山小屋とお酒は切っても切り離せない関係だと思うが、それは登山を終えた宿泊客がテラスや食堂で美味しそうに飲むお酒に限った話ではない。私たちスタッフも毎日とは言わないが、夜は飲み会のような状態だ。
135日目の夜は、スタッフの1人が買ってくれたスコッチウイスキーを2本飲み比べながら皆で嗜んだ。以前の日記にも書いたが、スコッチウイスキーのおいしさを知って欲しいと0が4つもついてしまうそれなりのお値段する瓶を買って、森の中に届いたのだ。12年もの、どんな味がするのか、ワクワクしながらコルクの栓をポンっと開ける。すると支配人「こういうお酒は音を立てないで静かに開けるんだよ!!!」
スコッチウイスキーは、初めて飲む。小屋にある3種類のウイスキーはちょびちょび飲んでいたので、今回のウイスキーがどう違うのか楽しみである。
ご飯を食べてお腹を満たしたあと、少しずつ注いでまずはストレートで飲んでみる。2種類とも飲んでみたが、香りと口の中に広がる味、全てが初めてで、お酒って美味しいなぁとしみじみ思う。日本酒やワイン、ビール、どれも好きだが、ウイスキーのおいしさは他のお酒にはない。食べながら飲みたいとは思わないか、お酒をゆっくり楽しむのなら、ウイスキーはありだなぁ、と思う。けど、クセになるのは怖いのでこんな贅沢は一年に数回だけで良いかなぁ…。
*
小屋の中はというと、台帳を見る限り、9月に入ってから最初の数日は落ち着くようだ。やっと、やっと少しだけ気を緩めることができる。天気のせいもあるが、時期的なものもある。このくらい余裕を持って過ごせる期間はお盆明け〜シルバーウィークの間に1、2週間くらいあっても良いはずだが、今年は片手で数えるほどの日数しか落ち着かない。繁盛しているということでありがたいが、少し息をつかせて欲しい。
小屋の外では、日に日に落ちていく葉の数が増えてきている。掃除をしているといつのまにか黄色く色を変えた葉がひらりひらりと秋晴れの中空中を舞い、地面に着地する。そして、今年はやけに蝶が多い。窓や扉を開けているとすぐに小屋の中に蝶が舞い込んでくる。それからトンボもお盆の頃からふわふわと飛んでいる。窓からは、西陽が当たって緑の葉がよりいっそう輝いて見える。
一つ一つに季節を感じ、支配人始め、皆が、あぁもう終わるねぇとぽつりぽつり言い始めた。すぐには終わらないのは皆わかっている、が、夏が終わって自分たちが秋にいるのを、森の変化から再認識しているのである。
COMMENT