今日は待ちに待った(?!?!)、ヘリコプターで小屋入りの日。
朝、賞味期限間近で安売りしていた固いベーグル、バナナを食べ、荷物の最終確認し、小屋スタッフ専用の駐車場へ出発。駐車場では小屋に持って行く荷物をバスへ乗せ、不要な荷物はブリッジの車に置かせてもらうことに。そこで、何人かのスタッフに出会い、お互い自己紹介。5分も経てばお互い名前を忘れてしまうのは分かってはいますが、、、ひとまず挨拶です。ブリッジの他、今シーズンが初めてだという4人、皆小屋入りするのが楽しみ!!!と同じようなオーラを纏っています。一方3シーズン目の私は、そわそわ。この擬態語がぴったりで、緊張してげっそりとか、お腹がきりきりするとか、胸がどきどきするとかではありません。心配事が頭の中に浮かぶもの以外にもある気がして、心配事を探すのに忙しくそわそわするのです。
オフィスでさらに3人のスタッフと合流して、青空の下、パドックと呼ばれる場所へ1時間バスに揺られながら向かいます。運転するのは、私が3年前この会社にアプライした時に面接をしてくれたマネージャーの1人。キウイアクセントが強く、面接では何度も質問を聞き返したのを覚えています。
パドックに到着したのは10:00。あたりに建物はなく、一本道は山、羊、向こうに川、そして山、自然に囲まれています。そこで待つこと3時間。天気に左右されるヘリでの入山は、とにかく待つのみ。トイレに行きたくなったら、その辺で。朝の青空はどこへ、次第に天気は悪化、雨も降り出し、向こうの山は雲の中に隠れていきます。
ヘリは小屋とパドックを何度か往復します。飛ばすのは私たちスタッフと、スタッフの荷物を入れたケージ、そして小屋の食材などが入れられたケージ。基本的には荷物のケージが先、次にスタッフが飛ばされるようです。ケージの荷物は大体800kg。あんなに小さい機体が山の上の風に煽られながら、800kgのケージを紐で吊るして運ぶなんて、相当な技術と知識、そして経験が必要なんだろうなぁと見上げながら感心をします。

先にF小屋のスタッフが飛び、私たちM小屋スタッフは後に飛ぶそうで、風も強く雨も降り出したお昼前、私たちM小屋スタッフはバスの中で待機。あれよあれよと時間は過ぎていき12:30、無線でやり取りが始まります。窓から外を見ると、ヘリコプターに荷物が吊るされ、やっとのことでケージがM小屋に飛ぶことになったようです。しかし数分後、同じケージが吊り下げられたまま、パドックにヘリが舞い戻ってきました。

私たちのM小屋は、パドックから見てF小屋よりさらに奥に位置しているため、飛行距離が長く、今日のところはF小屋までしか行けずそこに1泊する可能性も出てきました。これは飛びながら判断するようです。3時間待った後、ヘリコプターに乗り、ヘッドホンをつけ、シートベルトを閉めます。離陸前に、既に小屋入りしているスタッフとパイロットが無線で連絡を取り合い、着陸の流れ、何人のスタッフがヘリコプターに乗っているのか最終確認をしています。
離陸はあっという間で、ふわっと地上から機体は浮いて、縦の移動から横の移動へ。さっきまで足をつけていた地上がみるみると離れていき、山々が目の前に迫ってきます。雨だったはずのものは雪に変わり、山に突っ込んでいくうち雪は真横に降っています。風は強く、時々揺れる機体は、F小屋に着陸。私たちの働くM小屋までは風も強く視界も悪いため飛べませんでした。
到着するなり昼ごはんを食べ、少しの休憩、私はキッチンの片づけに入ることに。今日のうちに移動ができれば良いですが、難しい場合F小屋で1泊するかもしれないということです。キッチンでは音楽を流しながらおしゃべりをし、食器類を一気に食洗機にかけていきます。これは日本でも同じで、小屋明け作業の一つです。
17時にはF小屋のマネージャーが仕事を切り上げるようにと声をかけてくれます。一定の時間以上は働いてほしくないということで、あぁ、ニュージーランドに戻ってきたなと感じます。仕事が終わるまでやるのではなく、時間になったら仕事を切り上げる。もちろん場合によりますが、その辺をきっちりコントロールするマネージャーがいるのも、ニュージーランドらしいです。
外は雪が降り続け、風で木はミシミシとゆれ、明日M小屋に移動できるのだろうかと心配になってきました。もちろん私がヘリコプターを操縦するわけでも決断を下すわけでもないですし、明日はシフト上休みです心配する必要はないのでしょうが、こんなに雪が降っていたら、不安も感じます。
19時過ぎ、皆で夕食。夕食はF小屋のフィンランド人のCookが作ってくれました。ジャスミンライスとシャキシュカです。これはG小屋にいたときにアリスが作ってくれていました。懐かしいです。食事の際、ここで再びニュージーランドに戻ってきたなとカルチャーショックを感じることに。それぞれがお皿に自分の分を盛った後、すぐに各々食べ始めています。「え、いただきますの儀式、なし?!?!」いただきますをしないことも、他人を待たずに食べるのも知っているはずなのに、なんだかひと殴りされた気分です。つい最近までいた日本の小屋では(というかきっと多くの日本人が)皆がお皿に盛って席に座るのを待ち、手を合わせていただきますと唱えてから食べ始めていました。でも、ここはニュージーランド。違和感を覚えながらも、皆が手を伸ばしお皿に盛り付けるのを眺めながら、一口二口と食べ始めます。
夜はラウンジでブリッジやF小屋のスタッフ数人と暖炉を囲っておしゃべり。ブリッジはチューニングされていない小屋にあるアコースティックギターを弾き、F小屋の副マネージャーは下から持ってきたという自分のエレキギターを弾いています。
22時には消灯。明日は本当にM小屋へ飛べるのでしょうか?

▲これが私たちの食料や荷物を運ぶケージ

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