57日目 バスが止まる

皆が予想していた通り、朝、バスが止まった。山の中へと入ってくるバスも山から街へと降りるバスも、止まってしまい解除の目処も立たない。宿泊のお客さんは、予定を変更して連泊するなり、下山してバスの運行再開を待つなり、雨の中決断を迫られる。雨は弱まる予報にはなっているものの、すぐにバスが動き始めるわけではない。その後も土砂崩れなどの二次災害だって考えられる。

私は昨日から今日にかけての雨を、小屋の中から結局眺めるだけだった。窓を開ければ緑の匂いがいつもに増してこく、密度の濃い森の匂いがすっと体の中に入ってくる。もう夏が来るんだなあ、とさえ思う。

時々、きてすぐの頃に撮った新芽の写真や緑よりも茶色の面積が多い写真を見ていると、なんだか別世界にいるような気分だ。

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