【week off②5日目】小さくなる感動

朝、7:30にキッチンへ向かい、昼食用にサンドイッチを作って朝食を済ませます。このトラック上の小屋は人手不足というのもありますが、もともとのスタッフ数が少ないため、ガイドもキッチンに入って朝食のサービスを手伝っています。

夜中の雨は弱まったものの、止むことなく、しとしとと降り続いています。乾燥室でしっかり乾いたレインウェアを着て、小屋を出発したのは9:00。天気は午後に向けて回復するというガイドからの天気予報を信じ、小屋をあとにします。
 

最初の2030分ほどは、山々の間を流れる川、川の両サイドに広がるフラットを見下ろしながら下ります。雲と雲の間から光が差し込み、この景色をずっと見ていたいと思わせてくれます。

そんな景色を目に焼き付けた後、森の中に入っていきます。そこでちょうど日本から来ている2人の女性にすれ違いました。私たちのツアーには参加しておらずDOCの小屋を利用してこのトラックを歩いているそうです。1人は、私と同じ靴を履いていたので、同じ靴ですね!と声をかけます。

ギアのことや日本の山のこと、山小屋で働いている話なんかをしながら、しばらく一緒に下り、記念にと靴がお揃いだという写真も撮りました。このあとはマウントクックへ行くとのことです。

その後は特に誰ともペースを合わせることなく1人で写真を撮りながら、自分のペースで歩きます。1日目の森歩きでは写真を撮る心の余裕がなかったので、今日は面白い形や植物や景色、森をカメラに収めます。

▲最終地点手前にある橋からの景色

トラックの最終地点に着いたのは12:00過ぎ。そこで1時間近く休憩し、皆が到着するのを待ちます。オーストラリアから来ている同室だった女の子も私の後に到着し、一緒に話しながらランチを食べました。

「しばらくぶりに車を見ると変な感じね」

その子だけでなく、皆似たようなことを言っています。3日間のハイキングで、目まぐるしい人間社会やインターネットから離れ、自然の中に身を置くことができたことに感謝し、また、これだけの距離を歩いた自分を誇りに思う、そんな雰囲気が参加者の中にただよいます。皆の表情が達成感で溢れているのです。

この時、8年程前でしょうか、初めて屋久島に行き2日間の縦走をしたときの自分を思い出しました。雨に打たれながら森の中、山の上を歩き、雨が止んだら岩の上で昼寝をし、最低限のものをザックに詰めて、夜は無人の山小屋に泊まり、、、あの2日間は私を変えたと言っても過言ではありません。あれから毎月山に行き、気付けばお客さんと山へ行き、さらには山で働き、今やニュージーランドの森の中で働いています。

初めての縦走を終えた時の感動は、もう今の私に感じることはできませんが、皆が以前の私と似たような感動を味わっていたのは、見てすぐにわかりました。

あの時の自分を忘れかけていたのかもしれません。

バスは28人のツアー客とガイドを乗せ、クイーンズタウンへ戻ります。雲は次第に青空に吸い込まれ、山々が美しく、疲れが吹っ飛ぶような景色が窓の向こうに広がります。途中パブにも寄り道し、皆でお酒やコーヒーを飲みました。

クイーンズタウンに到着したのは15:30頃。バスを降りた後はガイドや一緒に食事をしたご夫婦にきちんと挨拶する余裕もなくバタバタと解散。

これで私のweek offもあと残すところ2日となりました。明日は1人でのんびり街で過ごし、夜には友人と合流する予定です。

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