今回のweek offでは、日本の山小屋で2シーズンを共にした先輩がニュージーランドに遊びにきてくれると言うことで1ヶ月以上前から予定を立てていました。2週間ほどの滞在で、ちょうど私のweek offが重なったので、一緒にP小屋に行き、Mパスへ登ろう!と決めていました。シーズン終わりでへとへとの私。そんな私のことをよく知る先輩が遥々ニュージーランドに来てくれて、日本人の感覚で日本人に対して日本語で話ができるって本当にありがたい話です。先輩にはニュージーランドのことを好きになってもらえたら本当に嬉しいです。
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下山した翌日であるweek off 1日目、私は会社のバスに乗ってテアナウへと向かいます。顔馴染みのガイドがおり、P小屋に行くんだ〜と言うと、ガストロ(胃腸炎)が流行ってるけど大丈夫かな?!と心配されます。

その日は私はテアナウに1泊。先輩はクライストチャーチの空港に到着してからレンタカーで南下。私たちは、week off 2日目の朝、テアナウで合流します。
合流してからは、先輩の運転で(私はペーパー歴10年以上です)テアナウ・ダウンズへ。テアナウ湖を行くボートの船着場です。先輩に会うのは半年ぶりですが、なんだか数年ぶりのような感覚。半年前まで一緒に働いていたなんて信じられないくらい、今のニュージーランドの山小屋生活が濃いのです。
「直前になると、ネガティブになっちゃって。出発前に美容室に行ったんだけどさ、美容師さんにニュージーランドに行きますって話をしたら、“直前にネガティブになったとしても、行かなきゃよかったって後悔することはないんじゃないですか”って言われてさ、そっか〜って思ったんだよね」と先輩。私も同じように誰かと予定を立てたり、目の前に大きなイベントが迫ってくると、行きたくない、ドタキャンしたい、そんな気持ちでいっぱいになるので、先輩の気持ちはよくわかります。しかし、その美容師さんの一言もうんうんうんと頷けます。
そんな話をしながら到着したテアナウ・ダウンズは、私は何度目でしょうか。見慣れた光景ですが、先輩は「本当に何にもないね!」と。ボートに乗り込んでいざ出発、虹も出迎えてくれました。


ボート乗り場からてくてく15分、まずはG小屋に到着です。私が2シーズン過ごした場所だと先輩には以前から話していました。

一緒に中を見て周り、小屋の皆にも挨拶をします。私は前回のweek offにG小屋に泊まらせてもらったので、皆も私の顔を覚えてくれている様子。前回は会えなかった日本人の男の子ふうまくんも掃除中でしたが少しお話しすることができました。
「歯が痛くて、寝れないんですよ〜」と彼。数日後にはウィークオフが始まるようで、歯医者に行くと言うことです。無事治るといいのですが・・・。そんな彼は元消防士。「いやぁ〜山小屋生活、楽しいっすね!!!」
洗濯室に行くと、M小屋で2週間だけ助っ人として働いていたジェイを発見。久しぶり、元気?と話をします。M小屋よりG小屋の方がスタッフの数が多い分、仕事は楽だし休みもあるし、きっと楽しめるよと私や他のスタッフはそう言っていましたが、実際に働いてみてジェイ「M小屋が恋しいし、M小屋よりG小屋の方が大変・・・」と言っています。なぜ大変かというと、ガストロ。病人が出ると、部屋掃除はいつも以上に丁寧にせねばならず、それが毎日続いているようで、忙しい日々がこのところ続いているそうです。
スタッフルームに行くと、シェフやマネジャーのスタッフが休憩中。彼らも疲れている様子。シーズン終わりということもあるのでしょうが、それにしてもどんよりな雰囲気です。気のせいでしょうか。私が彼らにP小屋に泊まりにいくと話すと、「泊まりに行けるのかな?」「ガストロのことは聞いた?」と尋ねられます。私はオフィスから止められなかったよと答え、G小屋を離れて16km先のP小屋へと向かいます。

途中、赤ブナの大きな大きな木を見るためにオフトラックに入ったり、サイドウォークであるwetlandに立ち寄ったり、DOCの小屋を覗いてみたり。おしゃべりしながら晴れの日の森歩きを十二分に楽しみます。


ゆっくりゆっくり歩いたからか5時間ほどかかって、P小屋に到着。ちょうどスタッフディナーの時間です。スタッフルームにまずは挨拶に行こうと、私を先頭に小屋の中へ入っていきます。
ドアの向こうに見えるのは、ご飯を囲んで無言で食事をしている10人以上のスタッフとガイドたち。G小屋に続いてP小屋もみんな疲れてるなあ、なんだか暗い雰囲気だなあと思いつつも、私はドアを開けて中に入ります。すると、静かなはずのその空間が、さらに静かになり、空気が張り詰めます。私に全員の視線が集まり、時間が止まってしまいました。
「You shouldn’t be here…」とリリーフマネジャーのケイト。しかし来てしまったからには、追い出すことは出来ません。「ガストロのお客さんが毎日出てるから今はスタッフや友人家族の他の小屋への宿泊は出来ないようになってるよ。でもここまで来たら追い返せないわね・・・。来るって知らなかったから・・・。えっと・・・。部屋も準備しないと・・・。」
先輩にはなんだか気まずい雰囲気になってます!と伝え、ケイトはテキパキと部屋を準備してくれます。「この部屋2人で使っていいからね。トイレとシャワーはこっちじゃなくって、あっちを使って。準備が出来たらいつでもご飯、食べに来てね」
私たちは荷物を置いてスタッフルームへもう一度向かいます。そこにいるのは、G小屋のふうまくんの奥さんであるりんかちゃん、それから私のニュージーランド山小屋生活1年目に一緒に働いたケイシー。ケイシーの彼女である2年目に一緒に働いたキャロリン。他、知っているガイド、初めましてのP小屋のスタッフ達。なんだか気まずい雰囲気になってしまいましたが、皆「来ちゃったからには、もう仕方ないよね!」とウェルカムしてくれます。
リリーフマネジャーのケイトはオフィスのマネジャーとやりとりを何度もしてくれ、「2泊の予定で来てると思うんだけど、今日1泊して明日帰ってもらえるかな」「私たち、明日泊まる場所、ないのですが・・・」すると、りんかちゃんは「私たちが使ってるバン、中で寝れるし使っていいですよ!」と。ケイト「そうよね、もう一度オフィスに確認してみるね」
予定はやっぱり予定通りにいかないよなあ、と先輩とテアナウの宿を探さないとですね・・・と話し始めていると、ケイト「2泊していいことになったよ。ただ、今いるスタッフだけは守りたいから、食事はゲストと一緒にしてもらって、スタッフルームには近づかないように。スタッフが1人でもガストロになっちゃうと大変だから」山小屋で働いている私も、先輩も、この状況はよくわかります。2泊させてもらえるだけでありがたい話です。
しかし、私たちがシャワーを浴びて部屋で荷解きをしていると、ケイトが再びやってきます。「服はきてるかしら、入ってもいい?」次は何の知らせでしょうか。「オフィスのティムと電話したんだけどね、今まで言ったこと、何にも気にしないで。2泊していいし、スタッフルームに来て大丈夫。大丈夫だから。」この時、実は先日ティムに会ったときにP小屋に泊まるって話したんですよね、とケイトに告白。「テイムには何も言われませんでした」「彼も電話でそう話してたよ」私もケイトも何も言いませんが、本来なら、マネジャー陣の1人であるティムが私のP小屋での宿泊を止めるべきだったでしょう・・・。
先輩とは、何も知らずに・誰にも止められずに、泊まりに来ることができてラッキーだったね、と話します。森の中、山の中には日帰りで来ることももちろん可能ですが、泊まることでゆっくりと自然を堪能できるのはもちろん、小屋の様子や働くスタッフとも関わることができて、滞在時間が長ければ見えてくるものは変わると思うのです。
この日の夜は、スタッフとおしゃべりしていいし、ゆっくりラウンジでくつろいでもいいし、と許可が降りたので、ラウンジで先輩とりんかちゃんとぺちゃくちゃお話ししました。りんかちゃんとゆっくり話すのは、彼女が私のM小屋に来てくれた時ぶり、3ヶ月ほど前ですが、随分と前のような気がします。
消灯直前までおしゃべりをし、部屋に戻って明日はMパスに行きましょう、準備しましょうと話しながら天気予報を念のため確認・・・。すると予報が変わったのか、雨マークばかり並んでいます。「雨でも歩きたいですか。景色見えなくてもいくタイプですか?少しだけ歩いて様子見ますか?それとも、雨なら一歩も外に出ないタイプですか?」と先輩に尋ねると、外に出ないタイプというお返事。私も全く同じなので意見が一致し(嬉)、明日は小屋に篭ろうという話になりました。それならそれで、気が楽です。
消灯の22:00、外はすでに真っ暗、まだ雨は降り始めていません。星が見えるほどの空。日付が変わる頃から雨が降るようです。

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