前回のウィークオフの後もそうでしたが、休みから帰ってくると、毎日日記を書く気が全くおきず、、、。日々何かしら起きていますが、覚えている限りで書きたいと思います。
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「銃声かと思った」
105日目、MCを終えた後エミリーと散歩へ。2人きりで散歩に行くのは初めてです。特にブリッジが去ってからは、エミリーにとっての話し相手がジェンだけになったからか、私を映画や散歩、ちょっとしたすきのお茶に誘ってくれるようになりました。
前日、kidsたちが夜遅くまでお酒を飲んでいたそうでドアをバタンバタンと閉める音がうるさく、ゲストから苦情があったとのこと。
苦情があったからには街のオフィスにも報告せねばならず、参っている様子のエミリー。kidsたちは「銃声かと思った」というゲストに対して、銃がここにあるはずがない、私たちじゃなくて他のゲストがドアを閉めた音かもしれない、と言い訳ばかり。謝る様子は全くなし。
「少しでも逆らうならやめてもらう」
エミリーは街のオフィスのジャックなどと休みの日までミーティングをし、疲れ切っています。エミリーだけでなく、陰でブツクサ言うkidsたちの言い分も聞きましたが、なんだかな〜だと言った感じ。たしかにkidsたちの言うようにエミリーは少し大袈裟な部分もあります。いずれにせよ、私たちのボスはエミリー。私たちはその下で働かせてもらってるのです。彼らには謝るという概念がないのでしょうか?すみませんと口だけの謝罪もどうかと思いますが、彼らのように意地を張るのも子どもっぽいなぁ、もう少し成長できんのかなぁとも思います。エミリーによると、水曜日のリサプライでジャックがkidsたちと話し、少しでもジャックに逆らうようなスタッフは辞めてもらうとのことです。
そんなに大きな問題だとは思っていなかったので、私はびっくりして何度もエミリーに聞き返しましたが、「そうよ、今回は大きな問題よ。少しでも言い訳するようなら、やめてもらいますからね」
「もうどうしたらいいか、わからない」
エミリーの疲れは、それだけが原因ではなさそうです。シーズン初めや去年のエミリーとは、様子が違います。「さやか、もう私どうしたらいいかわからないわ。私の娘も同じくらいの歳だけどねぇ、よっぽど大人よ」完全に参ってます。
キッチンで歌ったり踊ったり、スタッフと冗談を言い合ったり、心から楽しんでいたように見えた少し前のエミリーはもういません。スタッフディナーの時間もスタッフルームににやってこなかったり、一緒に食事したとしても皆との会話に混じることは前より減りました。なんだか寂しいです。「彼らとはこのシーズンだけ一緒に働いて、友達ではありませんからね。そこはきっぱり分けないと。」そう言っていたエミリー。私やジェン、ブリッジには心を開いてくれますが、今や他のスタッフとは無駄に絡むことはなくなってしまいました。
「私、グリーンストーンで働きたいです」
そんなエミリーとの散歩中、ウィークオフで歩いたルートバーントラック、グリーンストーントラックの話をしながら写真を見せ、「グリーンストーンの小屋素敵でした。あんなところで働けたらなぁと思いました」とポロッと口にすると、エミリーはあれこれ教えてくれます。どこまで本当の話かわかりませんが、聞く限り面白そうな仕事です。
107日目のリサプライの日、たまたまジャックが目の前に現れ「さやか、ほら、今よ!」と背中を押してくれるエミリー。「私、グリーンストーンで働きたいです」とジャックに言うと、微笑みながら「ちょうどいいね、来シーズンきっとスタッフが必要になりそうだよ。それは、いいね、いいね」と。エミリーが教えてくれた話の半分以上はあっており、ジャックがグリーンストーントラックで働く場合のシフトの話をしてくれました。
グリーンストーントラック上には小屋は2つあり、スタッフは2人のみ。小屋ごとに配属されるのではなく、2人のスタッフは2つの小屋をお客さんより先行して行ったり来たりしながら掃除に洗濯、食事の準備、お客さんの出迎えを全て行います。10日間連続して働き、4日休みの繰り返しで、10日間のうちほとんどを1人で小屋番する事になります。
ジャックによると、入山も下山も歩き。ガイドはお客さんと同じものを食べるため、スタッフディナーは、自分のものだけ作ればよし。1日の労働時間は10〜11時間と長くなる。とのこと。
話を聞きながら嬉しくて涙がこぼれそうな私(私もちょっと大袈裟)。もう、これは私のための仕事といっても過言ではありません。長時間働くことは苦ではありません。仕事を1人でさせてもらえ、あんな場所に住めるのなら、もう何でもします、と言ったところ。
「ただし。問題なのは、ビザだね。」とジャック。私にビザが出せるかどうかは今の時点では何とも言えないそうで、イミグレーション次第。おそらくですが、イミグレーションの提示する最低時給を満たせるかどうかがネックなよう。こればっかしは、私は何もできないので天に祈るのみです。
「もう1人のスタッフは僕だね」
グリーンストーントラックで働けるかもしれないと嬉しくてたまらない私は、エリンやサン、アレックスにその話をします。「私ね、私ね、グリーンストーントラックで働きたいんだけどさ、」
エリンは「さやかが幸せなら、私も幸せ!」と笑顔で応援してくれます。「さやかがそうやってやりたいことを見つけられたのなら、嬉しいヨ。なんだかいいなア」サンも、面白そうだねと。アレックスは「annoying lodgesと働くのに疲れたんだね。スタッフは2人なんだっけ?僕がアプライしたら、一緒に働けるね」と、いつもの冗談で返してきます。
エミリーやジャックとその話をしてから、私の頭の中は来シーズンのことで頭がいっぱいです。1人で小屋を仕切るのなら、冷蔵庫の中は私が管理して、毎日食べたいものを気軽に作り、人間関係のストレスはなし。早く仕事を終わらせたら外で絵を描いて、散歩して。もう天国!
「さ、さ、さやか〜」
話は変わって、次はエリックの話。彼はさらに気を許してくれるようになり、よく冗談を言ってしたり、あれこれ茶化してきます。マネージャーシフトも淡々とこなし、シーズン始めとは印象が全く異なります。外から見る限り真面目に働いているスタッフの1人です。時に文句も言いますが、最終的にはきちんと仕事をやるエリック。
「おはよう、元気ですか?」
距離が縮まったのはエリックだけでなく、リリーもそのひとり。ウィークオフを一緒に過ごしてから、軽い会話を前よりも交わすようになりました。日本語の「どうも」「おはよう」「元気ですか?」を覚えて、毎日声をかけてくれます。
「私は何をしたいのか」
ウィークオフを一緒に過ごしたエリンとも会話をする機会が増えました。”人生においての選択”を迷っているようで、これから何をするか、これから旅をし続けるのか、自分の居場所はどこなのかを常に問い続けている彼女。歳が1番近い彼女のその問いは、私がここ数年かかえながらも無視し続けている問いと同じようなもので、親近感を覚えます。私とは対照的に、真剣に自分と向き合う彼女。話を聞いていると考えさせられます。
「おいしい〜」
この1週間の一番の出来事といえば、”餃子”。ガイドのかずこさんのリクエストにより、私とサンで3日かけて準備しました。100個以上の餃子を作り、半分は茹で、半分は焼きます。それだけ時間をかけたにも関わらず、すぐになくなっていく餃子。皆の笑顔は嬉しいですが虚しくもあります。まぁ、毎日のことなのですが。
「レシピをくれたら、私のレシピもあげるわ」
その他、今週作ったものは、いつものチャーハンや、唐揚げ、リゾットなどなど。そういえばスパイスたっぷりのホットチョコレートも作りました。そして、クッキー。クッキーを作るのは5回目くらいでしょうか。懲りずに実験を繰り返すのみです。どうしてもケイシーのような甘くて柔らかいクッキーになりません。それでも皆は美味しいと言ってくれますが、私が食べたいのはこれじゃない!
毎回同じものばかり作るのもなぁと思いますが、あれこれ挑戦するより、一つ何かを極めたい私は、シーズンが終わるまでクッキーを作り続けることでしょう。エミリーも、そんなクッキーを美味しいと言ってくれる1人で、「このクッキーのレシピ、私にちょうだい。欲しいわ。レシピくれたら、このパンのレシピ、あげますから。パンのレシピはシナモンロールにも応用できますからね」
*
ウィークオフから帰ってきてから、日が暮れるのがぐんと早くなったように思います。22:00過ぎても明るかったクリスマス時期とは大違い。21:00になれば外は真っ暗、外は秋の匂いがします。1月、2月とあっという間に過ぎていきました。毎日文句たらたらのこの日記も終わりが近づいています。終わってしまえば、そんな日々も懐かしいなぁと思うのでしょう。来シーズン、1人で小屋番するのが楽しみと書きましたが、数週間もすれば寂しいと思うんじゃなかろうかとそんな気もしています。
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