外国人のお客さんが多い。2022年、4年前に初めてこの場所で働いた時は、こんなにも英語を使う機会はなかった。去年・今年と2年続けて働いてみて、外国人のお客さんの割合にはびっくりする。特に雨の日や、空いていておかしくない今の時期は外国人ばかりだ。日本人は雨だとキャンセルするし、紅葉の時期始め、ニリンソウの時期、新緑の時期、夏山の時期、と**の時期というものに敏感だし、それにぴったりと合わせてやってくる。外国人は雨でも歩いてくるし、**の時期問わずにやってくる。
外国人のお客さんが多いと、日本人の当たり前が当たり前でないことに気づく。私がニュージーランドで働いていたり、海外を旅行していると、私がマイノリティになり目立つ存在になる。この山小屋では毎日やってくる海外のお客さんが嫌でも目立って、私は、なんでだろうとか、あれってもしかして・・・と当たり前が当たり前じゃなかったことに気づく。
スリッパを履き替えるのは面倒
まず外国人が小屋にやってきて戸惑っているのは、そして小屋のスタッフが突っ込みたくなるのはスリッパ。登山靴でやってきたお客さんは玄関口で靴を脱ぎ、土間から小さな段差をあがって靴箱へ靴をしまう。館内用のスリッパが目の付くところに籠に入ってあるので、それを履いてチェックインをする、という流れ。
土間には誰でも使える外履用のスリッパがいくつかおいてあり、それが館内用のスリッパだと勘違いしてしまう外国人が多い。館内の床面から一段下がった土間に置いてあるスリッパは、日本人が見れば外履だとすぐに認識できる。しかし外国人には、土間にあろうと、館内の籠の中におさまっていようとスリッパはスリッパだ。外用のスリッパを履いて一歩でも館内に入ろうものならば、私たちスタッフにアウトサイドシューズ!!!と声を張り上げられる。それを第三者として見ると、スリッパをそもそも使い分けること、中に入るときに靴を脱ぐこと、そんなこと知ったこっちゃないよなぁ、とどこにもやりようのない感情がわき、ここは日本だから私たちのルールに従ってください、ありがとうね、という気持ちになる。
土間との境目も一応段差はあるものの、日本人にしか見えていないようで、ずかずかと靴で入ってくるし、外に出るときは大きな登山靴を手に靴を履かずに館内スリッパで、靴下で、裸足で土間の外へ出て、ベンチでゆっくりと靴を履いている。靴のまま中に入ってきて館内が汚れること、靴下のまま外に出てしまうと靴下が汚れること、そんなことを気にする人はいない。
他人と風呂に入ること、浴衣はバスローブ
外国人が宿に泊まってカルチャーショックを受けるのはお風呂だろう。去年なんて気にかけたことはなかったが、今年の9月末くらいからだろうか、外国人のお客さんのチェックインをするときに、日本のお風呂は入ったことはありますか?と時間に余裕があるときには聞いている。そうすると初めてですという人は結構いて、説明しましょうかと声をかけるとぜひ!と言われることが多い。ここで服を脱いで、中には服には持ち込まず、まずは体を洗って、浴槽に浸かるときにはタオルは持ち込まず・・・と説明をする。ニュージーランドで一緒に働いていたキウイのメグが初めて日本のお風呂に入った時のことを教えてくれてからは、そうか、他人と裸で風呂に入るなんてawkwardでcrazyなことなのかもしれないと、思うようになった。ブリッジにも、日本人は慎ましいイメージなのに、お風呂となると本当にぶっ飛んでるよねと言われたことがある。キウイたちは川を見つければ服をぽいぽい脱いで泳ぎ始めるので、それと同じだよ!と言っても、川で泳ぐのと他人と風呂に入るのでは、まったくの別物らしい。
極端かもしれないが、例えばトイレに壁がなく、他人と隣合わせでしなければならない・・・と想像するとゾッとするが、それと同じような感覚なのかもしれない。
そして、風呂上がりに日本人が着る浴衣。私たちの小屋には、宿泊者全員が無料で使ってもらえるように風呂場の近くに置いている。その浴衣を、時々お風呂から出てきた外国人が濡れた状態で、返してくれることがある。風呂から上がったら着るはずのものを、きておらず濡れた状態で返してくれる。どういうことなのか、理解ができなかったが、しばらく考え込んでなるほど!とひらめいた。彼らはバスローブ代わりに着ていたに違いない・・・!風呂場に濡れたままの浴衣と書いてバスローブを置きっぱなしにしてあることもあるし、お部屋に濡れたままの状態で放置されていることもよくある。
人前で寝転がるのは行儀がわるい?
山の中を歩いていると、川沿いで寝転がって日向ぼっこしている外国人が本当にたくさんいる。日本人がそこには踏み込まないというような、登山道から離れた景色の良い場所で、自分の時間を自然の中で目一杯楽しんでいる外国人。
人通りが多い場所で寝転がって陽を浴びる、ということは日本人はあまりしないのかもしれない。ニュージーランドの山小屋生活や、山を歩いていると特に夏の太陽が気持ち良い時期は、寝転がっている人はあちこちにいる。陽に当たるということが、夏にかき氷を食べる、風鈴の音が鳴る、浮き輪を持って海に行く、そうめんを食べる、そのくらい日常の一部として当たり前にあるようだ。山の中でゴロンと寝転がって陽を浴びている人を見ると、あ、またあの外国人・・・こんなところで・・・と思ってしまっていたが、これもよくよく考えると、彼らの自然の楽しみ方の一つ。最近は寒くてもうしていないが、私も人目につかない場所で日向ぼっこを何度かしたが、本当に気持ちが良い。例えるならちょうど良い温度のお湯に浸かっているような気分だ。
支配人は、寝転がる外国人だらけの山の中で「日本人は行儀がわるいと思っちゃうんだろうね」と言っていた。なるほど。こんなところで・・・とあまり良い印象を持っていなかったのは、ここに繋がるのかもしれない。
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10月もあと1週間。紅葉のピークは過ぎて、あとは葉が散るだけとなってきた。これから気温がずんずんと下がっていくようだ。山の上に雪が降る日も近いだろう・・・。



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