今日も1人で山にいる。週末となると隣の工事の作業員さんたちの物音もほとんどしない。1人だけが私の視界に入る範囲で、重機の手入れをしている。昨日もあの人、重機をいじっていた気がする。調子が悪いのだろうか、掃除をしているのだろうか、磨いているのだろうか。目が悪い私には何をしているのかよく見えない。
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外は少しだけ昨日より湿度が高い気がする。毎日五感が、特に音や臭いは少しずつ敏感になっている気がして、何かと反応してしまう。部屋で目が覚めてすぐの頃、外から足音が聞こえた。作業員さんたちが隣に住んでいるとはいえ、私の部屋からは数百メートルある。そんな先の足音が聞こえるわけない。下にいるスタッフさんたちに、私がただのビビりだと思われても仕方がない。でも、ここに1人で住んでいるなら、そうならないほうがおかしいのでは?
顔を洗って、着替えをし、建物の外に出る。獣臭い。動物の足音だったのかもしれない。それで少し安心する自分がいる。人間がうろついているよりも動物の方が、怖くない。今日はコーヒーも入れて、朝ごはんを食べ始める。
誰にも急かされないので、掃除に取り掛かるのが本当に遅い。唯一、掃除をしないと!と背中を押してくれるのは、夕暮れ後の心細さだ。西陽が照りつけた後、森の向こうに日が沈むと一気に薄暗くなる森の中では、急に心細くなるので、なんとしてでもその時間までに夕食を食べ終えて、wifiの繋がらない自分の部屋に戻りたい。時間と書いたが、時計なんてほとんんど見ていない。日が高ければ安心するし、沈めば寝る時間だと体が反応する。
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昼間、音楽をスピーカーで流しながらしばらく使われていない相部屋の掃除をしていると、急に黒い物体がバタバタと舞い上がる。一瞬その姿を私の目がとらえる。間違いなくコウモリ。あれはコウモリのはずだ。
そういえば1週間ほど前か、他のスタッフが下山して私が初めて1人になった日かその翌日に、暖炉の煙突に向かって伸びている管から、物音がしたのを覚えている。何かこの中にいる・・・。山の中だし、あまり気にしてはいなかった。あれはこのコウモリだったのかもしれない。
コウモリが出た後は、動揺してしまい、食欲は失せ、1人で座ってぼーっとする。うーん、困った。数日後にはコウモリが出たお部屋にスタッフが泊まることになっている。あの部屋、掃除したくない・・・。

しばらくしてお昼ご飯が喉を通るようになり、2杯目のコーヒーをベランダで飲んだ後、勇気を出してもう一度コウモリがいないかどうか、部屋を見て回る。すると今まで気づかなかったが、壁の高い位置に丸い穴が空いているのを見つける。ここから屋根裏に行ったり、煙突の中に入ったり、相部屋の中に入り込んだりして、コウモリはきっとこの小屋に住んでるんだな・・・。双眼鏡でもあれば穴の向こうを覗き込むのだが、メガネをかけても電気をつけたり消したりしてみても、携帯のカメラでズームしてみても、穴の中の様子がよく見えない。幻覚だと思うが、穴の向こうにコウモリが止まっているように見える。小屋の外に出て屋根や高い位置の壁をあちこちをみて回るが、まだ明るいしコウモリの姿は見えない。壁の間や屋根裏の暗い場所に隠れているのだろう・・・。
しかし、なぜ・・・こういう日に限って・・・おじさんズは現れない。きてほしい時には来客がない。1人だけ、登山客がふらりと目の前を通ったがサングラスをかけており、きっちりかっちりな格好をしていたのでこれからの山行の邪魔をするわけもいかない。
掃除は、その後もほどほどにして、コウモリが出た部屋には近づくことができなかった。何日か前、部屋にカマドウマが出たのが懐かしいくらいだ。もうあんな虫1匹じゃ、騒ぎません・・・。
はぁあ。明日明後日で勇気を振り絞って、あの部屋を掃除せねば。
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夕食は、来週だか再来週だか、私が夕食を作ることになっているので、考えているメニューを試作してみた。うん、これで良いだろう。料理にも気持ちが入らないくらいには、コウモリ事件で、ナヨナヨしている私。ん・・・。あ・・・!今このブログを書き終えようとしているところ、コウモリが鳴いた気がします(鳴き声はネットで検索済み)。私が掃除しないといけない部屋は出てくれて、やっぱりあの穴の向こうにいるような気が・・・。この鳴き声は1匹だけだろうか?コウモリは集団行動するのだろうか?声が聞こえて、少しホッとした自分もいる。

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