に住み、18切符で福岡〜関西を旅行して(最終日、電車の遅延で寮の門限に間に合わなかったような覚えが・・・)、場所は違えど1年間の交換留学をして・・・。卒業した後は何度か会ってたけど、まさか2人とも山を歩く事に興味を持つとはこれっぽっちも思ってませんでした。

雌阿寒岳に行く前日の話

この日は友人が仕事だったので、釧路在住のライブ仲間のお姉さんに釧路を案内してもらいました。

トレイラーにベンチを置いて壁に時刻表を貼ったような改札のない無人駅・南弟子屈駅から電車に揺られて釧路駅へ。約1時間15分、窓から見える景色は牧場。北海道で電車に乗るのは初めてで、こんなところに線路があるのが不思議だし、乗ってくる人がいることにも驚き。

釧路駅に到着後、お姉さんと合流。(実は、1週間前、東京で一緒にご飯を食べたばかりでした。)釧路といえば釧路湿原。釧路駅からバスで行けるらしく、バスのチケットを券売機で買い、帰りの時間も確認して出発。

雨は降らなかったものの写真の通り生憎のお天気。湿原は木道が整備されていて歩きやすく、北海道にも春があるのか…と思わせる桜も咲いていました。滅多に見れないと思ってた延齢草は、湿原のあちらこちらに雑草のよう生えてました。

湿原はウォーキングコースがいくつかあり、バスもそれに合わせて入り口に停まってくれます。展望台のようなところからの景色は、「これがアフリカか…」とよく分からない言葉が出てくるほど、視界に人や人工物が入ってこず、ザ・湿原。壮大さが伝わらない写真でもどかしいけど、これです。

北海道のデカさに圧倒されつつ、バスで釧路の街中に戻ったあとは、スパカツと勝手丼を平らげました。もし釧路に行くことがあれば、どちらもオススメです。それから電車の時間までフラフラお土産屋さんを見て回りました。道端につくしがこれでもか!と生えていたのは印象的。

釧路駅からは行きと同じ南弟子屈駅へ戻る予定でしたが、1つ先の駅で降りた方が温泉に行くのに都合がいい、ということが分かり摩周駅で下車。南弟子屈駅より大きく、周りにぽつぽつと飲食店があります。駅前で友人を待ちながらフラフラしていると、スイスから観光に来ているというキンガさんに声をかけられ、駅前のカフェでお茶をする事に。

明日、雌阿寒岳に行くという話をすると、キンガさんも一緒にいく!という流れに。「一緒のペースで歩けるかなあ」「きっと私たち置いて歩くくらい速いんじゃないかなあ」と話しながらこの日は寝ました。

雌阿寒岳登山の日

野中温泉から山頂、山頂からはオンネトーへ下るコースで登りました(オンネトーから駐車場のある野中温泉へは徒歩を予定)。

野中温泉に車を置いてトイレを済ませ、登山口で登山届けを出したらさあ出発。しばらく森の中を歩きます。視界が開けてくると、ハイマツやツツジの木々に覆われた道になります。この時期雪は残っていませんでしたが、花の時期にはまだ早い。いつかツツジの時期にも歩いてみたいなあと思いながら歩きます。案の定キンガさんのペースは速いです。私は最後尾、ゆっくり歩く事にします。

さらに行くと、大きな岩がゴロゴロした場所へ出ます。気づけばメンバーが1人増えていました。すれ違ったおじちゃんです。目がキラキラしていたのが忘れられません。後から二人の年齢を聞いた時は何度も聞き返しました。

登っていると右側にはオンネトーが見えます。これまた目を疑うような色をしています。オンネトーとは、アイヌ語から来ています。アイヌ語の由来を友達が教えてくれました。大きな湖、という意味だそうです。なんと、キンガさんによると、ハンガリー語でも同じ意味だそうです。言葉がじわりじわり音や文字を変えて東西南北広がって行く中、(偶然であったとしても)同じ音で同じ意味というのはとっても面白いです。

山頂が近くなるにつれて岩は小さくなり、こんな景色。日本の山とは思えない景色です。私が勝手に日本の山は”こんな感じ”と決めつけてたからにすぎませんが。キンガさんもこんな事を言っていました。

「Middle of the world」

北海道とか日本とかそういう枠を超えた景色、何なら、地球じゃないような景色。

写真の左手に見えるのが、雄阿寒岳と阿寒湖。

立ち入り禁止の所にはロープが張ってあります。

山頂からの景色はこちら。雌阿寒岳1,499m。

山頂でお昼ご飯を食べたら、下山です。止まると少し体が冷えるような気温だったような。下りながら右手に見えるのは、青沼。

目の前には阿寒富士。登山道がはっきり見えます。30分くらいで登れるようです。名前の通り、富士山を思い出す姿です。

さっきまで見えていたはずのオンネトー、また見える位置にぐるっと回って来ました。朝と変わらず目を疑うような色をしています。目指すのはあの湖。

砂利道からハイマツの道を抜けると再び森の中に入ります。

5月の雌阿寒岳に咲く高山植物

上りの野中温泉〜山頂までは花に会う機会があまりなかった分、帰りのルートでは小さな花がぽつぽつと咲いていたので、うれしくてずーっと写真をとっていました。
おじちゃん「さやかさん、雌阿寒岳にある花をぜ〜んぶとってるもんだから・・・笑!大雪山に行ったら大変なことになるねえ〜」

ヒメイチゲ

キンポウゲ科。名前も大きさもこの形も可愛くて仕方ありません。一輪すっとのびている姿が美しい。ヒメ=姫、イチゲ=一華と書く理由が分かる気がします。キンポウゲ科の中でもイチリンソウ属に属し、キクザキイチゲ、ハクサンイチゲと〜イチゲが付く花や、イチリンソウ、ニリンソウ、サンリンソウもひっくるめて同じ仲間のお花です。咲いている地域は北海道と近畿以北だそうです。地元の九州では会えない花ということです。北海道で会えて良かった・・・!

エゾオオサクラソウ

サクラソウ科サクラソウ属。ぎゅっと花がくっついているのが果物のように美味しそうに見えます。このピンク色の花は、オンネトー側の登山口付近にはたっくさん咲いていました。目がチカチカするほどです。最後の写真からも分かるように茎は毛が生えています。毛が生えている=エゾオオサクラソウ。オオサクラソウには毛は生えていません。

いつだったかお花の本まで出している花博士な利尻山のガイドさんが、北海道の花は毛深いんだよ。おれみたいに。なんか言ってました。たしかにそのガイドさんはくまさんのような姿です。そんな話を混ぜて花の説明をしてくれるもんだから私は花が好きになりました。あ、余談です。

フッキソウ

登山口付近、びっしり生えていたこの花。何かに似ているな〜何だろうな〜と改めてこの記事を書きながら考えてみました。カニの身。殻から身をとりだした時のカニの身に似てませんか。漢字では富貴草、緑の葉っぱが日陰でもどこでも生い茂る様子から、繁栄を意味するということです。確かに、すんごい量の葉っぱと花が辺りを覆っていました。

コケモモ の葉っぱ

おじちゃんとの会話を書いておきます。すてきなおじちゃんだったな〜。

おじちゃん「何撮ってるの?」
私「ただの葉っぱです」
おじちゃん「ただの葉っぱなんてないよ。どれどれ。これはコケモモかな?」
私「コケモモかぁ!可愛いですよね。」
おじちゃん「コケモモ食べたことある?」
私「あります!ジャムを」
おじちゃん「どんな味だった?」
私「酸っぱかったです!」
おじちゃん「昔ねえ高校生がコケモモの味をなんて例えだと思う?…初恋の味」
私「初恋!うまいですね。確かに酸っぱい」
おじちゃん「ただの酸っぱいじゃないんだよ、”甘”酸っぱい。初恋はどんなだった?」
私「初恋がなんなのかよくわかんないです?!?!」
おじちゃん「初恋っていうのはね、その人のことを忘れたくても寝るときも頭の中からその人の顔が消えないんだよ。」

その後は初恋の思い出とそのあとの恋の行方と今現在の家族の話をゆっくりゆっくりお話ししてくれました。

オンネトーへ

そんなお話、あんなお話をしながら私はおじちゃんと下山。キンガさんと友達はそんな私たちより30分だったか1時間だったか早く下山していました。友達が先に野中温泉まで戻り、車でオンネトーの近くまで私たちを迎えにきてくれました。4人揃ったところで、一緒にオンネトーへ。こんな色の湖があるとは知りませんでした。来てよかった。

その後は硫黄のにおいしかしない温泉、野中温泉でゆっくりしてから弟子屈に戻りました。せっかくなので4人で(昨日キンガさんとお茶した)カフェへ。友人もおすすめするチキン南蛮を食べて解散。

そうそう、下山途中に青のマーモットのお気に入りフリースがなくなってました。ショック。次の日にこのオンネトーにきて探すものの、見つかりません。ショック。もしマーモットの青色フリースを見つけた方がいましたら教えてください。背中の上部分にピンクのマーモットのロゴが入っています。

探しに行ったついでに「ここからのオンネトーがすきなんだよね〜」と、少し寄り道。人はおらず、静かで、湖がキラキラしていたのが今でも忘れられません。また見たくなったら来ればいい、と思い写真はありません。湖と山が近くにあるところに住むのが密かな夢です。

おわり

2日目に連れて行ってもらった能取岬からの海と友達

 

2019.11.25

 

 

 

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