今日は、優しいお姉さんブリッジとD Passへ。昨日の夜、打ち合わせをして5:00にスタッフルーム集合ね、と決めていました。4:40に起きると、夜中に降り続いていたは止んでいますが、外はまだ真っ暗、長袖一枚では肌寒く感じます。
▲今日の定点観察
スタッフルームへ行くと、いつもの独特なリズムとイントネーションで「おーはようさん」と優しいお姉さんブリッジ。道中で食べるランチボックスを作り、私は朝ごはんを軽く食べ、2人で持ち物確認をして、5:45に出発します。森の中をこの時間帯に歩くのは始めてです。清々しい朝、とはいかず、どんよりと雲が広がり、今日どんな1日になるのか全く予想ができない雰囲気が森の中に漂います。
優しいお姉さんとは、bush lineまで行って、それより先は自分たちの体力とペース、時間を見て決めようと話していました。歩き始めは、これ以上ゆっくり歩けないというようなペースで私先頭に歩きます。彼女はD Passに行くのは初めてで、普段も他のスタッフのように小屋の周りを走ったり、休みの日にガツガツ歩いたりすることはありません。数週間前までは、私はD Passは行かない！と言っていましたが、ゆっくり歩くなら行ってみたいと気が変わったようで、歩いてる途中にも「皆レースのように歩いてるけど、あぁゆうのは勘弁よ！さやかとゆっくりペースで歩くっていうから来たけど1回で十分ね」と。
歩き始めて45分、森から出て川に突き当たり、靴を履いたまま渡ります。朝早く、日も当たっていないので川の水は冷たいんじゃないかと心配していましたが、それほどではありません。川を渡り終えた後は優しいお姉さんブリッジ「写真撮っておきましょ、行く前の私たちの写真。帰ってきてからも撮らないとね」
川を渡り終えると、急登が始まります。今日は焦らず、とにかくゆっくり歩く日、息が上らないペースで、優しいお姉さんブリッジの様子も見ながら足を進めていきます。誰かと山に行くときは私よりペースが速い人と行くことが多く私は大抵置いてけぼりになるので、このように誰かとゆっくり登るのことは久しぶりです。1人で歩くときも、自分のペースが掴めず無理して疲れては、休憩ばかりしてしまうのです。
息が上らないペースで歩くことがどれだけ心地よいことか。昨晩の雨で気温が低いせいもありますが、汗をかくこともありません。優しいお姉さんブリッジとは、ほらあの木見てみて、とか、きのこ変わった色してるよ！とか、植物観察しながら進みます。「レースのように駆け上がっていく人たちは、このきのこに気づくこともないんだろうね！」速いペースで歩いている人たちは、自然を楽しむ余裕があるのか？と話しながら歩きます。
一方、天気は青空が遠くにチラッと見えたかなと思えばすぐに隠れ、しまいには小雨が降り始めます。レインウェアは着ていますが、シャワーを浴びたように全身濡れ、靴の中はぐしょぐしょです。数ヶ月前までは、山を歩くときに少し靴が濡れるだけてか不快に感じていましたが、ニュージーランドに来てからこの不快さにすっかり慣れてしまいました。濡れたら濡れたで仕方ない、帰ったらシャワーを浴びればいい、靴は川を渡れば綺麗になる。それだけのこと。
2時間ほど歩き続けたところで、優しいお姉さんブリッジは朝ごはんを食べていなかったので、座って休憩することに。標高が上がったのもあり、特に手は寒く感じ、ポケットの携帯に手を伸ばし写真を撮ることでさえ面倒です。彼女は、木を見上げ、今この瞬間を楽しむ心の余裕がたっぷりあり、気持ちいいね、と何度も口にしています。
この森の中を歩くのは私は3回目ですが、オレンジの三角マーク以外に、距離を示す標識や目立った印がないので、距離感や時間配分ができません。彼女に、あとどのくらいかしらと聞かれても、few hoursとしか言えず、ひたすら歩くのみ。似たような景色が森林限界を出るまでずっと続き、森の中の道を覚えるまでにはあと10回は往復したいところです。
歩き始めて5時間経つころ、森林限界に出ます。しっかり者のメグと歩いたときと比べると倍近くの時間がかかりましたが、一度も迷うことなく、bush lineに出ました。うーん、しかし残念ながら見えるはずの景色は雲の向こう。私は雲が切れないかなと辺りを見渡し、優しいお姉さんブリッジは、足元に咲く、小屋付近では見かけない花の写真を撮っています。そのときです。誰かが雲の上から息を吹きかけたように、ふっと雲が流れていき、ニュージーランドで2番目に大きな湖が姿を表します。「ブリッジ！湖！湖が見えるよ！」
それは一瞬の出来事で、写真を撮っていると、湖は雲の向こうへと姿を消していきます。その後、4.5回同じように雲が切れたり、かかったりします。青空の下の山歩きはもちろん文句なしですが、今日のような目の離すことのできない天気の日にも違う良さがあります。晴れの日の景色が静止画であれば、今日のような雲の流れがある日は動画です。
お昼ご飯を食べ、持ってきたお湯で味噌のペーストを溶かして味噌スープを2人で飲みます。味噌スープが好きな優しいお姉さんブリッジは山の上で飲むのは良いアイディアだね！ととっても喜んでくれました。
下りは膝のためにも、登りよりゆっくり歩きたいという彼女の希望で、ペースを落として下りました。おかげで迷うことなく順調に進み、17:00に小屋に到着。2人とも何度か滑ってコケましたが、怪我することなく無事に戻ることができました。途中、苔の上に寝転がって空を見上げたり、滑った拍子に手をついた倒木がちょうど良くベンチのようだったので「これは座って休憩しなさいってことよ！」と2人で倒木に座ってリンゴを食べたり。約11時間、小屋を離れてりリフレッシュすることができました。
小屋に戻ると、従食の時間だったので着替えることもなくぐしょぐしょの靴のままでスタッフルームに行き、今夜のメニュー、フィッシュアンドチップスを頬張ります。冷やしておいたビールを2人で飲み、皆に登山報告も。
次に行くのはいつになるでしょうか。森林限界を突破した後は飽きることのない。山と湖が広がる景色ですので、今シーズン中は出来る限り行きたいと思っています。
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