【4日目】無料の料理教室

空気がじっとしている。寒くはなくなってきた。

外に出ても写真の通りガスの中。稜線や雲海といった景色は見ることができないが、足元に目をやると、高山植物で溢れているのがわかる。

山小屋にきて初めて花を撮った今日

今日から、朝は早番と遅番に分かれて出社する。出社と言っても、起床数分後には仕事をしている状態なので、今まで満員電車に1時間揺られていたことを思い返すとなんだか不思議ではある。

今日はお昼の従食として、9人分のチャーハンを鉄のフライパンで作ることになった。汁物はわかめスープ。

そんな量、もちろん初めて作る。鉄のフライパンも初めて持った、重い。木べらで焦げ付かないように混ぜながら、味付けをしていく。量が量だけに、もう何が何だかわからない。先輩に味見してもらう。

だしが足りないのか、塩が足りないのか考えるといいよ

出来上がったチャーハンはガチガチのガチガチだった。

夜も1人1品ずつ作ることになった。山小屋の仕事を1つずつ覚える毎日だが、今のところ自分の中では従食という壁が一番大きい。越えられるのだろうか。

頼りは、小屋に沢山ある年季の入った料理本。今ある食材でやりくりしていく必要がある。明日は何を作ろうか、これは作れるだろうか?この野菜は使っていいのか?あの肉は食べていいのか?他の先輩はこういう。

山小屋は無料の料理教室だよ

そうか、そうなのか、、、これを機に、料理ができるようになって下山できれば、こっちのもんか。

1日の仕事がほとんど終わり、夜の従食の時間に皆でテーブルを囲むと、日中の悩みごとは消えていく。

目の前にはお酒がずらりと並んでいる。ここは、毎日が飲み会、山小屋での夕食にお酒は欠かせないようだ。

 

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