74日目 下山日のはずが・・・

朝目が覚めると窓の向こうは真っ白。見えるはずの山が見えません。「こんな天気で本当に今日ヘリで下山できるのか?」

リサプライ

キッチンへ行くと、クララ「お天気悪いね〜」私「考えちゃダメ!絶対下山するんだから!大丈夫!考えちゃダメ!」クララは初めての15連休を終えようとしています。私とクララは今日の午後からウィークオフ。クララは疲れてはいるものの、冗談を飛ばす元気はありますし、自分のペースで仕事を進めています。

朝食サービスを一通り終え一息つきながら朝食を食べていると、ヘッドガイドのチャーリーとパイロットがヘリコプターに乗ってやってきます。私はお皿にお客さんに出している朝食のあまりを綺麗に盛り付け2人に渡します。パイロット「じゃ、また後でね!」と朝食に満足した様子で、いつもに増して笑顔でヘリコプターに戻り、リサプライに取り掛かります。パイロットはここM小屋、隣のF小屋とパドックを行ったり来たりし、ディーゼルや食材を運び込んだり、1週間分のゴミをおろしたりします。

食材は早い時間帯に小屋に届き、セシアとクララが手伝ってくれます。届いた食材を小屋の中に運び込むのは、いつもならHシフトの人が手伝ってくれるのですが、今日Hシフトのエリーはまだ寝ている様子。手伝うようにセシアから声がかかっていなかったのでしょう。セシアとクララが部屋掃除に戻り、私が1人で食材整理をしていると起きたばかりのルイが朝食を食べにスタッフルームにやってきます。私がいくら重いものをせっせかバタバタ移動していてものんびりご飯を食べているルイ。ルイと入れ替わりでやってきたエリーも、のんびりと朝食を食べています。空いた段ボールを邪魔なので空いたスペースに投げながら整理していると「Are you okay?」と声をかけてくれるエリー。ルイもエリーも手伝う気はさらさらありません。“リサプライを手伝う”は、彼らの仕事リストに入っていませんから・・・。私は腕の限界がきていますが、これで終わりだと思い、たったか整理をします。

こういう時、手伝ってと声を出せたら楽なんだろうなあ、とか、いやいや助けを求めたところで足手纏いになるだけ・・・と思ったりしながらスタッフ移動のヘリの時間が来るまで、できることを一つ一つ終わらせます。

さやか、ごめんね・・・

そろそろ、クララと私のお迎えのヘリが来るんじゃなかろうか?と何度も何度も時計を見ますが、その気配はなし。なんせ窓の向こうは、真っ白です。明るくはありますが、霧が濃く周りの山々は見えません。

すると、キッチンにやってきたエリーが私の様子を伺いながら、眉毛は八の字、口元は言葉を発したくなさそうに、難しそうに笑顔を作ってやってきます。

「さやか、ごめんね・・・けど・・・」「え?!私もしかしてもう1泊?!」頷くエリー。

天気の悪さで薄々気づいてはいました。この天気じゃヘリでの下山ができずもう1泊働くことになるんじゃなかろうかと・・・。

「ヘリはF小屋からEパス手前まで飛んだらしいんだけど、視界不良でM小屋までは来れないって。この後どうなるか分からないから、さやかは夜のスタッフディナーを作るようにって、リンから電話があったよ」とエリー。私とクララが下山する代わりに入山するのはリンとシェリー。彼ら2人は、パドックからM小屋まではヘリ移動できたそうですが、M小屋からF小屋間、ヘリの飛行時間は5分足らずですが、その移動が霧が濃く不可能だということです。彼らは飛べるまでF小屋で待機するそうですが、F小屋からM小屋に来る時間が遅くなった場合、シェリーにはスタッフディナーを作る時間がありません。なので、私が準備をしておくようにということです。最悪、彼らはM小屋に泊まり、私とクララは明日下山ということになります。

このお知らせを受けた時、もちろんがっくりはしましたが、どうしようもありません。スタッフディナーは、シェリーに頼まれて解凍していたラム肉のミンチを使って、ラザニアを作ることにします。

Weather update

スタッフディナーを準備してほしいと言われてから5回以上は、weather updateをするようにとパイロットからM小屋に無線が入ります。その都度、セシアは「山は全く見えません。Eピーク方面は手前の木さえ見えません」「青空が少しだけ見えます」「青空は消えました」と返答しています。もう、今日の下山はあきらめるしかなさそうです。

ボードゲーム

トボトボしていても仕方ありません。お天気のせいですから。それにしても、2週間の連勤、連勤最終日はいつ飛ぶか分からず仕事をしなければならないこと、予定よりも1日長く連勤する可能性があること、その場合1週間の休暇は1日削られること、これらは会社側で改善すべきことだと思われます。1日余計に働いた分お給料が貰えるとはいえ、休みが削られることは許せません・・・。本当に私の腕が疲れています。

ラザニアの仕込みを終えてスタッフルームにいると、ルイ「CATAN?」と声をかけてきますCATANとはボードゲームです。ご存知でない方はググってみてください・・・。(説明が面倒)

私は何度か皆がプレイしているのを見たことがありましたが、実際にやりたいと思えるようなシンプルなルールではなく(笑)、それでもルイがしつこく「教えるからやろう!」とここ数日誘ってくれていたので、やるしかありません!外は真っ白、散歩する気にもなりませんし、急に天気がよくなったら下山となるかもしれませんから(苦笑)、小屋にいなければなりません。

一緒にスタッフルームにいたクララ「私も何回かやったことあるけど、複雑だし、夢中になる理由が分からない」と言っていますが、クララも参加することに。セシア「さやかもやるの?じゃ、行こっかな?」

数日前の天気が信じられないくらい、今日は寒く暖炉に火をつけてラウンジでゲームを始めます。ルイの説明を聞きながら、日中キッチンで頭をフル回転し続け麻痺状態の頭をなんとか使いながらルールを理解。面白くないわけではありませんが、クララの「夢中になる理由が分からない」これに尽きるなあ、と言った感じ。ゲームは1時間以上はかかるのですが、私はラザニアをオーブンに入れる時間になり、ラウンジにはお客さんもぽつりぽつりとやってきたので、ゲームは一旦お開きに。

もう1泊確定

このゲームの途中で、セシアは私とクララにこう告げます。「You guys staying, sorry」今日の下山は難しくもう1泊ここに滞在し働かなければならないということです。聞くところ、F小屋のスタッフは無事下山できたそうです。そしてリンとシェリーはF小屋に滞在するとのこと。セシア「F小屋は5人のスタッフプラス、リンとシェリーだね。パーティーしてるんだろうね!それで1日分の給料がもらえるんだよ!へっ!」あまり考えるすぎると、イライラ再発してしまうので、私もクララも考えすぎず、明日は下山できるといいねと言いながらディナーサービス。

小屋にいると天気予報なんてどうでも良くなるので、天気の確認をすることをしませんが、ガイドによると「明日の天気はどの予報サイトを見ても晴れって。明日は絶対降りれるよ!」と言ってくれます。ガイドが、大丈夫?と聞いてくれますが、腕の疲労とイライラの溜まり具合、全く大丈夫ではありません。明日の晴れを信じて、寝ることにします。

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