【28日目・29日目】溜まっていく疲れ

▲28日目の定点観察

28日目、1221日水曜日は、週に1度のリサプライの日。前日から、もとい、先週の水曜日以降毎日この日のことを考えなら仕事を進めてきました。ヘリが5.6便来て大量の食糧を小屋に運んでくれるありがたい日ではあるのですが、少なくとも2時間は仕事を中断し冷蔵品、冷凍品、野菜、缶詰、パンなどの整理に専念しなければなりません。

ヘリは、大きな音を立てながら冷蔵庫のようなボックスやcageをひとつふたつぶら下げてやってきます。ぶら下がる紐の先には大きなカラビナのようなものがついており、それを街からやってくるマネージャーがカチャっと外して荷物が小屋の隣の広場に並べられていき、その箱の中からよいしょ、よいしょと段ボールに入った食材を冷凍室、冷蔵室、常温の倉庫の前に置いていきます。

食材をそれぞれの部屋に入れて整理する暇なく、ヘリは次から次にやってきます。ヘリが荷物を落とす小屋隣は背の低い植物で覆われており、ヘリが来るたびに風で植物がなびき、私たちも飛ばされそうになりながら、空を見上げます。天気も良く青空の中やってくるヘリ。上空からはどんな景色が見えるのでしょうか。

クリスマス前のリサプライということもあり、クリスマス用のスタッフのお酒(for free!!!)やスタッフ、お客さん用のお菓子、いつもは見かけないイチゴや桃などのたくさんのフルーツ、大きな骨付きのハム、高級なチーズ、、、これでもか!とたくさんの食べ物が送られてきました。week offで常に誰かしら街に降りていてスタッフはフルでいないですし、この量は食べきるのは不可能に近いです。

見習いcookロビンはクリスマスボックスを開ける子どものように、届いたフルーツやお菓子に純粋に喜んでいる様子ですが、私は素直には喜べず、食糧は最低限にして、給料を増やして欲しい。そんなふうに思ってしまいます。一部は食べ切る前に腐ってしまい捨てる日が簡単に想像できてしまうからです。

食糧の整理は、見習いcookロビンと私の2人でやっていき、みんなのお母さんアニーはweek offでいないので、みんなの姉貴キャサリンが無線片手にあちこち行き来しながら手伝ってくれます。前回もそうでしたが今回もとにかくサンドフライに悩まされます。刺される時にチクっとするのですが、それを感じた後に叩いて殺してももう遅いのです。今日もこの数時間でたくさん刺されてしまいました。

食材の整理がひと段落した後はサンドイッチを食べて、仕事を再開。今日の従食は冷凍で送られてくるタイカレーをトレイに入れてパイ生地を上から被せ、カレーパイを作ることにしました。あとはオーブンで焼くだけの状態にし、17:00の従食までフリーなので久しぶりに散歩に出かけることに。ボート乗り場とは反対側の隣の小屋方面へ行くことにしました。天気は良く、しばらくまとまった雨も降ってないからな川の水位は下がっているように感じます。

橋を渡り川沿いの森の中を歩き、1時間ほどゆっくり散策します。川の色は時間帯や天気で毎回違うので見ていて飽きることはありません。足元に咲く花の数も増えたように思います。今日まで見かけることのなかった紫の花も見かけました。しゃがんでよく見てみると、ウツボグサのようです。地元の福岡の山に咲いており、長野の山小屋周辺にも変種の花が咲いていました。それらと同じ花のようです。じっと観察したいところですが、立ち止まったり座り込んでいるとサンドフライはすぐに私を見つけて集まってくるので、ささっと写真を撮るだけにします。

小屋に戻ると、ハッピーオーラに包まれたしっかり者のメグが1週間の休暇から帰ってきていました。私とは真逆のオーラを発しており、皆での従食の時間には、彼女の旅の話で盛り上がりました。お母さんと一緒にニュージーランドの南、スチュワートアイランドへ行き、4泊テントで過ごしたそうです。帰りは最南端の街からヒッチハイクで戻ってきたようでその話もしてくれました。「幸運だったんだと思う!でっかい8トンくらいのトラックが気づいてくれて、乗せてくれてさ!ラッキーだったほんと!!!」

この日は、従食のあともボート乗り場の方へ散歩。ボート乗り場は開けているので風を受け、少し寒く感じます。日中はあんなた暑かったのに。風があるとサンドフライは私に寄ってくることはないので、しばらく湖を眺めることにします。湖の向こう、街に出る日まであと1ヶ月かぁ。

毎日調理しているアスパラガスにしか見えない木の枝

 

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▲29日目の定点観察

 

翌日、29日はささっと仕事を済ませてのんびり散歩でもしようと思っていましたが、なかなか終わりません。unlucky dayのようです。なぜかというと、前日にいつもより少な目に仕込んだ朝食のベーコンやオートミール、スクランブルエッグが、今日のお客さんには足りなかったようで、追加で何度も作る羽目になったからです。毎日あまりが出て捨てることになりますし、今週は卵が入って来なかったので量を意図的に減らしたのですがそれが凶と出てしまいました。

いつも通りに多めの量で作れば余りますし、少なくすれば足りないと言われ、フードロスはなくしたいし、どうすれば良いのか。リッチなお客さんが泊まりにくるようなこのような宿泊施設では心の声を無視して、大量生産するしかないのでしょうか。

私たちcookchefは基本的にお客さんと話すことはありませんが、たまたまドアを開けて、ダイニングルームにるスタッフルームに話しかけようとしたところ、お客さんに捕まってしまい、若めの男性「卵はもうありませんか?」年配の男性「卵はもうないって?俺はまだ一口も食べてないんだけど、どうしてくれるんだ?」すぐにガイドや他のスタッフが対応してくれ、私は調理に戻りましたが、他にも朝から他のお客さんも、あれはどこだ、これはないのかの連続でてんやわんやです。

連勤の疲れも溜まっており、私が「朝から大変だったよ、、、it was crazy morning …」とぼやくと、見習いcookロビンは「従食のことは気にしなくていいから。時間になったらキッチン入って手伝うよ、お疲れ」と励ましてくれます。

仕事を終えたのは15:00前。今日はなぜか時間が過ぎていくのが速く感じます。早く終わらせないと、早くしないとという無意識な焦りをいつもより何倍も感じ、きっと疲れているのだと思います。同じく、みんなの姉貴キャサリンもみんなのお母さんエミリーが不在にしている間、連勤が私より長く続いてますし、朝の7:00前から、夜の20:30まで中抜けはあるものの1日中働いているので日に日に疲れが顔に滲み出ています。

もう1人、明らかに目の輝きが以前よりも薄く、無のオーラを纏っているスタッフがいます。のっぽな山屋ミックです。彼がスタッフルームにいないときに、みんなの姉貴キャサリン「多くて3人は辞めていくんじゃないかな、1人は確実。チリのカタリーナはどうだろうね、いるかもしれないし、辞めていくような気もするけど」

チリのカタリーナが辞めるという話は、私が小屋入りしてすぐのころ、本人から聞いていたので、驚きはしませんでしたし、のっぽな山屋ミックのこともカタリーナから又聞きし、最近の元気のなさから感じ取っていましたが、3人目は誰だかわかりません。

みんなの姉貴キャサリンの話を聞いて、生意気なミア「私はリッチになりたいもん、去るつもりはないわ、Wi-Fiがない生活もしたかったし。ここにくる前は1時間TikTokして、みたいなこと続いてたから」と、働く気満々です。

あぁ、みんな辞めていくのかぁ。それにしても長く続けることが正義という文化の中で育ってきた私からすればワンシーズン5ヶ月なんてあっという間ですし、文句言わず続けてみればいいじゃないかと思います。何年も続けろとは言いません、始めたからには、最後までやる。1.2ヶ月で判断してしまうには早い気がします。

それは、私のようにやりたいことが特にはっきりしているわけでもなく、稼ぎたいが目的で働いているような人に言えることなのかもしれません。彼らはきっとやりたいことがはっきりとあり、自分の軸からズレていると判断し、去っていくのでしょう。引き止めることは、残る私たちや会社にはできないことです。

夜の従食は、今日も続けて冷凍で送られてくるミートソースを解凍しパスタをメインに、私はにんじんしりしりのようなものを豆腐を入れて作りました。見習いcookロビンはカリフラワーをゆがいて、その上に手作りのソースやチーズをかけオーブンで焼いた料理を作ってくれました。

愉快なchefケイシーが休暇に入ってから1週間半ほど経ちました。彼が小屋を出ていく時は、どうなることかと不安で仕方ありませんでしたが、今や不安は消え、疲れは溜まっているものの、キッチンに立ち、皆の夕食を作ることに慣れてきました。見習いcookロビンとも少しずつ会話は増え、日に日に仕事はやりやすくなっています。とはいえ、愉快なchefケイシーの作る、perfectdinnerが恋しい!というのも本音です。

夜、寝る前に外を見てみると、山を覆う大きな雲がピンクに染まっていました。22:00前、夕暮れの時間です。しっかり者のミアが教えてくれましたが、1221日が夏至で日が1番長い日ということでした。これから日は短くなっていくということです。

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