89日目〜91日目 梅雨明け、冷える朝、始まる夏

いよいよ、繁忙期が始まった。梅雨はあけ、午後からの土砂降りな雨も降らなくなり、朝は10度を下回るほど寒い日もある。湿度が下がったおかげでムッと暑いこともない。夏だ。

1日の仕事が終わり、皆で食事をし、風呂に入る。風呂に入るときに、皆でワイワイと会話をすることも減ってきた。誰もが1日分のエネルギーを使いきってしまっているのだ。

日中も、ほんの少しだけピリッとする時間が流れたりする。

ニュージーランドの山小屋で私や他のシェフがセカセカと働いていると、大抵他の皆はふざけながら踊りながらおしゃべりしながら音楽を大音量で流しながら仕事をしていたが、ここでは全員がセカセカと働いていて、ふざける人が1人もいない。音楽も流れていない。全員の仕事が、きっちりかっちり決まっていなくても、皆空気を読んで仕事を取っていく。ふと、ニュージーランドで働いていた時の自分にスイッチを切り替えると、この状況は本当にすごい。皆に拍手を送りたくなるくらいだ。指示を出す人がいなくても、空いたところに人がスッと動き、1日の仕事が確実にこなされていく。

もっと気を抜きたいと思う私が拍手を皆に送る一方、皆はそれが当たり前のように毎日を過ごしている。働く時間が長すぎると悶々とするのは私だけだろうか。9時間、10時間と働いている。いくら残業代が増えるとはいえ、休み時間は短いし、ピリっとすることなく仕事が毎日進めばいいのにと思う。

日本の山小屋にいる限りは、難しいのかもしれない。

それでもここを選んだのはまとめて働き、シーズン終えたら何ヶ月も休みたいからだ。

思うことは他にもたくさんあったはずだが、振り返ると何も覚えていない。覚えているのは夕食時に、売り上げが良かったので支配人からお許しが出て皆でビールを飲んだこと。5年前にお客さんとして泊まった時にも同じビールを飲んでいるが、その時には美味しいと感じなかったビールが、その日にはとても美味しく感じられた。

 

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