Week off ② 4日目 ケプラートラック、長い長い稜線歩き

ケプラートラック、反時計回りで出発

6:00にはキャンプ場を出発しようと言っていましたが、昨夜のパブで少し遅くてもいいよねと結局6:00起床に変更。6:30頃キャンプ場を後にします。ブリッジとはここでお別れ、朝早くから私たちを見送ってくれました。短い時間でしたが会えて本当によかったです。彼女のおかげで元気が出ました。

私とアレックスは、ケプラートラックの駐車場へ車で向かいます。62kmあるトラックにはDOCが管理している複数の小屋とキャンプ場があり、DOCによると3〜4日で歩くことを推奨されていますが私たちは2日間で歩くことにしています。1日目である今日は天気は良さそうですが明日2日目は雨予報。ですが2日目はほとんどフラットなので過剰に心配することはしません。

駐車場で忘れ物がないか確認をして、さぁ出発です。ウィークオフの前から、アレックスはキッチンでいろいろ手伝ってくれており、ウィークオフに入ってからも毎日ずっと一緒にいるので特に話すことなく(笑)、歩き始めます。これだけ一緒にいると、眠たいのか、お茶が飲みたいのか、お腹が空いたのか、表情からなんとなく予測ができます。

トラックは周回できるようになっており、私たちは天気の良い1日目に1番の見どころである稜線を歩けるように反時計回りで歩くことにしました。最初の数時間は湖沿いのフラットな道を歩きます。登りが始まる前に腰を下ろして朝ごはん、小屋から持ってきたデイジー作のグラノーラにヨーグルト。ヨーグルトは大きなタブを買って、今日と明日2日に分けて食べる予定です。

正直、米ばかり食べる日本人からするとグラノーラでお腹いっぱいになるのか心配していましたが、オーツにデイツ、ナッツ、チアシード、クランベリーなんかがたくさん入っているローストされたグラノーラは蜂蜜で味付けされており、思っていた以上にお腹が満たされました。

森林限界に向けての登り道

湖を眺めながらの朝ごはんの後は、登り坂が始まります。ケプラートラックの稜線に出るまでの森歩きは、想像以上に緩やかで道は整備されて歩きやすくなっています。斜度は大してありませんが、とにかく長いです。そして、ザックが重い。重い荷物を背負った状態で歩くのは久しぶりなので、ひぃひぃ言いながら歩きます。それでも、昨日と同じようにランニングの成果は感じられました。ランニングをしていなかったら、さらに息が上がってしんどく感じていたでしょう。

何度も止まる私とは反対に、アレックは平地を歩くかのように、足を前に進めています。待ってくれと言うより先に行っててくれ、と言う気分。私は汗ダラダラかいていますが彼は水をたくさん飲んでいるにもかかわらず汗をかいているようには見えません。その分トイレの回数は多い。

もうしんどい、しんどい〜というときに「あの辺に座って休憩しよう」とアレックス。もちろん、Noとは言いません。座って私はザックを開け、ミニトマトを行動食に持ってきていたことを思い出します。テンションが上がる私。トマトを口に入れた瞬間、疲れが吹っ飛びます。トマトをトマトだけで食べるのがあまり好きでないアレックスは、私がトマトに興奮しているのを笑うだけ。「these tomato made my day」

その後は森林限界に出るまでしばらくありましたが景色が開ける箇所が何箇所もあり、写真を撮りながら、私はのそのそと歩きます。彼は昼寝が好きな速足のうさぎ、私は亀状態です。

韓国人のおばさまグループにすれ違いましたが、彼らもうさぎペース。持っている荷物からして日帰りのようですが、それにしてもスイスイっと私を追い越して歩いて行きます。

稜線に出る

私のとぼとぼペースにpatientなアレックスには申し訳なくなるほどです。だからと言ってペースを合わせようと無理をするには、先が長すぎますし、そんなことをやっても身体が持たないのはよくわかっています。自分のペースで一歩一歩進むしかありません。

稜線に出ると雲は広がりますが青空はしっかりあり、テアナウの街が一望できました。湖もはっきりと見えます。稜線上を歩くこと1時間弱、最初の小屋に到着します。想像以上に綺麗な小屋が目の前に現れて驚きました。ケプラートラック上の山小屋はDOC管理の、無人の山小屋です。シンクやガスコンロの設備、バンクベッドもありますが、事前予約必須となっており、そうでない人は小屋の設備は基本使えません。

私たちは外のベンチに荷物を置き、ほっと一息ついて、小屋から20分でいけるという洞窟へ向かいます。体力をsaveするために行かないという選択肢もありましたが、せっかくだし、、、と行ってみることに。ザックを背負わずに歩くと、空でも飛んでいるかのようです。

稜線上を歩いて洞窟に向かうのですが、途中木道が現れで地中に入って行けるようになっています。大きなごろごろとした湿った岩が足元に現れ、先は真っ暗、ひんやりとした空気がただよい、どんどん地下に入っていくようになっています。ヘッドランプを持ってこなかった私たちは、今回はやめておこう、と洞窟に入るのを諦め、小屋まで引き返します。

▲洞窟への入り口

小屋に戻って荷物をピックアップした後は、トラックに戻り、先へ、先へと進みます。

お昼ご飯を途中で食べましたが、その時間帯は風が急に吹き始め、気温が一気に下がります。お湯を沸かすのも一苦労。この天気のまま稜線上は歩きたくないなという雰囲気です。しかし幸いにもその風は弱まり、広がっていた雲も流れ始め、小雨は少し降りましたが、青空の下、長〜く伸びる稜線を歩き続けます。歩きやすい道が、永遠と続きます。

 

トイレにドアがない?!

登って、下りて、登って、、、。すれ違う人は本当に様々。子連れの人も多くいました。ここでも私は私のペースで、アレックスは彼のペースで進んでいきます。途中、このトラックで1番標高が高い(はず)サミットへ行くこともできたのですが、私は立ち寄ることなくスキップ。アレックスはもちろん登ります。その間に私は先へ先へと進み、しばらく行ってなかったのでシェルターのトイレへ向かいます。

すると、ドアが見当たりません。トイレのドアがないのです。バタンと閉めるドアではなくシャッターのようなドアなのかと横だけでなく上も探しますが、ドアがありません。我慢できないことはありませんが、この先もしばらく稜線上を歩くことになり隠れてトイレできる場所もないので、トイレ周辺に人がいないことを確認して、さささっと済ませます。便器に座ると、目の前に広がるのは大きな湖に山々、景色に文句はありません。

無事、トイレを済ませた後はアレックスを待つことにします。「ここのトイレ、ドアないよ!トイレ行く?やめとく?景色めっちゃいいよ!」特にトイレに行きたそうでもない彼はトレイには行かず水分補給をし、一緒に少し休憩。するとアレックス「やっぱりトイレ行っとかないといけない気がしてきた。せっかくだから、行く!」「んじゃ、見張するよ」

トイレにしばらく時間がかかっている様子の彼。私が気づいた時にはもう遅く、目の前を通り過ぎるハイカー2人。笑顔で便器に座って用を足しているアレックスに手を振っています。「Enjoy your view!!」

トイレから出てきたアレックスは動画を撮っていたようでそれで時間がかかっていたようです。

その後も写真の通り稜線歩きが、これでもかというくらいに続きます。こういう時、日本語でその満足な状況に対して”お腹いっぱい”と表現できるかと思うのですが、英語ではなんと言ったらいいのでしょう。直訳でI’m so fullとアレックスに言いますが、案の定ピンときていない様子。景色が良すぎて満腹だと、説明します。

森の中へ

永遠に続くかと思われた稜線歩き。お腹いっぱいだという話の説明をしていると、気づけば私たちは森の中に。ここからは登りはほとんどなく下りばかりとなります。ずんずんと標高を下げていきますが、なかなか先は見えません。この辺では一緒に歩いて、what makes you happy, not happyという話をしたと思います。satisfactionはhappinessのひとつだということ、彼にとっては他人の目を気にせず、自分にはない趣味や夢を持って幸せそうにしている人を見ると、彼自身も幸せだ、と言っていました。面白い答えです。

しばらく下り続けると、川にかかった橋が現れます。アレックスは迷いなく「頭突っ込んでくる!」と、川へ下りて頭を冷やしています。木陰の中を歩いているとはいえ、暑いのです。そして特に彼は1L入る水筒しか持っておらず、途中小屋で補給したものの喉が渇いている様子で、川の水を飲んでいます。「水、美味しいよ!」と、リフレッシュした様子の彼。私はまだ残っているトマトを食べてリフレッシュ。「トマトひとつもらってもいい?」私があまりにも美味しそうに食べているからか、気が変わったのか、あまり好みでないはずのトマトを食べるアレックス。「ん〜やっぱしあんまり好きじゃない」とのこと。

サイドウォーク、滝を見ながら夕食

小屋へは17:00過ぎに到着。キャンプサイトはオンライン上では予約でいっぱいだったにも関わらず、誰もいません。私たちは早速テントを張り、近くに滝があるというので、そこで夕食を作って食べようということに。

滝までは歩いて20分程度、フラットな森歩きが続きます。今日の夕食はチリビーンズ。通常挽肉が使われますが、缶で持ち歩けるツナ、それからお米を入れることにしました。滝を目の前にお腹の空いたアレックスは見たことのないようなスピードで料理を始めます。とにかくお腹が空いているようです。持ってきた缶のうちひとつだけ、プルタブがないといけないものがあったのですが、彼は諦めることなく石で缶をこじ開けます。

ツナチリビーンズは想像以上に美味しく、2人ともぺろっと平らげます。アレックスはその後も落ち着くことなくすぐに川に飛び込み滝に向かって泳ぎます。滝の流れが相当強く押し返されるのか、近くまで行くことはできないようで、しばらく泳いだ後は日の当たる場所で体を温めているアレックス。私は後片付けをしつつ、手ぬぐいを濡らして顔を拭き、ほっと一息つきます。

ん〜それにしてもこの辺りはサンドフライが多いです。

キャンプ場へ戻った後は2人とも疲れており、すぐに就寝。明日も6:00頃起きて6:30頃出発しようか、という話になりました。今晩から雨予報、あまりひどくないことを願います。

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