休暇が終わってから毎日頑張ってきたのは今日のため、といっても過言ではない。今日は友達がテントを担いで小屋に遊びにきてくれる日だ。まだ到着するはずのない朝っぱらからソワソワする。
午前中の休憩時間は携帯を握りしめ、見晴らしの良いお気に入りの場所の1つ、中天へ。メガネをかけていても見えるはずはないが、テン泊装備の登山客の姿を探してしまう。
支配人が「もう冬の空だね」と言っていた。青空が広がるが、夏の青空とは違うのが素人ながらわかる気がする。足元に目線をやると、雷鳥がハイマツをつついていた。驚かせることがないよう、カメラを構えた。
目元が赤い。オスだ
お昼営業が終わり休憩に入る頃、もうそろそろ到着するのではなかろうかと携帯を確認する。テントの受付をしているスタッフにも声をかけていたが、まだとのことだった。
山小屋に友達が遊びにくるのは今日が初めてということもあり、楽しみで仕方ない。山小屋にいると毎日決まった人間と四六時中家族のように生活をする。お客さんとは受付や部屋案内の時に少し(一方的に)話すだけだ。気の許せる友達と会話することが、こんなにも恋しかったのかと、気付いた。
午後の休憩時間も小屋の周辺をうろついた。テン場も混み合ってくる時間帯だ。小屋に戻っていると、友達らしき人がテントを張る場所を探すようにあたりを見渡している。嬉しくて駆け寄ってみるとやはり友達だった。
来てくれてありがとう!
これにつきた。駅で待ち合わせしてご飯を食べに行くのとは少し違う。10kg以上の荷物を担いで、朝早くから何時間も歩いてここまで来てくれたのだ。感謝しかない。
休憩が終わる頃だったので、テント張るならこの辺がいいよ、少し散歩するならあっちとこっちとそっちがおすすめ!また後で!と早口で挨拶を済ませ(笑)エプロンをつけて仕込み作業に戻る。
そうそう、夕食の時間帯に昨日から謎の15分休憩が組み込まれるようになった。今日も1人ずつ順番に休憩を取る。外はちょうど夕焼けの時間帯。
カメラを持って急足で外へ出る。夕日の時間帯は食堂、キッチンに全員で張り付くので、こんな風に写真を撮ったり一息ついたりできるのは、朝日より夕日派の私としては、涙が出るほどありがたい。笑
写真では伝わらないが、この日の夕焼けは今シーズン一番と言っていいほどの焼け具合だった。
写真を撮った後はすぐ、友達のテントに向かった。お湯を沸かして夕食の準備をしているところだった。バタバタしていた私は長袖のTシャツ1枚だったが、皆シェルやダウンを着ている。そっか、寒いんだった、と言われて気づく。
その後はお酒でも飲みながら話せればと思っていたが、お天気の良い週末は小屋も賑わっていたので、なかなか話すことはできず…。それでも顔を見るだけで元気が出た。
こんなことを言う柄ではないが(笑)、人と話すのがこんなにも自分の一部を占めているのかと改めて感じた一日だった…。
#2922mのお天気報告
「もう冬の空だね」支配人がいう程度には冬がすぐそこ。厚い雲と雲海の間に赤い筋。じわりと日の出。徐々にガスが取れ、お昼から気持ちの良い晴れ。それでも風はあるので長袖じゃないと寒い。夕日の時間はこれまでで一番西側が焼けて雲もピンク色。夜は星は見えず風はほぼなし。— September 20, 2020
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