一緒に働くまりちゃん、このブログにも何度も登場してしており山仲間であり仕事仲間でもあったぐちこさんの3人で、1泊2日、槍ヶ岳へテント泊で行ってきました。梯子が嫌いな私にとっては、最初で最後の槍ヶ岳登山でしょう。梯子はもうお腹いっぱい、しばらくではなく、「もう、いいです」
徳沢〜横尾〜槍沢〜槍ヶ岳山荘へ
4:00台にヘッドランプをつけて徳沢を出発。山の朝は早いので私たち以外にもちらほらと歩いている人たちはいます。
1時間たたないうちに横尾に到着。ここで、持ってきた食パンを食べます。行動食や朝、昼ごはんはパンに蜂蜜とシナモンをかけて持っていくのが最近のまりちゃんと私の中での流行りです。ぐちこさんにも、作っておいた分を渡して、ぱくぱくっと朝ごはん。
天気は良く、あっという間に日はのぼり、暑い暑いといいながら登っていきます。先日の涸沢トレーニングのおかげで身体は動きはしますが、それでもまりちゃんとぐちこさんのペースは、速めです。
夏ですね、夏山です。
登れば登るほど見下ろす景色が広がって行くのは、登山の良いところの一つですね。
今回目指す槍ヶ岳がしっかりと見えてきました。いつもは遠くから見るので、こんなに近くに迫ってくると、本当にこれが槍ヶ岳なのかと疑いたくなってきます。3人で、これが槍ヶ岳だよね?と何度も確認。え、本当にこんな形?これがあの槍ヶ岳?いつも見てる槍ヶ岳?
今思えばとてもバカっぽい会話だったなと思うのですが、あまりにもこの槍ヶ岳が近くて、大きくて、三角だったので(笑)、抜きつ抜かれつ、同じタイミングで休憩していたおじさまに聞いてみました。
「あれって槍ヶ岳ですよね?」
▲にっこり微笑んで、そうだよと教えてくださいました
それから進んでいくと、地図上で坊主岩小屋と書かれている地点に出ました。どこにも小屋らしきものはありませんが、、、あるのはこの大きな岩。
小屋ときくと、建物をイメージしてしまいましたが、こちらは槍ヶ岳を開山したといわれる念仏行者・播隆が使用していた岩小屋だそうです。
https://www.yarigatake.co.jp/wp/wp-content/themes/yarigatake/img/climbing-info/about/ban-pamphlet.pdf
小屋なんてどこにもないよねぇ?地図の間違い?この窟のこと?つまらない会話を、またあのおじさまに聞かれながらも、岩屋を後にします。
こちらは殺生ヒュッテ。干した布団を取り入れているところでした。それが、見入ってしまうほど面白くて、小屋の窓からスタッフがシュッと布団を引っ張って次から次に取り込んでいたのですが、窓の向こうに人の姿は見えず、窓に布団が吸い込まれていくようです。布団が消えて行く!と言いながら見ていました。多分、中の人は相当鍛えられた人なのでしょう。連続して引っ張るにしてはスピードがありました。
ここまでくると、疑いようのない近さになってきました。これが槍ヶ岳でなかったら、何ヶ岳でしょう。
▲カメラを向ければいつでも乗ってくれるぐちこさん
この辺りは梯子はありませんが(それ大事)、足場は狭くすれ違うことができなかったり、両手を使う場面も出てきます。それでも、初めましての花を見つけると、嬉しくなりますね。今回はカメラは持ってきてません。携帯でパシャリと、記録のために写真を一枚撮っておきました。
槍ヶ岳直下の山荘まであと少し。ガスってくると余計に槍ヶ岳が大きく、怖く、見えてきます。
山荘到着。テント泊の受付をし、まりちゃんは1人で、私とぐちこさんは2人でテントをシェアします。テントは張らずに、先に槍ヶ岳へ行くことにしました。
写真からもわかる通り、雲の流れる速さは速く、ガスったかと思えば青空の中、を繰り返します。
梯子、梯子、梯子!涙を堪えて山頂へ
さて、ここからが本番です。2日間の山行は槍ヶ岳登頂のため。ヘルメットをかぶって、山頂へと向かいます。
ゆっくりゆっくりと進みます。というのも、梯子の順番待ち。人が多いので、前の人が登りきったのを確認してから登ります。梯子は全部でいくつあったか覚えていませんが、とにかく、緊張します。私、幼稚園にあったジャングルジムがめちゃくちゃ苦手だったんですよね。あの時の恐怖が二十数年ぶりに蘇ります。
それでも待ち時間がそこそこあったので、止まるたびにカロリーメートを食べる私。いくら怖くても食欲は消えないようです。前には、先ほどのおじさまもいます。1人で槍ヶ岳まで来られたようです。
登るのはまだいいんですが、降りることを考えたら、登りたくないですね、、、。周りを見る限り小学生らしき子どもたちも学校の遊具で遊ぶテンションで梯子にのぼっています。そんなグループの中に1人だけ、無口で、今にも空に吸い込まれそうな無表情の子がいました。私も今同じ気分です。
恐怖の限界が来る前に、最後の梯子を登り終え、登頂!来ることは無いだろうと思っていた槍ヶ岳に自分の足で来てしまいました!さ、どうやって降りるんだ!
梯子の最後の一段を登り終えたところでは、笑顔いっぱいのおばあちゃんが迎えてくれました。私が誰よりも遅くゆっくりと登ってきているのを見守っていたんでしょうか。80手前のおばあちゃんは、泣きそうな私に、よく頑張ったとピンピンした姿で声をかけてくれました。毎年来るんだよと言っていた気がします。さっきの小学生たちも嬉しそうに山頂からの景色を楽しんでいます。あの子だけは、そんな様子では無いですが。私も、降りることへの不安ではち切れそうです。
あっちにもこっちにも山が見えます。360度の大展望。ですが、また同じように景色を見たくなった時は、別の山に登ろうと思います。
まりちゃんとぐちこさんは、もちろん写真を撮りながら楽しそうにしています。梯子に対して抵抗がない方々です。とりあえず三人で写真を撮ろうと、槍ヶ岳の看板を持って写真を撮りました。撮影してくださったのは、あのおじさま。
どちらからいらしたんですか?と、話してみると、なんとなんと私と地元が同じ。小学校、中学校も同じで、一緒に校歌を山頂で歌いました。こんなこと、あるんですね。
帰りの梯子は、これ以上ゆっくり降りられないだろう、という速さで足を動かし、無事山荘まで下山。
皆で乾杯して一息つき、まりちゃんはお散歩へ。私とぐちこさんは小屋の中に入りお茶を飲んでおしゃべり。
夕方からはガスの中となり、テントでカレーを食べながら早めに就寝。夜中は風が強くて、日本一標高が高いというテント場で、飛ばされないだろうか?と、うとうとしながら考えていたような気がします。
日の出を見て大喰岳、南岳へ
翌朝は、まりちゃんは大キレットに挑戦するということで先に出発。私とぐちこさんはあったかい緑茶を飲み、朝ごはんを食べて、テント場から朝日を見届けます。
槍ヶ岳に登ってしまえば、朝日を見下ろすことができたでしょう。もちろんそんなことはしませんでした。ここからでも十分です。
▲テント場は、こんなふうでした
テント場を離れる前に、登ってきたのとは反対側へと続く稜線を眺めてみました。裏銀座と呼ばれるあちらの世界へはまだ行ったことがありません。
▲どんな景色が広がっているのでしょうか
朝日が上り空が青くなった頃、荷物をまとめてぐちこさんと出発。私たち2人は、大喰岳、南岳へと向かいます。
歩いていると、何度も後ろを振り向いては槍ヶ岳を確認していたのですが、あっという間に槍ヶ岳は小さくなっていきます。寂しいような、、、いや!寂しくありません!
大喰岳、登頂!お天気最高です。
梯子は時々出てきますが、2日目となると少しずつ慣れてきました。多分。
ぐちこさんとは3年ほど2つの職場で仕事を共にしていました。あれから数年経ってしまい、コロナ禍も経て、お互い生活の変化や最近の仕事について、たくさん話しながら歩きました。体の中から毒素が綺麗に出ていきます(笑)。
富士山もはっきりと望むことができました。
中岳も通り過ぎ、南岳へ向けて進みます。写真では高度感がなかなか伝わりづらいですが、標高は約3000m地点。こんな高い場所での稜線歩きは、初めてです。
梯子は嫌いですがこういう岩場は好きです。
南岳、登頂!今回最後のピークです。
ここから山小屋も見えました。私たちは小屋の方にはおりず、天狗原へ降りていきます。
天狗原へ降りていくので、この贅沢な稜線歩きもこれで終わりです。
天狗池へ
この辺りで、天気は次第に下り坂へ。ガスが広がり始めます。夏山の天候としては典型的なパターンです。私たちも稜線から離れて、ずんずん降っていきます。
そして到着、こちら天狗池です。
▲ぐちこさん
▲私が触ると槍は雲に見え隠れ
この辺りは、人が少なく、景色は文句なし、またゆっくり来たいスポットとなりました。昨日槍ヶ岳に登ろうとあれだけいた人たちは一体どこへ、、、と言うくらいに、静かな天狗池でした。
▲チングルマがたくさん
▲アップすると。チングルマが花を終えた後です
この後は、さささっと徳沢まで下山。途中から、昨日歩いた道に出て、槍沢沿いを歩きます。
この後は、もう下るだけで写真は撮ってません。ぐちこさんとのおしゃべりは久しぶりだったので、ずーっとあれこれ話しながら帰りました。お陰で小屋についてから、まりちゃんや他のみんなに私のテンションが高いと指摘を受けたほど。ぐちこさんと喋りすぎたのでしょうか。
さてさて、長くなりましたが、槍ヶ岳の登山記はこの辺でおしまいにします。もう、あの梯子にはつかまりたくありません。帰ってしばらくは脚よりも肩や腕が筋肉痛でした。梯子を握りしめる時に余計な力を使ったんですね。こういう岩場なら、好きなんですが、、、。それでも、天狗池や、南岳付近は、また行きたいなぁと思います。
▲十分岩にしがみついてますね
あっ。最後に、この時お話しさせてもらったおじさま、いつか地元で会えるといいなぁと思っています。山の話がしたいです。
COMMENT