朝は苦手なので、いつもならギリギリまで寝ている私だが、今日は大きなミッションがある。ペーパーの私が軽ダンプで街まで1人で運転する、という不可能に近いようにも思える大仕事だ。googleマップは、スタッフの皆さんが教えてくれた道とは別の道を提案してくる。教えてもらった道は工事が行われており通行規制があるためgoogleは選択肢から除外しているのである。しかし、その道が一番スムーズに会社まで帰ることのできる道なので、googleを無視して川沿いをひたすら南下して行かなければならない。運転しながら携帯を見るなんて考えられないし、スマホを引っ掛けるようなものもない。頭に地図を叩き込んで、ハンドルを握る。そんなイメトレを最後の数日、何度かやっていた。
朝、5:00過ぎには起きて、自分のベッドのシーツを剥がし、ベッドメイキングをする。部屋を掃除して、朝ごはんを作る。もうこの小屋での生活は清々した!とまでは行かないが、すっきりした気分であり今は無事に山から降りることしか頭にない。名残惜しい、そんな気持ちもあまりない。また来るような気もするし、来ないような気もする。嫌いな場所ではない。私の“家”がまたひとつ山の中に増えた。山に関わる仕事をしている人と繋がることができた。山小屋生活を終えた時に感じる、いつも通りの気持ちだ。
忘れ物はないか、電気は消したか、鍵は閉めたか。確認をして、軽ダンプにエンジンをかける。
最初の2時間は、車線のない山道をずぅっと下る。車道に中央線が出てきた時には、ひやっとした。「道路の左側を走らないと」信号はほとんどないし、迷いようのない山道。すれ違う車は大きな工事車両ばかりだ。私のノロノロ運転に耐えてくれる大きなトラックには申し訳ない気持ちで一杯になりながら、広いところで左に寄せて車を停める。
さらに1時間運転しても田舎道は続く。私がいた山の中は、本当に山の中だったんだなぁと外に出てみて気づく。今まで足を運んだ日本の山でも一番奥深い場所だったと思う。4時間くらいで会社に到着するかなと思っていたが、規制もあり、途中トイレ休憩したりもして、結局5時間もかかった。
会社についてからは、今日出社されているスタッフの皆さんとお寿司を食べいくにことになった。回らないお寿司、新鮮なお魚、1人ではなく誰かと食べるご飯。色々と久しぶりである。

夕方、スタッフのMさんに空港まで送っていただき、福岡へ飛行機で飛ぶ。山の外に出てきて、違う人間になったような気分だ。お金で物が買える世界だ、と少し嬉しくなる自分がいる。下界で生きていく人間モードに切り替えて、お土産屋さんでお菓子と静岡の黒はんぺんを買う。
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言葉でまとめてしまいたくないが、この1ヶ月は本当に濃い時間を過ごすことができたと思う。“登山客がほとんど通りすぎることのない山奥にある山小屋に1人で管理人として住んだ”という経験は、願っても叶わないようなもので、私がこれまでに6シーズン山で過ごしたからこそ1ヶ月乗り越えることができたと思うし、今の私だからこそ学べたこと感じられたことばかりだったと思う。人との出会いも、登山目的で来たお客さんばかりでなかったので、他の山小屋での出会いとも違う。とにかく、この機会に感謝でいっぱいです。
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これにて山小屋日記2026は終わり、と言うつもりだったし言いたかった・・・ところですが(笑)、また10日後には違う場所での山小屋生活が始まることになりましたので、気が向けば更新していきたいと思います。

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