メグとお別れ
朝、朝食サービスが終わりひと段落していると、メグが小屋まで遊びに来てくれました。キャンプサイトで朝食を済ませたそうですが、よかったら何か食べて行かない?とお客さんに出しているポーチドエッグをメグに食べさせます。10時頃には出発しようかなということで、しばらく私は仕事の手を止め、スタッフルームでメグとおしゃべり。今日はリサプライの日なので、いつヘリが来てもおかしくありません。仕込みはできるだけする必要がないように準備をしておきました。その場にいたシェリー始め他の皆ともおしゃべり。メグとは来週ワナカでまた会う約束をしていて、玄関でお見送りをします。
リサプライとスタッフ移動
リサプライは、シェリー、さらにはヘッドガイド(ガイドチームのトップ)であるチャーリーも手伝ってくれたので、いつにも増してスムーズ。毎回こうだといいのになあ・・・。1週間分の約6000ドルにものぼる食糧にドリンク類、消耗品は3人の手で行くべき場所にささっと移動させることができ、1時間もせずに終わりました。
リサプライが終わり、シェリーとリンはウィークオフのため、ヘリで下山。入れ替わりでやってきたのは、エリーとルイのカップル、そしてリリーフマネジャーのセシアです。セシアは毎度のことながら、ヘリで入山した直後は溢れるような笑顔でやっほー!と声をかけてくれます。これがセシアの日常の顔。そんな表情を見ると私まで幸せに・・・。「今日だけ。数日もたてばすぐにキラキラオーラは消えるけどね!」エリーはヘリでの入山をあまり楽しめていないようで毎回気分が悪いと顰めっ面なのですが、今回のヘリ移動は揺れが少なかったのか、リフレッシュできた様子で珍しく笑顔で小屋にやってきます。「明日まではこの笑顔。いや、シフトを確認するまではこの笑顔かな?」エリーとルイ、2人はいつもヘリで上がってきたらすぐにシフトを確認し、“いつも”それに対して文句をブイブイ、シフトを作ったわけでもないセシアに相談を始めます。今回も例外なく、シフトを見てアンハッッピーな2人。やれやれ。
オーブンから爆発音
時間はすぎ、17:30からはスタッフの夕食の時間。日本の山小屋ではお客さんの夕食の片付けが終わった後に、スタッフのご飯の時間となりますが、ニュージーランド、私の働いている小屋では、スタッフディナーが先、その後にお客さんの食事時間となります。
夕食は冷凍食品ですが、魚の天ぷらに、私が作ったタルタルソース。そしてポテト。いわゆるフィッシュ&チップスです。それからカリフラワーの天ぷら。みんなで美味しいねえと言いながら食べていると、急にオーブンから鋭く大きなパンっという音がします。オーブンの中で何かが弾けたような音です。
私はすぐに立ち上がり、空っぽのオーブン、コンロのガスを全て止め、外にあるガスの元栓も止めます。リリーフマネジャーのセシアにも声をかけ、恐る恐るオーブンの扉を開けてみます。すると何かプラスチックのような何かが燃えたような、よろしくないにおいがします。エリーは窓を開け、私はオーブンの中が空であること、近くに何も置いていないことを確認し、すぐにセシアに相談。一緒に食事をとっていたガイドは怖くなり、食べかけのお皿を持ったまま外に避難してご飯を食べています。
セシアはすぐにオフィス、メンテナンス担当の人と電話で話してくれ、私は、ガイドにお客さんの食事の時間が遅くなる可能性がある、と話を進めます。ガイド「問題ないよ!大丈夫。お客さんへの対応は任せて」基本的にここではガイドがお客さんとのコミュニケーションをとるので、私たち小屋のスタッフはお客さんと話すことはありません。
セシアが電話してくれている間に、私はあれはどうしよう、これはどうしようと必死に考えます。この後のディナーサービスではオーブンで野菜をローストし、チキンやステーキを焼き・・・とオーブンの出番はまだまだありますし、明日の朝もベーコンを焼いて、トマトにマッシュルームをローストして・・・。オーブンが使えなくなっては困ります・・・。
写真をメンテナンス担当のスタッフに送って、使い続けても問題がないか確認するということになり、私とセシアでオーブンの下、オーブンの全体像の写真を撮ります。するとすぐに返事が来て、使って良いとのこと。ガスの元栓を開け、火をつけて仕切り直し。この時点ですでに30分押しています。時間よりも、爆発音のしたオーブンを使い続けて良いのか、そちらの方が心配です。もうここは、メンテナンス担当のスタッフを信じるしかありません。
よし!とジャガイモにニンジンをオーブンに入れ、オーブン内のファンのスイッチをいつものように入れますが・・・、ここで次の問題が発生。ファンが動かなくなってしまいました。ファンが回らないとオーブン内の空気が回らず温度は上がりませんし焼き具合にムラがかなり出ます。これは・・・困った。しかし、今日はこのまま進めるしかありません。ニンジンのローストは諦め、茹でることにし、他のものに関してもどうするのが今の状況下で現実的か頭の中でぐるぐると考えます・・・。エリー「シェリーに連絡してみたら?オーブンのこと、何かわかるんじゃない?」私「さすがのシェリーもわかんないと思うよ、オーブンの機械的なことは・・・」それに、シェリーはお休みに入ったばかりなので休みの人に連絡を無闇矢鱈にとりたくありません。しかし、状況が状況なので、オーブンのファンが動かないことを伝え、今晩のディナーサービスをどう乗り越えるか、相談をすることにします。「いつでも連絡してくれていいからね、本当に!」と以前私に何度も言ってくれていました。
なんとか終えたディナーサービス
終始バタバタしてしまいましたが、無事に料理は完成し、お客さんに食事を提供することができました。メンテナンス担当の人とも電話で話し、どのくらい緊急で直す必要があるかと尋ねられましたが、聞くところによると、今のところ私たちの小屋に来れるのは月曜日以降になりそうだとのこと。67日目である今日は木曜日。月曜日ということは、このファンの動かないオーブン、安全かどうかもよくわからないオーブンであと3日以上は料理をしなければならないということです。
電話はあれこれ調理している最中にかかってきたので、交渉する暇も、それを伝える語彙力も英語力もなく、私はOkayとだけ返事。それを聞いていたエリーは眉毛を八の字にし、電話を切った私に、「ダメだよ〜〜〜。大丈夫?これからデイツプディングもブラウニーも焼かないといけないし、会社が求めてるものをお客さんに提供するには、それなりの道具が揃ってないと、実現できませんってはっきり言わないとダメだよ〜〜〜」と。こういう時、仕方ないか、と思ってしまうのが私。それに私たちがいるのは山の中。そんなに簡単にメンテナンスの人を呼ぶことのできる環境ではありません。
とりあえず、明日の朝は少しでも早く出てきて、朝食サービスが少しでもスムーズに行くよう、努めたいと思います。目が覚めたらオーブンが元通りになってたらいいなー。セシア「どうだろうね?そんなこと、起きないだろうね!」


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