【54日目】サンとbush lineへ

今日は7連勤を終え久しぶりのRDO。数日後からweek offが始まりますし、連勤後だったので小屋で過ごそうかと思っていましたが、最近小屋にやってきたサンがD Passにいきたいということで、一緒に行くことに。D Pass1人で行くことは許されておらず、必ずパソコンからリクエストをあげ、小屋にあるホワイトボードにも名前と行き先、帰宅予定時刻を書き、無線を持った上で行かなければなりません。

2週間近く前のミーティングで共有されたとある事件から、スタッフが休みの日にハイキングに出かけることに関して、かなり厳しくなりました。「なにそれ、そんなの従ってられないよ」としっかり者のメグ、「休みの日に⚫︎⚫︎をしちゃいけないと、休みの日のことまで制限されるなんてこの会社が初めてだよ、ったく!」と静かにキレていた、今は街で過ごしているのっぽな山屋ミック。

その事件というのは、他の小屋のスタッフがふらりと歩きに出かけたところ、脱水症状を起こし、小屋のスタッフが迎えに行かなければならず、さらには仕事ができる状態ではなくシフトを休まなければなかった、という話です。その事件以前は、正規のメイントラックから外れて山や湖に出かけることについて、そこまで厳しくありませんでしたが、その事件以降、スタッフ全員でミーティングが開かれ、絶対に小屋のスタッフにどこに行くのか伝え(ホワイトボードに書き)、パソコンからリクエストをあげた上で出かけるようにと、伝えられています。

とは言え。そのミーティングに参加していなかった愉快なchefケイシーはリクエストをあげずに1人で出かけていましたし、チリのカタリーナも昨日D Passにこっそり出かけていました。

私とサンは、7:00にスタッフルームに集合。昨晩、出発前に天気予報を確認しましたが、パッとしないくもりマークが朝から夕方までついています。この辺りの天気は変わりやすく、天気予報も、絶対ではないので、歩きながらまずそうであれば引き返そうと、サンと打ち合わせをします。支度を終えて小屋を出発したのは7:45。小屋を出ると暑くも寒くもなく、空は曇に覆われています。ハイキングするにはちょうど良さそうな天気です。

サンの歩くペースは私にとってちょうど良いペースで、2人で写真を撮りながら歩きます。とくにサンが夢中になっていたのがマッシュルーム。色鮮やかなきのこたちです。「これ絶対毒ありだよ!」「これ見てすごいよ!」「これは写真撮らなきゃ!」歩くペースもそうですが休憩の回数も私のように多く()、立ち止まってはおしゃべりし、ふかふかなコケを見つけては座り込んで昨日の従食であるフォカッチャや私の作ったりんごのケーキを食べます。

登山道は最近雨が少ないせいもあり、植物がカラカラに乾燥しているので、今回ここを歩くのは4回目ですが、1番歩きやすく感じました。4回も歩けば、なんとなく特長的な木や三角のマークは覚えてきましたが、それでも毎回違うトラックのように感じることも多々あります。理由の1つが倒木です。3回目である1230日に来た時にはなかった倒木がいくつかあり、こんな倒木なかったよと話しながら迂回します。

「この倒木、すんごい木の匂いするね!」「いい匂い〜」「その倒木は迂回せずにこっちから行けるよ、これは覚えてる!」「Good memory!

数箇所迷いやすい場所があり、さすがにもう騙されんぞ!と気合を入れたおかげか無事行きも帰りも迷うことなく歩くことができました。小屋の中でも1番回数をこなしているのは私なので、bush walkならおまかせを!と言ったところです。きっと今、日本の登山道を歩けば、道が小綺麗に整備されていて感動することでしょう、、、。今やD Passに向かうこの道なき道を進むのが私の中でスタンダードになっているので、倒木をくぐったり、乗りこえたり、足場が悪い森の中を歩くのが当たり前で、楽しいとすら感じるようになってしまいました。

何度も休憩を繰り返しながらbush lineに辿り着いたのは11:45。丁度4時間かかりました。しっかり者のメグと来た時は迷子の時間も含め3時間半ちょい、優しいお姉さんブリッジと来た時は5時間でした。この短期間で同じ山に4回も違う人と来ているので、自分にとって心地よいペースがわかってきた気がします。1人で来ることが許されるのであれば、3時間ちょいで上がれる気がします。

森林限界に出た頃、風が出始めたので、サンと2人で風を避けれそうな場所を探し座ってお昼ご飯を食べます。サンは、8月にニュージーランドに来てから、北島から南下し500ドルで買ったという中古の車で旅をしながら働いていたそうです。写真を見せてもらいながらその話を聞きます。最初のうちは、「車はあったほうがいいよ、車でここ行ったんだ、ツアーに参加するのは好きじゃないからね」と、さらりと車があったほうがいいと私に勧めていましたが、話が進むにつれ、「strongly recommend you to get a car.ここに行くにも、そこに行くにも、やっぱり車が必要よ、車があったほうが絶対いい!」と強く勧められます。ペーパーなので、エンジンの入れ方から学び直す必要がありますが、小屋での生活が終えたら真剣に考えることにします、、、。

他にも色々話をし、英語に詰まった時はスマホのメモ帳に漢字を打ち込んで、お互い拙い英語で説明し合います。中国語と日本語で使われる漢字は、意味が異なるものも多いですが同じ意味、似た意味を持った漢字もたくさんあります。漢字を使ってコミュニケーションを取るのはなかなかに面白く、便利なことに2人で気づき、キクラゲの話やモグラの話、漢方薬の話なんかをしました。

途中さらっとした雨が降ることもありましたが、すぐに晴れてハイキング日和な1日になりました。朝起きた瞬間は、このままベッドで寝ていたいと思っていましたが、外に出て正解。サンとの会話も楽しめましたし、彼女の前向きな性格から、少しポジティブになれた気がします。

そう言えば、山の上の花の様子もまるで2週間前とは異なり、たくさん咲いていた花は豆のような実をたくさんつけていたり、見たことのない紫色の花が咲き始めていたり。植物観察が疎かになっていますが、私って花が好きだった、、、!と思い出させてくれるハイキングにもなりました。

小屋に戻った後はご飯を食べながら皆に登山報告をします。私とサンの間ではコミュニケーションが取れていますが、私たちの英語は、英語を第一言語とする皆にとっては分かりづらいようで2人だけで盛り上がっていたかもしれません。私たちが皆の英語を聞くときに耳をダンボにしているように、皆、耳をダンボにして私たちの会話を聞きワンテンポ遅れてリアクションしていました。

従食の後は、共用のパソコンでネットサーフィンを1時間近くしてしまいました。そんな私をみつけたみんなのお母さんエミリー「Tell me a story. Do you have any siblings?」と急にやってきて、兄弟の話から、シーズンが終わった後どうするのかという話に。「日本語の話せるハイキングガイドの募集を、系列ホテルのサイトで見ました」という話をすると、みんなのお母さんエミリーもそのホテルで数週間働く予定だそうで(過去にも働いていた)、色々と教えてくれました。「クイーンズタウンのマネージャーに聞いてみるわ。いいじゃない、あなた向けの仕事ね。なんて書いてあるの?」一緒に募集ページを読み上げ仕事内容を確認します。私「ガイドをするなら長期間働かないといけないんですかね?数週間だけ働きたいんですが」みんなのお母さんエミリー「Don’t tell them!」そこに居合わせた生意気なミア「you just don’t tell them you are leaving.」ほほう、、、。短期間働きたいという話をせずにまずは雇ってもらい、辞めたくなったら辞めればいいという話です。

他にもスターゲイジングの募集なんかもあり「この仕事もいいじゃない、さやか!」私「星のこと全然わかりませんよ」みんなのお母さんアニー「適当に言っておけばいいのよ適当に!」ジョークが止まりません。

最近やっとみんなのお母さんエミリーの英語が徐々にわかるようになってきた気がします。全く聞き取れなかった小屋入りすぐの頃は、何かシリアスな話でもしているのかな、と思っていましたが、聞き取れるようになり、彼女が四六時中ジョークを放っていることに気づきました。次はそれに対しての切り返しがうまくできればとは思いますが、それまでにはまだまだ時間がかかりそうです。

明日は私の誕生日。そして、初めてのlodge attendantの仕事の1つであるPシフトの日です。スタッフルームに張り出されている仕事リストを読んでいると、みんなのお母さんエミリー「心配しなくていいわよ、朝は私がいるから何をしないといけないか教えますからね、心配しないで。あなたなら大丈夫」

Pシフトは、朝から鍋など大物を洗い、午前中は客室の掃除、午後は4.5時間の休憩があり、従食後はまた鍋を洗い続けるというシフトです。cookより休憩時間が長く、従食を作らなくていいので気が楽ではあります。同じ仕事ばかりでなく、新しい仕事を覚えられて、not get boredとポジティブに捉えることにします。これから数週間は5つあるattendantのシフトの仕事を覚えるのにひぃひぃ言う毎日になりそうです。

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