44日目 ずっしりと

今日はヘリで小屋に戻る日。通常は木曜日ですが、今回は1日前倒しの水曜日。明日の木曜日はクリスマスなので、クリスマスの日に会社的にパイロットを飛ばせることはしたくないため、1日早く小屋に戻ります。その分お尻も1日早まるということはないので、今回は16連勤になるということです。

朝、オフィスへ向かい、いつも通り体重と荷物の重さを測って、バンへ。パドックまで1時間、湖沿いの道を走ります。この景色を初めて見た時には随分と感動しましたが、こうやって通勤路になると、この景色が日常になってしまいました。写真を撮ることなんてもうしません。少し寂しいような気もします。

バンの中には新しいメンバーが2人。隣の小屋で働いていたカップルが辞めたので、新たな2人が来ています。1人はロンドン生まれのスペインとコロンビアのミックスである男性シェフ、もう1人は冬にスキー場で働いていたという女の子で、アテンダントとしてです。

パドックに着くと天気はどんどん悪くなりはじめ、ついには雨が降り始めます。ここから見える山の雪は溶けていたはずですが、また、雪を被っています。今降っている雨も標高の高いところでは雪でもおかしくないような寒さです。12月、夏が来てもおかしくないはずなのですが、ニュージーランドの季節の移り変わりは日本とはまるで違います。

パドックでの待ち時間はいつもより短く(それでも1時間は待ったと思います)、雨の中、ヘリコプターに乗り込みます。今回は私は助手席に乗せてもらいました。

ヘリコプターに乗り込むなり、私はすぐに興奮。昨日まで乗っていたグライダーがすでに恋しい私は、ヘリコプターの操縦席のあれこれをまじまじと見てしまいます。グライダーはシンプルなのに対して、ヘリコプターのパイロットが握るスティックにはいくつかボタンがついていますし、それを右手で持ち、左手にはもうひとつスティックがあります。モニターはデジタル。地形が3Dで見れるようになっていたり、機体が水平かどうかも画面に表示されています。

いやいや、景色も見ないと!と、外を見ると、雲の中なので視界は悪いですが、山には雪が再びついています。窓から眺めるだけでも、鋭く冷たい山肌から、ぞぞっと寒さを感じるほど。機体は風に煽られ何度もバンピング。ストンと落ちるような瞬間も。風を利用して気流にのっかりながら飛ぶグライダーに対して、ヘリコプターは抜け道を探しながら行きたい方向に突き進む感じです。

んー、やっぱり空を飛ぶのって面白い。

小屋に着くなり、久しぶりのシェリーとリンに再会。2人とも元気そうです。リンは、メリークリスマスと一人一人にハグをします。それに対してブリッジは、私は個人的にクリスマスを祝わない主義なんだけどと言いながらも、なんとも言えない顔でハグをしています。

▲この数日で作ったというジンジャーブレッドハウス。毎年小屋間でコンペティションが行われています

クリスマスといえば冬、冬といえば雪。リンはカナダ出身なので、今晩から明日にかけて雪が降るかもしれないという予報にワクワクしている様子。「雪降らないかなぁ!カナダでのクリスマスを思い出すよ。やっぱりクリスマスには雪がないと!」一方キウイのシェリーは、「リンったら雪がふって欲しいなんて言ってるけど、ごめんだね。夏なんだから太陽の下で日光浴しながら読書したいよ」と。

私は今日から5日間アテンダントシフトが続きます。料理はしませんので、勤務時間も短くリラックスできる唯一の時間です。

しかし、前回の2週間で疲れ果てて風邪まで引いたからな、なんだか小屋に戻って来てからずーんと重い私の心。リフレッシュしたし、今日から2週間頑張ろう!といった明るい気持ちになれません。雨も降っていますし低気圧のせいもあるのでしょうか。とにかく気が重い。そして眠い。クリスマスツリーが小屋の中に飾ってあり、ジンジャーブレッドの大作もスタッフルームにありますが、全く心踊りません。

きっと数日経てば、元の調子に戻ると信じることにします。はぁ、これから2週間無事乗り越えられますように。

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