Week off ⑥その4 久しぶりのG小屋へ

朝、オフィスへ向かい、ツアーのお客さんが乗るバスに私も乗せてもらいます。今日から1泊G小屋に泊まる予約をしました。本当は2泊したかったのですが、他に泊まる人がいるとのことで許可が降りたのは1泊だけ。ガイドは私たちの小屋にも来ることのある顔見知りのガイドが2人。もう2人は初めて会うガイドです。

私のように他の小屋に泊まりに行きたい時はリクエストをすれば決まった値段で泊まることができ、バスには無料で乗せてもらえます。他の小屋に遊びに行っても知ってる人も特にいないしなぁと思い、今シーズンはこれまで一度も他の小屋に泊まっていませんでしたが、特にやることもないですし今回は思い切って行ってみることに。

G小屋に戻るのは2年ぶりです。

バスでの移動を終え、ボートに乗り換えてさらに一時間。

トラックの始点に到着します。降り立つとすぐに身体に入ってくるのは懐かしい空気と森の匂い。M小屋よりも標高が500m以上低いので気温も高く、森の様子もまるで違います。空気中の水分量がギュッと濃いような、緑もギュッと絞れば水が滴れるような、そんな濃い、濃い、森の中です。

体がすぐにリラックス状態に入るのがわかり、私は船着場からてくてくG小屋まで1kmほどの小屋へと向かいます。雨で道崩れしていることは聞いていましたが、それは酷く、以前はバギーが通れるほどの道幅だったところが人1人通れる幅になっていたり、橋がかけられたりしています。

▲私が過ごした2シーズンの間は、この橋はありませんでした。今シーズン初めにかけられた新しい橋です

▲ここもバギー1台通れる道でした

そんな道を観察しながら歩いていると、前方から歩いてくるのは、G小屋で一緒に働いていたティナ。ティナらしくビビッドカラーな服とザック、靴を身につけ眩しいほどに目も輝かせ、さやか〜!とこちらに近づいてきます。ティナは、いつだったか、この日記に書いていない気がしますが数週間前にもM小屋に立ち寄ってくれました。この一ヶ月の間に2回も会えるなんて!ティナはG小屋の次、P小屋に2泊していたとのこと。少しだけおしゃべりして、またねと言ってお別れします。なんと言う偶然。

G小屋に着き、建物も周りの景色も全て同じですが小屋の中には知らない人ばかりが働いているんだなぁと少し緊張しながら、玄関の扉を開けます。ようこそようこそと迎えてくれるスタッフ。

結果から言うと1泊と短い時間でしたが、行くことができて本当によかった。行くことに決めた私自身に、良い選択をした、と言ってあげたいです。初めて会う人たちばかりでしたが、G小屋の新しいスタッフが空気を作り、チームとなって、このシーズンにしかない時間を過ごしていました。私がいた時間は短く、その空気がどんなものなのか深く理解することはもちろんできませんが、きっと私にとって忘れられない2シーズンと同じように彼らにとっても濃い6ヶ月間となるのでしょう。「人が場所を作り上げる」この言葉は、私やブリッジ、1、2シーズン目のマネジャーであったエミリーの3人の間でよくいう言葉で、今回訪れたことにより改めてそう、心から感じました。

建物の中の空気は新しいものが作られているなと感じた一方、小屋の周りを歩いていると、森、小屋の前を流れる川、小屋の後ろの山、この一帯の自然一つ一つは私にとって家のような存在だなぁとも感じました。この感覚は、私が初めて日本で山小屋生活をした稜線上の山小屋付近でも感じるもの。どういうふうに言葉にしたら良いのかいまいちピンときませんが、ふっと身体の力が抜けるような、自分の体がその場所の空気に溶け込むような。今現在過ごしているM小屋では、そんなふうには感じません。

到着した日は、夕方に小屋に着いたので荷解きをし、17:00のスタッフディナーに参加。M小屋のスタッフディナーは17:30ですが、G小屋では17:00です。ぽつり、ぽつりと部屋に集まってくるスタッフに自己紹介をします。「あぁ!有名なM小屋のスタッフね!」有名なとはどういうことでしょうか?

そこで、耳にしたのは“M小屋で火事が発生した”という話。M小屋の乾燥機から発火したそうです。大きな火事になることなく皆無事だそうですが、大丈夫なのでしょうか?!?!?!?!?!

夕食を食べ、ダラダラとスタッフルームに居座り、皆の会話を聞くこと数時間。「今日の休みは何したの?」「次の休みはいつ?」「明日の休みは何するの?」そんな会話が飛び交います。そうか、G小屋には休みが存在するのか。G小屋のスタッフにM小屋はどう?と聞かれ、「休みがないから、G小屋のシフトの方が絶対良い」「cookは朝から晩まで毎日働かないといけないから大変だ」とはっきりと言います。「M小屋の仕事、楽しい!とかもっとポジティブなこと言いたいけどね。自分に嘘はつけないよ。2週間連勤1週間オフのローテーションは、今は慣れてきたけど、本当に大変!」

G小屋のcookは3人いますが、全員この会社、小屋で働くのが初めてでシーズン始めは本当に苦労したとも話してくれました。1st cookは「リサプライの前日なんて寝れなかったよ!」彼女は私に「来年も戻ってくる?」と尋ねます。私は正直にわからないと答えますが、彼女も同じくはっきりと答えは出てないよう。「シーズン初めは絶対もう戻ってこないって思うけど、時間が経つと慣れてきて、シーズン終わると楽しい思い出だけしか覚えてなくて、気づいたら戻ってきてしまう・・・」という私に深く頷きうんうんと言っています。

翌朝は、9:00前後におき、ボートの時間まで6時間以上はあるので、散歩をすることにします。ゆっくりゆっくり歩いて、立ち止まって、景色を見て。

出発した時は雲に覆われていた山々も、お昼に近づくにつれ青空は広がり、昨晩の雨から曇り、晴れと、短い時間ながら全てのお天気を楽しむことができました。

小屋に戻って、荷物を整え、再び皆とおしゃべりし。15:00過ぎ、小屋を後にします。1st cookの彼女がちょうどいたので、会えてよかった!と挨拶をし、G小屋とお別れ。また数週間後、来る予定を立てています。きっと、この先も頻繁ではなくとも戻ってくる場所になる気がします。

ボートが出発するまでは、湖の景色を楽しみます。あぁ、この青い湖が本当に好きです。

しかしここはサンドフライ地獄でもあります。M小屋は標高が森林限界に近く900mほどあるのでサンドフライは少ないのですが、G小屋周辺は、10秒でも立ち止まっていようものなら、あっという間にサンドフライに取り囲まれます。

ボートは時間通りに16:00に出発。あぁ、今回の休みで来て良かった。

特別大きなイベントがあったとか心に残る出来事があったとか、そういう時間とは違いますが、自分の心がホッとできる、そんな時間となりました。

 

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