今日は、1日何をしたんだろう。昨日は何をしたっけ?一昨日は?
入山してから9日目。やっと緊張がほぐれてきたかと思えば、時間の流れがついに加速し始めてきた。
時間の流れはもちろん、気温も上がり朝晩も冷え込むことのない森の中では、日が心地よく差し始め、植物の成長も、1日とは言わず、数時間単位でぐんぐんと速まっている。
えっと、それで、今日は何をしたんだっけ。そうそう、今日は明日からのオープンに向け、小屋で出している食事を全て試食した。ランチの時間に出している簡単なご飯、宿泊者に出している朝晩のご飯、連泊の宿泊者に出している朝晩のご飯。そして、今年から厨房担当であり元パティシエの先輩が月替わりの手作りデザートを出すことになったので、その試食も。
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数日前まであんなに緊張していたが、キッチンで先輩から説明を受けたり、1人でふとニュージーランドのcookをやっていたことを一つ一つ細かく思い出してみたりすると、今やっていることは、あの時ほど難しくない。絡まった紐のような漠然とした不安は、冷静になるとするりと解けた気がする。
反対に、私がイライラしてしまうのは、仕事が分業制ではなく皆で全てをやることになるので、どうしても結果的に個人差が出てしまい統一が難しいことだろうか。特に調理関係に関しては、あちらこちらで厨房の先輩たち、ケイシーやアリス、ティナとchef歴が長い人たちを見てきたこともあり、こうすればいいのに、ああしたほうがよいのでは、なんでそうするのか、と、勝手にイライラしてしまう。ケイシーやティナの言っていたように料理はできる人だけがやった方がいいと、今なら2人に強く同意。
始める前にアルコールでテーブルを拭くとか、調理している人の後ろを通る時は通りますとかbehind!と声をかけるとか、調理器具はある所に戻すとか、ゴミは蓋をするか片付けてからキッチンを離れるとか(ネズミ対策)、そういう初歩的なところから皆基準が違うのに、ご飯を皆で一緒に作りましょうなんて、難しい。これは、国籍は関係ない。育った環境とか経験値とかの話だと思う。
と思うと、分業制であり、ある程度1人で任されていたニュージーランド山小屋生活は、初めは大変だったが、今思うと楽だったのかもしれない。
はて。個人的な意見は言い始めるとキリがない。考え始めると、私は他人と働くなんて向いてないんじゃないだろうかとまで思ってしまう。しかし、皆によると私のそのようなマイナスの感情が顔に出ていないらしい。小さなことで誰よりもイラッとしている自信はある。(何自慢?!?!?!)
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さてさて今年の山小屋日記は植物観察をメインにしたいので、ここからは今日の新芽観察報告。
みなさんお馴染みの、ふきのとう。小屋の周辺は、ふきのとうで溢れていているからか、写真を撮っていなかった気がする。
カタバミは、数日前よりもニョキっと背伸びしていた気がする。
これは、サンカヨウではなかろうか。葉っぱの質感や形が大きくなった時の姿に似ている気がする。
これは5日目、8日目に載せたものと同じ芽。これもサンカヨウなんじゃないかなだと思っていたが、↑の芽を見て、わからなくなってきた。この子は何の花なのか、一番気になっている。
これも同じく5日目、8日目に載せて、エンレイソウ?いや違う?と思っていた芽。さらに葉が開いていた。開くと、やっぱりエンレイソウ?と、二転三転している。
これは、今日初めて載せる芽。パッと見て思い出したのは、私の好きなエゾムラサキ。そして今よくよく考えると、家の庭にも咲くワスレナグサに似ている気がする。同じ属なので、似ていてもおかしくない。
これも同じく初。毒々しさからして、トリカブトだろう。
これは写真を撮っている時は小さくて可愛いとしか思っていなかったが、画面上で拡大してみてみると、ヤマエンゴサクのように見える。
場所によっては花がついている株があり、思わず声をだした。つい少し前まで雪の下だったこの子達、もう花をつけるんですか、早すぎやしませんか。
そして、こちらも。識別は諦め気味のすみれ。すみれはすみれで紹介したいと思う。
今は日中は働き倒しで写真を撮る時間は長くても30分程度。明日から営業が始まれば日中に休憩時間があるので、写真を集中して撮りたいところ。
最後に定点観察を。
【小屋から望む前穂】
【前穂と化粧柳】
【梓川と大天井】
【大天井岳】
朝早起き組は、8時半の始業前に散歩をしているようだが、私は朝はゆっくり組なので、今日久々に定点観察地まで足を伸ばした。とは言っても小屋から5分程度の場所。すると、最後に見たときとはまるで違って、空に負けないくらい青く透き通った冷たい水が、沢から梓川へと流れ込んでいた。
待って、やっぱり時間の流れについて行けそうにありません。
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