ここに来てから20日、今日は私には理解し難い、とある出来事がありました。
見習いcookロビンと私2人で夕食を作るのは3回目。見習いcookロビンはさつまいもをオーブンで焼き、芋の上にチリ(豆や野菜をトマトベースで煮たもの)をかけるメイン料理、それからキャベツのサラダを作り、私はオーブンでオムレツと、マッシュルーム(ここで食べるマッシュルームは椎茸のような大きさですが、味は小さいマッシュルームと同じです)を焼きました。
特に意図していませんでしたが、全てベジタリアン向けの料理になり、肉や魚はなし。このような日はこれまでに何度かあり、私も彼も気にしていませんでした。見習いcookロビン「ガイドにベジタリアンいるみたいだし、良いよね」
料理が全て並んだ17時過ぎ、皆、今日の夕食はなになに〜?と集まってきます。のっぽな山屋ミック「You guys killing it! 」みんなのお母さんエミリー「今日の夕食は何かしら?あら、肉はないの?肉、なし?!いつから肉食べてないかしら!」私「一昨日のラザニアに肉入ってましたよ!日曜日ですね、2日前。」みんなのお母さんエミリー「もう何日も食べてない気がするねぇ!」
テーブルに並べるもので足りないものはないかとキッチンとスタッフルームを行き来し、落ち着いたので席に着いて夕食を食べ始めます。いただきますの挨拶等、みんなで揃って食べ始めるということはしないので各々のタイミングで皿に盛り、食べ始めます。あれ?さっきまでいたみんなのお母さんエミリーがいません。
食べながら皆、あれやこれや話をしています。私は、オムレツの味つけ薄かったなぁとか、明日は何作ろうかなぁとか、みんなのお母さんエミリーどこいったんだろう?とか、考えながら皆の会話を右から左に流していきます(笑)。すると途中から、みんなのお母さんエミリーの話になり、のっぽな山屋ミック「エミリー、肉がないからって食べないんですね、正直驚きましたよ」みんなの姉貴キャサリン「私の兄弟も、肉がないとご飯食べないよ。野菜だけじゃつまんないみたいで、野菜を肉で食べるって感じなんじゃない?エミリーも同じだと思うわ」
え!肉がないから夕食をスキップしたってこと?!?!その後も、議論は続き、、、。ベジタリアンが肉を食べないという選択をしているのと同じで、肉がないなら食事をしないってことだと思うという意見や、それは違うという意見、私は「お腹が空くより何か食べた方がよくないですか、、、」という食いしん坊発言。
優しく真面目な見習いcookロビンは、「”肉がないなら食べない”ってこと、直接教えてくれたらよかったのに、、、。I feel so bad for her. 明日は肉料理やるつもりだから、明日は大丈夫だけどさ、、、」
正直、エミリーが肉がないから従食を食べないというのは、ただの好き嫌いをしている子どものように私は思ってしまいました。見習いcookロビンと私2人で、毎日何作ろうか頭を捻り、一生懸命作ったご飯です。ただでさえ(という言い方も悪いですが)、ビーガン、ベジタリアン、アレルギーのスタッフやガイドに気を遣いながらメニューを考えなければならず、苦労させられています。ベジタリアンやビーガンには肉なしを、デイリーフリーには乳製品を使わず植物性のものを、などなど考えていると、品数は必然的に増え、慣れない私たちにはとても時間がかかってしまいます。
エミリーは、野菜がアレルギーな訳でも何でもなく、食べることができるのです。”肉がないから野菜だけの料理は食べない”ーうーん、私にはわかりません!お腹が空いてないから食べない、今日は朝昼たくさん食べて夜は抜きたいから食べない、食べてみたけど不味かったから食べない、そういう選択とは違う気がするのです。
怒りや不満ではなく、ただただ私にとっては理解し難い出来事でした。そんな人もいるんだなということが分かり、またひとつ勉強になったと書いておきましょう、、、。
“みんなのお母さんエミリー、夕食スキップ事件”以外に起きた出来事はというと、しっかり者のメグがついにweek offに突入で仕事を昼過ぎに終えた後、夕方の便のボートで街へ向かいました。いつもハイテンションな彼女ですが、今日は喜びが顔に滲み出ており、ついにreal worldに行く日が来た!prisonから抜け出せる!と言いながら大きなザックを背負い軽い足取りで小屋を後にしていました。
生意気なミアは私が小屋入りしてからしばらくツンツンした態度でしたが、最近少しずつ話しかけてくれるようになってきて「さやかが作ったフライドライス、美味しかったー!sushi riceで作ってるのよね?だから美味しいんだねー!」私が昨日作ったチャーハンの余りを食べてくれたようでとても気に入ったようです。
そうそう、小屋には数種類の米のストックがあるのですが、日本の米が入っているパッケージにはsushi riceと書かれています。初めて見た時は、愉快なchefケイシーと見習いcookロビンにこう言いました。「sushi riceって何のこと?sushiを作る特別な米なんてないし、この米は日本人が食べる米であって、私たちからしたら普通の米。スシライスでも何でもないよ!」
17:30、従食を食べた後は、久しぶりに1人で散歩に出かけました。2時間ほど、のんびりカメラを持ってお散歩。ダウンロードしている洋楽をイヤホンで聴きながら歩いていると、ここでの生活の成果なのか、歌詞の英語がスルスル耳の中に入ってきて、少しぞぞっとしました。意味がわかるかどうか別にして、これまで音やメロディを中心に聞いていましたが、今日は意識せずとも言葉が嫌でも耳に入ってくるのです。
歌詞を聞いて意味を考えたり、足元の花を観察しながら歩いていると時間はあっという間に過ぎていきます。少し風があり、空は雲で覆われてはいますが、今日も川の色は深い緑、ざわざわしていた自分の中の何かが、すーっと中心に集まり、落ち着いていくような色です。ずっと見ていられます。
帰り道は左手の川沿いにまっすぐ歩きます。川の色や足元の植物のばかり気にしていましたが、たまたま右手の森の中を覗き込んでみると、茶色いおしりが見えました。ここに来てから2度目のしかです。私に気づくなり音を立てずに姿を消しました。その後、小屋に戻ると、客室のある棟のすぐそばで、また別のしかがこちらを向いて立ち止まっています。じーっと私を見、私も動かずに見返します。草を食べては私を見てを何度か繰り返し、森の方へ帰って行きました。
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明日は水曜日、1週間分の食費がどさっと届くヘリ日です。ヘリ日は、食材の整理をしていきますが、いつも愉快なchefケイシーが食材整理をやってくれていたので、私は実際にやるのは初めてです。みんなのお母さんエミリー「明日は2人で協力してやってちょうだい。整理して、足りないものがあれば、木曜日が発注日だから教えてちょうだいね」
みんなのお母さんエミリーからは、他にもヘリに下げてもらうゴミのことや、万が一の時のために発電機の付け方なんかを教えてもらいました。ゴミは、「ヘリで運ぶ途中に袋に穴があいて中身がそこら中に落ちたら大きな問題に発展しかねないからね、二重にした上で網で括って運ぶのよ」リサイクルできるカーボン紙や瓶類は別で包みます。
発電機は、灯油で動いていますが、これも足りなくなってくるとヘリ日に運んでもらうそうです。スイッチが3箇所あるのでそれらを押したり回すだけ、思っていたより簡単です。スイッチを押し、発電機が動き始める瞬間は振動と音で吹き飛ばされるかと思いましたが、、、。
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この数日で、先のことを考えて自分で自分を不安にさせる悪循環から解放されつつあります。明日のことは明日考える、明後日のことは明後日考える。予定を立てたところで、いつ何が起こるかわかりません。ここに来る前や来てすぐは、先の不安ばかりしていましたが、考えるのをやめてから、少し楽になった気がしますし、行き当たりばったり度が高まっています。
ということで。明日のヘリ日、仕事が順調に進むかもちろん心配はありますが、明日の自分がどうにかしてくれるはず、今日はゆっくり寝るとします。
▲今日の定点観察
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