【51日目】芋煮の季節

9月が始まった。ここの山小屋では9月になると夕食時の汁物が味噌汁から芋煮に変わる。今日から小屋締めまでは毎日芋煮を作ることになる。

芋煮に馴染みがない私は、初めて食べられるので少し楽しみにしていた。ここの山小屋では支配人が毎日のお客さんの数に合わせて仕込みの量、味を調節していく。

具沢山で、芋=さといもの他、きのこ類、豆腐、牛肉、ネギがどっさりと入っている。味付けは醤油とお酒と砂糖。お酒はもちろん、大雪渓だ。前にも書いたかもしれないが、ここの山小屋では調理酒に大雪渓を使っている。なんとも贅沢である。

大きな鍋でたくさん作り、私たちスタッフも夜の従食時に食べた。豚汁のようなものを想像していたが、それとは違う。九州の人間からすると初めて食べる味で驚いた、美味しい。

醤油に酒に砂糖。昆布や煮干しの出汁は取ってないが、具をじっくり1日かけて煮込んでいる。決して辛すぎず、しつこすぎず、これだけで十分なほどの具材が入っていてお腹いっぱいになる。それから、牛肉の脂で冷めにくいため、食べれば食べるだけ体が芯からあったまる。お客さんの中にはこれを目当てに登ってくる人もいるのではなかろうか。

これからは芋煮の仕込みに追われそうだ。

 

「雲の海」

槍穂高連峰の雪渓がほとんど溶けたようだ

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